入梅



梅雨が始まった。
いつもこの時期になると犬猿が仲良くしているだの落乱のお約束だのと、何かとあの二人を揶揄う後輩や同級生を見かける。
これでいい。
私たちはただの同室で、情など交わしていなくて、相棒である。
そのように見せることが私たちの望みなのだ。
互いの弱みにならぬよう、誰にも悟られぬよう、同じ部屋に寝起きをしておきながら、逢瀬は隠れて。
「またあの二人かぁ?」
「薬草が湿気るから困るよね」
「そうだな、火薬も湿気る」
「本の虫干しをしたい」
他の同級生に混じって不満を言う。
本当は私のものだと声を大にして言いたいのに。
満更でもない留三郎にあれは私のものなのだと教えてやりたい。
しかし、私もあいつもそれを望まないのだ。

「本当に、梅雨は嫌なものだ」

1/1ページ
    スキ