狼に目をつけられた猫
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「あの…、藤田さん?」
「…勿体無いですねぇ。」
「…は?」
藤田は掴んだままの権兵衛の右手の平を親指で撫でながらそう呟いた。
「こんなに綺麗な手をしてらっしゃるのに、矢張り竹刀だこが…。」
「あぁ…。」
権兵衛はそんな事かと短く返事を返した。
藤田は権兵衛の竹刀だこを親指で撫でながら勿体無いと眉を下げ呟いていた。
「あぁ、すみません、失礼な事を…。」
藤田は権兵衛の右手を離すと、権兵衛の足元を見て苦笑いを浮かべた。
「名無しのさん。」
「はい?」
「目のやり場に困るのですが。」
「え?…!あぁ、すみません。」
藤田は権兵衛の足下へ向けていた視線を上へと向けた。
屋根裏へ上がる際に着物の長い裾が動き辛いからと権兵衛はそれを捲り上げていた。
そのせいで権兵衛の脚は膝上まで露出していて、藤田はそれを示した言葉を吐いたのだ。
権兵衛は裾を下ろすと倒れた踏み台を立て再びその上へと上がった。
「何をされるんです?」
「入り口を塞いでしまおうと思いまして。」
「ならば私がやりましょう。先刻の様に倒れてしまっては危険ですし、私なら背伸びをせずにできますから。」
そう言うと藤田は権兵衛に踏み台から降りる様促すと、工具箱から金鎚と釘を取り出し置かれた木の板を手に取ると屋根裏の入り口を塞ぎ始めた。
「しかし大胆な事をされますねぇ。」
「後で面倒な事になるよりはいいかと思いまして。」
「確かにそうですね。」
入り口を塞ぎ終えると藤田は工具箱と木の板を抱えた。
権兵衛は慌てて自分が持つと申し出たが、女性に持たせるわけにはいかないと藤田に相変わらずの笑顔で返された。
「あの…どうして此処に?」