過去形
今日、俺は忍術学園を卒業する。
本当は同室である仙蔵に言いたいことがあった。
でも、駄目だ。
仙蔵の就職先は知らない。
お互いに徹底的に隠したのだ。仙蔵も俺の就職先は知らないだろう。
「仙蔵、好きだった⋯」
呟くと同時に、涙が零れそうになる。
「なんだ、過去形か?心変わりなど許さんぞ文次郎」
その涙は、背後から聞こえた声で止まった。
「せん、ぞう⋯?」
顔を見なくても分かる声の主。
望んではいけない相手。
未練は断ち切らなければならない。
「過去形だ。もう子どもじゃない、俺はこれから忍びとしてお前の敵に「ならん」」
途中で仙蔵が被せてきた。
「私の就職先だがなぁ、お前と一緒だ。だから敵にはならん」
「は?なんで俺の就職先⋯」
「私を舐めてくれるな文次郎。愛するお前のためならなんとしてでも調べあげるさ」
「それで、まだ過去形か?文次郎」
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