算盤小僧
この春新入学した一年生は皆、今日か明日が委員会初日だった。
一年い組の潮江文次郎も委員会選挙で見事に憧れていた会計委員に選ばれた。
授業後で皆が初めての委員会に慌ただしく向かう中、文次郎も張り切って会計委員会室に向かう。
校舎から委員会室に着くと、すでに先輩方が揃っていた。
事前に聞いた委員会の内訳は五年生が一人、四年生が二人、三年生が一人、一年生が文次郎一人と聞いていた。
しかし、そこには文次郎ともう1人一年生くらいの子どもがいた。
(あんなヤツ、学年にいたか?忍び装束も着てないし・・・)
いわゆる寺で見る坊主のような格好をした子ども。文次郎の記憶にない一年生。
「はじめまして、今日から会計委員会に所属することになりました、潮江文次郎と言います。よろしくお願いします。それで、一年生は僕だけだと聞いていたのですが・・・」
文次郎がチラリともう1人の一年生を見ると、五年生の先輩が言った。
「あぁ、一年生は潮江一人だ。そこにいるのは算盤小僧。仲良くしてやってくれよ」
先輩の言葉を最後まで聞いた文次郎は顔を真っ青にして委員会室を飛び出して行った。
これが潮江文次郎と算盤小僧の出会いである。
ちなみに当時のことを知る立花仙蔵曰く、
「泣きながら私の所へ駆け寄ってきた文次郎は可愛かったぞ。その晩は1人で眠れないと布団まで一緒にして。今思えばあれが初めての同衾だったか」
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