初雪


から、から、戸を開いて、閉じる音がする。
「どうした?」
布団の中から仙蔵に声をかける。
昨夜寒さを言い訳に共寝した名残の暖かさはすでに薄くなり、一瞬、開いた戸から入った冷たい風にふるりと身震いをした。
「雪が積もっていた。今日はきっと賑やかだぞ」
「そうか」
休みだからと珍しく怠惰に過ごすつもりであったのに、あてが外れそうだ。
「腰は、大丈夫か?」
「そこまでやわじゃねぇな」
今から雪合戦に誘いに来るであろう小平太に備えなければならない。
腰が痛いなどと言っている場合ではないだろう。
「さっさと整えておかねば、小平太は問答無用だぞ」
「おう」
「それともそこから出られないほど寒いなら、もう一度暖めてやろうか?」
「それもいいな」
流石に声が聞こえれば小平太も入ってはこないだろう。
「冗談だ。きっと今日はお前の可愛い後輩たちも庭に出るだろう。部屋に篭っている暇はないぞ」
「そうだな」
一年生のよい子たちに爛れた声を聞かせるわけにはいかない。
「せっかくだし、雪うさぎでも作りに行くか?」
「そりゃいい」
遊びに来た後輩たちに、出迎えのうさぎを作ろう。
「あと、今夜は皆で鍋でもつつくか」
雪を見ながら、酒盛りをしながら、熱々の鍋。
雪の寒さは辛いが、冬の風物詩の半数程度は雪と共にある。
「着替えるか」
まずは雪うさぎを作るべく、布団から這いずり出た。
1/1ページ
    スキ