女の首
障子を開ける。
足元を見る。
そこにあるのは黒髪の女の首である。
女はこちらを見てニタリと笑う。
あの女は文次郎が先日戦場で見た女だった。
あぁ、死んだのか。着いてきてしまったのか。
供養もろくにできやしない、坊主でもない。
ただ目が合っただけであるのに。
恨めしそうな目がニタリと笑う。
笑ったなら、もうきっと壊れたのだろう。
恨めしそうな顔をしている間はまだ正常なのだ。
しかし、笑ったら駄目だ。恨みが笑いに変じたら、それはもう人ではないなにかなのだ。
人でなくなった女を置いて、静かに障子を閉めた。
今夜は暑いが仕方がない。
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