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本当に怖いのは



幽霊など、妖怪など、そのようなもの、いる筈がない。

自分の弱さを見せたくなくて、私は完璧なのだと、そのようなもの怖くないのだと嘯いて、冷静な振りをして、自分の心を騙す。

本当に怖いのは、生きている人間。

それは、事実。
しかし、一度死んだ人間の怨念は、怖い。
それを目の当たりにした時、私は冷静では居られなかった。
怖かった。
死んでなお動き続けるほどに何かを怨んだものが、人の執念が、それが残したものが。

頭に矢を受けてまで、身体を失ってまで、何かを怨む。
私はその姿に、私自身を見てはいないだろうか。
私は誇りを、矜恃を、友を、仲間を、主を、家族を、私自身を失った時、何かを怨まずに、あのような姿にならずに、人として生き、人として死に、そしてそのままこの世に未練を残さずに逝くことが出来るだろうか。

怖い、怖い、怖い怖いこわいこわいこわい

目の前に私の行く末が、私の最も恐れていたものが、いる。
逃げたい、荒れ屋敷など放って、そのような存在はなかったと蓋をして、見なかったことにして。

そうして、なかったふりをしたかった。

それでも、助けたい友がいる。

失うことは、何よりも怖い。
それは、その瞬間に自我を固定して、時を止めて、輪廻転生の枠から外れる程に。
亡霊たちはそれを、教えてくれた。
友を失うことは、彼らになり得るということだ。
私も、私の友にも、誰にも、そんな思いはさせたくはない。

だから、戦うのだ。

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