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どうしても勝てない



「なぁ、お前に言って欲しい言葉があるんだけど」
ベッドの中、文次郎に覆い被さる留三郎が呟く。
「あ?」
こんな時の留三郎からのお強請りとは、大概ろくなことがない。
「あのな・・・ 」
耳元で、留三郎の声がそっと囁く。
耳朶を擽る吐息と、言葉の内容に顔が赤くなる。
「、誰が言うかっ!」
赤くなった顔もそのままに抵抗の声をあげた。
いくらなんでも恥ずかしすぎると文句のひとつも言いたくなるのだ。
「駄目か?」
留三郎の顔がしゅんとなる。
文次郎はこの顔に弱いのだ。
今まさに自分に覆い被さって、逃がすつもりはないとでも言うように腕の中に文次郎を閉じ込める留三郎が、自分の要求を聞き入れろと責め立てることすら可能な留三郎が、下手に出て文次郎に強請るのだ。
断れるわけが無い。
「なぁ、文次郎、」
留三郎の声が耳を犯す。
文次郎が否と抵抗をすればきっと優しいこの男は解放してくれるだろう。
だからこそ、否と言えない。
つまり、文次郎は留三郎が愛おしくて、可愛くて、この可愛い恋人のささやかな願いを叶えてやりたくて仕方がないのだ。
「わかった。1回しか言わないから、よーく、聞いとけよ」
羞恥だって留三郎の為ならば投げ捨てられる、はず。
「留三郎、えっちなこと、してくれ」
「・・・えろっ、無理っ」
直後、唇を塞ぐ濡れた感触。
どうやら文次郎は留三郎の期待に無事応えられたようだ。
あとはもう、どうにでもなれ、である。

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