月見の酒宴
中秋の名月、空を見上げても月は文字通り雲隠れである。
「残念だな」
今年が最後の、学び舎での月見であった。
「月見団子はあるが、肝心要の月が無いとは」
月見団子も月見酒も用意した。
花入れなんて上等なものはなかったので、ススキは短く切って徳利に差してある。
準備万端、月見と洒落込む前に雨が降った。
そこからずっと雨模様。
「まぁ、雨の中の酒宴も悪くなかろう」
どうせ月見などただの口実だと、互いに知っている。
春までの日を指折り数えている訳では無いが、それでも考えてしまうのである。
「まぁ、まだ栗名月が残っているだろう」
ひと月後の、十三夜。次の月見の予定が立った。
それと、明日から忍務だろう。打ち上げに酒を呑もう。
口実などなくとも、月など見えなくとも、何度でも酒を酌み交わし、笑い合い、話をすればいい。
時間は有限なのだから。
まず、今夜は雨の月見と洒落こもう。
月見団子を月に見立て、月と雨音を楽しみながらちびりちびりと酒を酌み交わした。
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