開き直る狼と猫
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「明日には警視庁の人間となるんですから、時間を欠いては貴女を引き抜いた藤田殿の面子を潰してしまう事になりますよ。」
「旦那様はどうしてそんなに藤田さんを信用されてるんですかっ?!」
少し苛立った様に問うた権兵衛に大西はきょとんとした顔で振り返った。
「それは優秀な警部補殿ですし、貴女の実力を初見だけで見抜く程の方ですからね。」
「…藤田さんはあぁ見えて狼ですよ…!」
「そりゃああの優しそうな藤田殿も男性ですからね。狼の一面を持っているのは当然ですよ。」
そう言う意味ではないと発狂したい権兵衛だが、話が長くなりそうだと諦め寝台から飛び降り寝巻を脱ぎ始めた。
「藤田殿を狼だとおっしゃるのなら少しは恥じらいと言うものをお持ちなさい。」
大西は呆れた様にそう言うと権兵衛に背を向けた。
(アイツに恥じらいを見せたところで何も起きやしない…。)
そう毒づきながら袴に着替えると権兵衛は大西と共に寝室を後にした。
AM10:34
東京警視庁―。
予定より少し早めに署へとやって来た権兵衛は署の事務員に声を掛けた。
「名無しの様ですね。藤田警部補のお部屋は2階の奥から3番目になります。」
事務所の来客者名簿に名を記すと、権兵衛は言われた通り2階へと向かった。
「ココか…。」
2階の廊下―奥から3番目の部屋。
忌々(いまいま)しと言いたげな顔でそう呟くと権兵衛は部屋の扉を叩いた。
「入れ。」
中から聞こえて来た声に権兵衛は首を傾げた。
その声色にいつもの様な優しげな雰囲気は無く、権兵衛の知っている斎藤一そのものだった。
「…失礼します。」
ゆっくりと扉を開けると権兵衛は部屋を覗き込んだ。