流星観測
年に一度、この時のために日々の部活動があると言っても過言ではない。
「今年のペルセウス座流星群の極大は8月13日ですが、今年も天文台の予約が取れなかったので観測合宿は8月16日から始まります」
顧問の言葉は予想通りだった。
どうしても大学の研究室やサークルに合宿所を取られてしまうのだ。
部員6人の弱小部活は常に後回し。
顧問もやる気があるのかないのか。
それでも、最も綺麗な日でなくとも構わない。
ただ、俺たちは星が見たいのだ。
「では、ジャンケンを始めます」
そして、その日合宿に向けての準備と戦いが始まった。
負けた者は、最も大きくかつ鬱陶しい荷物こと巨大ブルーシートを持っていかなければならない。
今年も負けたのは伊作であった。
「また僕かぁ」
残念そうな顔をする伊作は、しかし満更でもない。
このジャンケンも、今年で最後なのだ。
「では今日から夏休みなので、また合宿前に会いましょう」
***
8月16日、駅に集合。
全員寝袋にザックという、まるで登山のような服装だがもちろん登山ではない。
バスで山頂の天文台へ行き、まずは寝る。
「今年はどれくらい観測できるかなぁ」
「去年の初日は始めた瞬間から曇り始めたからな」
「…山の天気は変わりやすい」
夜9時、観測のために起床。
4時から9時までの5時間睡眠は、大概眠れない。
健全な高校生に夕方4時から寝ろというのは難しいのである。
結局ぐだぐだと談笑をして、実際は2時間睡眠程度で観測に向かうのが毎年の恒例だった。
「今年こそ決着付けるぞ文次郎!」
「ふざけんな!去年1等級最初に見つけたら2倍とか言ったのはどっちだ!去年勝負はついただろうが!」
「あれは俺も同じ時間に反応した!!」
犬猿の仲のこの喧嘩も最後だろうか。
四方位を仙蔵、長次、留三郎、文次郎が担当、伊作と小平太は天体望遠鏡にカメラを付けて撮影をしに行った。
この撮影した写真を部室で現像するのも、醍醐味なのだ。
「綺麗な写真撮れるといいな」
「露出時間間違えんなよ」
全て、今年で最後なのだ。
この時間も、この瞬間も。
これからも六人は共にいるとしても観測は部活ならではであり、そして卒業後に同じことをしたとしても三年間お世話になった顧問はやはりおらず、今と同じようには絶対に出来ないのである。
「じゃあ、始めるか」
最後の流星観測が始まる。
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