気配
夜中、同室はいつもの如く徹夜で会計室なのか山なのか池なのか、行先は知らずとも不在は確実。
だというのに衝立の向こうに”なにか”がいるのだ。
「そこの主は帰ってこんぞ」
文次郎に用があるのなら、見当違いだ。出ていけ、という意味で言ったのだが、動く気配はない。
「明日は朝が早いのだ、お前の気配が鬱陶しくて眠れやしない。さっさと去ね」
文句を言っても消えない。
いい加減に眠いと腹が立ってくるというものだ。
「何者だかは知らんが、消えんというのならその床に写経でもしてやろうか」
文次郎の領域だし、まぁいいだろう。
そう言ったら気配はすっと消えていった。
経というのは、本当になんでも効果があるらしい。
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