狼に目をつけられた猫
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「貴女の話していた屋根裏などを実際に拝見させて頂こうと思いましてね。大西様にお願いをして屋敷の間取り図を頂いたんです。」
制服の内側から間取り図を取り出し、一緒に見て回りましょうと言った藤田に権兵衛は苦笑いを浮かべながら承諾するしかなかった。
権兵衛は本当に今日はツイてないと藤田の後ろで小さくため息を吐いた。
見取り図を手に前を行く藤田の背中を権兵衛は鋭く見つめ考えていた。
(この男…唯の警官じゃないな。)
先刻の屋根裏の入り口で声を掛けてきた時、完全に気配を消していたし、それに加えてあの血の臭い。
日長一日事務処理や巡回をするだけの警官からは有り得ない事だ。
藤田の気配に気付けなかった事に眉を潜めると明治になって平和呆けになった自身に少し落胆を覚えた。
そんな権兵衛の前を行く藤田が横目に怪しく笑っていたのを権兵衛は知る由もなかった。
PM10:36
陽もとっくに落ちた夜。
大西邸の周囲では数人の警官達が警戒をしており、屋敷の中にも藤田と数名の警官が配備していた。
「これまでの傾向通りなら犯人は深夜0時に現れるはずです。大西様はそれまで絶対に地下室を出ないようお願いします。」
広間に集められた権兵衛と大西に藤田は優しく告げた。
藤田が昼間には携帯していなかった刀を帯刀しているのを権兵衛はじっと見つめていた。
「どうかされましたか?」
「藤田さんは日本刀なんですね。他の部下の方達はサーベルなのに…。」