本当に怖いのは



見えないものを認知することは、自分の感覚を否定することである。
だから、見えるものしか信じない。
入学時からそこにいた算盤小僧は、そこにいる、あるものとして、見えているものとして、それはそれとして、そういうものだとして、認めるしか無かった。
「幽霊、か」
それは、見えないものだ。見たことの無いものだ。だから、怖い。
だから、信じない。だから、認めない。
「そんなものいるわけないだろう」
怖がることを、否定して。居ないものなど怖くないのだと、主張して。

そう思っていたのに、いざ出会ってしまえば怖いのだ。

頭に矢が貫通して、生きている筈がない。
何百年も前の人間が、生きている筈がない。
目の前の存在が、十五年間の常識を否定する。


怖い、怖い、怖い怖いこわいこわいこわい


足が、体が、言うことを聞かない。
全身を、恐怖が支配する。

それでも、助けたい友がいる。

怖がっているだけでは、何も助けられない。
怖くとも、やらなければならない。
目の前の恐怖と、失う恐怖を、天秤にかけたくはない。
そんなもの、かけるまでもない。

だから、戦うのだ。


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