仮装も完璧だ!
「文次郎、今年のハロウィンはクラス対抗仮装大会だ。優勝したクラスには食券が渡されるらしい」
大川学園はイベント好きの学園で有名である。
今年のハロウィンも毎年恒例仮装大会。
昨年は個人戦で一番お菓子を貰った者が優勝で、もちろん福富しんべヱに勝てる者はいなかった。
「去年はしんベヱの余裕勝ちだったからな」
「あの顔で「お菓子ください!」って言われて渡さない奴はいねぇだろ」
「だな」
かく言う文次郎も仙蔵もしんベヱに菓子を渡した人間である。
あの笑顔で請われ、渡せば天にも昇らんばかりに喜ぶのだ。渡した方も嬉しくなる。
勝負などどうでも良くなるというものだ。
「今年は仮装か。衣装は?」
「クラスで統一。各クラスネタ被り有り、というよりも当日までネタバレ厳禁、だそうだ」
「で?どうせこの話題出すってことはもう考えてあるんだろ?」
文次郎が聞けば、仙蔵は不敵に笑った。
「当たり前だ、もちろんお前にも私にも最適な仮装を選んである」
そう笑った仙蔵がクラス会議で持ち出した案は吸血鬼。
「吸血鬼、だ。私たちらしいだろう?可愛い、コミカル、野生的、どれも合わない。どちらかと言えば知性的な雰囲気の者が多いい組に最も似合う仮装だ。あと、文次郎。お前は当日髪も弄るからな」
そうして、衣装を打ち合わせ、当日を迎えた。
「文次郎、こちらへ来い。髪型を弄ると言っただろう」
仙蔵の考える文次郎の髪型は、文次郎本人にも当日まで知らされることはなかった。
「意外性、といったところだな。座れ」
仙蔵に言われるとおり、文次郎が大人しく椅子に座ると、仙蔵が手にワックスを広げ、文次郎の前髪を全て後ろに撫で付けた。
「こうすればより仮装らしく見えるだろう。ふむ、さすが私の思った通り、完璧な出来栄えだな」
それに牙とマントで、吸血鬼文次郎の出来上がりである。
仙蔵は長い髪を下ろしてでマントと牙のみで出来上がり。
「さて、優勝を取りに行くぞ。食券は私たちが頂く」
結果はまたしても可愛らしいゴースト達が持ち帰ったが、それも仕方の無いこと。
ただ、髪型を弄った文次郎が気に入られ、暫くはワックス片手に文次郎を追いかけ回す斉藤タカ丸の姿が学園のそこかしこで見かけられた。
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