開き直る狼と猫
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「何なんだよ、一体…!!」
途端に声を上げた権兵衛はブーツを脱ぎ捨て長椅子に横たわるとイラついた様子で足をばたつかせた。
「こっちだって好きで笑ってやってるわけじゃねぇよ…!」
搾り出す様な声でそう吐き捨てると天井を見上げふと思った。
(藤田でいる時と比べれば遥かに接しやすいけど…。)
だが作り笑いばかり浮かべている藤田と比べればと言うだけの話であって人の勘に障る事ばかり口にする斎藤と言う人間事態、好感を持てるような相手ではない。
「素なんか見せたらどうなるか分かったもんじゃない…。」
ぽつり呟くと自然と欠伸が漏れた。
「─…おい。」
「……ん…。」
「阿呆が、起きろ。」
「…あほって…なんだよ~…。」
斎藤が自室へ戻ると権兵衛は長椅子に寝転がり寝息を立てていた。
呆れた様子で自室へ入り斎藤は寝ている権兵衛に声を掛けるが、返ってきたのは締まりのない返事。
どうやら寝ぼけているようだ。
「おい。」
─ゴンッ…!!
「…イッ…!!」
突如額に走った衝撃に権兵衛は顔を歪め目を開けた。
見ると側に立つ斎藤が呆れた顔でこっちみ見下ろしていた。
斎藤は権兵衛の額に振り下ろした右手を戻すと鼻で笑った。
「猫被りがいつまで続くかと思えばもうこの有様か。」
「…グーで殴ったんですか~…?!」
額を押さえ身体を起こした権兵衛は眠そうな目で斎藤を見やる。
「阿呆面で寝ていたからついな。」
斎藤の言い様に権兵衛は口を尖らせた。
最後に会ったのが藤田だったのもあり、余りに急な斎藤の豹変振りに権兵衛は先刻斎藤に言われた通り、こっちも下手を装っているのが馬鹿らしく思えてきた。
「じゃあお言葉に甘えて、大人しくしてるのは止めにします。」
そう言うと権兵衛は長椅子に胡座をかいて座り直すと、懐から棒付きの飴を取り出しいつもの様に口に啣えて見せた。