死に至る病[side.S]




立花仙蔵が原因不明の病に罹った。
その噂は既に学園中に広まっている。
病についてはまだよくわからないが、分かっていることはどうやら口吸いをすると感染するらしい、治療法はない、この病に罹った者は五日ほどで死に至り、最後の一日は痛みに悶える、ということのみだ。
「おら仙蔵、飯だ」
仙蔵は病に罹ってすぐに離れに移された。
感染させることも、苦しむ姿を見せることも望まなかったのだ。
食事は六年生が持ち回りで運んでいる。
最初は文次郎の番だった。
立花仙蔵と潮江文次郎は恋人だ。
『文次郎、口布をしろと言われていただろう』
口吸いをせずとも咳などの唾液が口に入れば感染する恐れがある。
それを恐れて食事運びの担当は口布をするように言い含められていた。
しかし、今文次郎は無防備にも口布をせず、普通に仙蔵と会話をしているのだ。
「んなこと知るか。忍務でもあるまいし」
だが文次郎の口布がないため、仙蔵は口を開かず矢羽根で会話をする。
「めんどくせぇなぁ」

ちゅ

「お前が俺に気を使うなんざ、気色悪いんだよ。これで俺も罹った。声聞かせろ」


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