壬生狼との対峙(番外)
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「フッ…、噂をすればだな…。」
権兵衛は遠くの方に目をやり小さく笑みを零した。
緋村も近付いて来るその気配に気付くと権兵衛と共にその場を立ち去ろうと踵を返した。
「二手に分かれよう。相手は複数だ、散らせた方が楽に片付く。」
権兵衛は走りながら緋村に告げた。
「気配を隠せ。いいな?」
「はいはい。」
別れる最中、緋村は最後に釘を刺す様に権兵衛に呟くと東の丘の竹林の方へと姿を消した。
「いい月だねぇ…。」
あの後権兵衛は緋村とは逆方向へ足を進め、西の山沿いにある神社へと来ていた。
境内に腰を降ろし、月を見上げながらひとりぼそりと呟いていた。
「気楽なものだな。」
目の前から聞こえてきた声に月から視線を移すと、そこには浅葱のだんだら模様の着物の男が琥珀の目でこっちを射抜いていた。
「人生気楽が一番ですよ。」
「この世にいながらそれを言うのか。」
「時代は関係ないですよ。どんな時でも息抜きがなきゃ人は生きれないでしょう。」
「随分目出度い奴だな。俺を前にしてそんな事を言うとは…。」
男は垂れた前髪に痩けた頬、刀を思わせる切れ長の目をしている。
「何故こっちへ?もうひとりの気配には気づかなかったんです?」
「追われている事に気付いていながら気配を隠そうともしなかったからな。どんな阿呆な奴なのか顔を拝みに来た。」
「初対面なのに口の悪い人ですねぇ。」
権兵衛は立ち上がると目の前の男を見据えた。
男は至極愉快そうな笑みを浮かべ権兵衛から目を逸らさず視線合わせてきた。