壬生狼との対峙(番外)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「昇華された技なんですね…。でも次は止めますよ。」
「生意気な口を聞く…。」
男はまた笑みを零し権兵衛へと踏み込んだ。
先刻の様に突きの攻撃を繰り出すと権兵衛も先刻の様にそれを横へと避ける。
「止めるんじゃなかったのか?」
小さく呟き男が横凪ぎの攻撃へと切り替えた時、
ガキィィッン─!!
刀のぶつかり合う音が響いた。
見ると男の刀を権兵衛は右手に握る短刀で受け止めていた。
そのまま空いている左手で男の腹へ向け抜刀すると、男は攻撃を避け権兵衛から飛び退いた。
「…貴方も、流石に速いですね。」
飛び退いた男の腹の着物は横へと切れていた。
血の滲み出した着物を見ながら、切り口はそれ程深くはないが痕は残るかと男は思った。
「これでお相子です…。この着物気に入ってたんですよ。」
「それは悪かったな。ならお前の宿舎に新しい着物を送ってやろうか?」
「その悪趣味な柄なら嫌です。」
舌を出して遠慮なしに言ってのけた権兵衛に男は肩を震わせ笑った。
言葉にまだ幼さのある権兵衛に男はまだまだ子供なのだと悟った。
「お前…歳は幾つだ?」
「十と六つです。」
「…まだまだ餓鬼だな…。」
「もう十と六つですってば。」
「そんなものを啣えている間は何を言っても説得力がないぞ。」
男の言葉に権兵衛は拗ねたようにまた口を尖らせた。
「じゃあ、この辺で失礼します。」
「敵前逃亡とは呆れたな。」
「だって夕飯食いっぱぐれちゃいますもん。男所帯だから余っていようものならすぐに食われちゃいますから。」
恥ずかしげもなく言う権兵衛に男は遂に声を零し笑った。
「笑わないで下さいよぉ…。」
「ククッ…、面白い奴だな。お前…名は?」
「言う必要ありませんよ。もう貴方とは会うことはないですから………─斎藤さん─。」
権兵衛の言葉に斎藤と呼ばれた男は少しばかり目を見開いた。