雪の夜
しんしんと雪が降り積もる夜。
「静かだな」
雪が全ての音を飲み込む。
まるで何もかもが凍ったような静寂。
「本当にな」
二人の声がいやに響く。
「文次郎、こっちへ来い」
冷えた空気の中、温い声で恋仲の男を呼ぶ。
「ん、」
呼ばれる方に向かうと、ぴとり、冷たい指先が手を取る。
「冷てえ」
「だから呼んだんだ」
「俺は温石か」
指先から唇、爪先、からだ全体が少しづつ触れ合う。
二人の温度が混ざりあって、溶け合う。
「愛しい男に温めてもらいたいなど、健気だろう?」
「そうかもな」
呆れた声、だが温い声。
雪の静寂と温かい空気。
今日はくっついて眠ろう。
ひとつの寝具に、ふたつの体温。
朝まで、このまま。
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