開き直る狼と猫
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「意外と素直なんだな。」
「…そりゃあ、どうも…。」
嫌味ったらしく笑っている斎藤に権兵衛はうんざりと言った顔だ。
「大西の前でもその調子なのか?」
「えぇ。寧ろそこを買われたようなものです。」
「あの人も変わっているな。」
「そんなアタシをわざわざ引き抜くそちらも十分変わってると思いますけど。」
言葉に遠慮の無くなった権兵衛に斎藤は愉快そうに笑った。
「それも考慮した上だ。心の広い上司で良かったじゃないか。」
「そんなに痩せてらっしゃるのに広いんですね。意外です。」
斎藤が冗談混じりに言えば、権兵衛も冗談を返す。
そんな飄々とした権兵衛が余程面白いのか斎藤は終始からかう様な言葉を権兵衛に投げていた。
「それじゃあ、失礼します。」
明日の事務手続き様の書類を書き上げた権兵衛はそれを斎藤の机に積んだ。
「今夜は早く寝ろよ。今日みたいに昼前からうたた寝してちゃやってられんぞ。」
「なら言い付け通り沢山寝ようと思います。そのせいで出勤が遅れても文句は言わないで下さいね。」
権兵衛はドアノブに手を掛け首だけで振り返ると得意げにそう言った。
「なら初日から減俸決定だな。」
「ならアタシは職権乱用で川路さんに訴えます。」
最後の最後まで互いに口が減らない。
「明日から宜しくお願いします。」
帰り際権兵衛は頭を下げ斎藤の自室を後にした。
一応礼儀は弁(わきま)える権兵衛にひとりとなった自室で斎藤はこれから面白くなりそうだと笑みを深くした。
-E N D-
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