クリスマス・ロマンチスト
2021年12月25日、なんという恐ろしい日だろう。
今年のこの日、なんと土曜日なのである。
つまりは休日。
「今年こそは逃がさねぇぞ」
そして、玄関からインターホンを押して来てしまったのだ。
招かれざるサンタが。
「メリークリスマス!」
「俺は悪い子なのでサンタクロースとはご縁がありません、お帰りください」
「悪い子はいねーがー」
「秋田に帰れ」
毎年クリスマスの夜をお洒落なディナーで過ごそうなどという押し売りサンタこと留三郎との攻防を繰り返している。
何が悲しくて男2人でクリスマスにオシャレな高層ホテルの夜景の綺麗なレストランディナーをせにゃならんのだという抗議と仕事という切り札を使って逃げ切ってきた。
年末調整舐めるな。
しかし、今年はその手が使えない。
「まさか土曜日出勤なんて言わねぇよなぁ、文次郎?」
「いくらなんでもそこまでじゃねぇよ。貴重な休みだ。寝かせろ」
「やだ。今年こそ行くぞ。予約も、あとホテルの部屋も取ってある」
「マジかよ」
嫌すぎる。
留三郎の狙いが痛いほど分かるのだ。
この男はいわゆる、典型的なクリスマスというやつがやりたい男なのだ。
オシャレなレストランで夜景を見ながら、下手すると「君の瞳に乾杯」とか言いかねない。
その証拠に今の服装もいかにも雑誌に乗ってるイケてる大人の男系コーデである。
顔がいいから微妙に似合うのが腹が立つ。
あまりのことに仙蔵に相談したら爆笑された。
お前の方が似合いそうだよなと言ったら私はそんな面倒なことをしないと言われた。
「文次郎、今年こそ、な?」
キャンセル代を考えると確かに今年こそ行くしかないのだろうと理解する。
腹をくくる。
「わかった。その代わり準備するから少し待て」
せめてそれなりの服装で行きたい。
あとは野となれ山となれ、というやつだ。
それと、あの嬉しそうな顔を見たらそろそろ諦めてやろうと思った。
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