開き直る狼と猫
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「権兵衛さん。」
AM8:09
大西との契約期限となった朝―。
邸内のハウスメイドから執事、当主である大西ですら既に起床し朝食を済ませてしまっている時間。
「朝ですよ、権兵衛さん。いい加減起きなさい。」
そんな中、いつまで経っても姿を現さない権兵衛に大西は権兵衛の寝室へと出向いた。
「………。」
朝は誰よりも空腹である権兵衛はいつもなら1番に起床し食堂で朝食を食べるのにも関わらず、今は耳元の大西の声にピクリとも動かない。
「狸寝入りはお止めなさい。」
今まで大西の声に何の反応も見せていなかった権兵衛の目が、その一言でぱちりと開いた。
そして不満そうな顔を大西へ向けると布団を頭までかぶり再び眠りに入ろうとした。
「もう暴れ出しそうな程空腹ではないのですか?」
「………。」
大西の声に布団がもぞりと動いた。
どうやら図星の様だ。
「意地を張ってないで出てきなさい。」
大西は布団を勢い良く剥がすと窓のカーテンを引き暗い室内に陽の光を入れた。
「今日は署へ出向くご予定なのでしょう?早く朝食を摂って支度をしないと藤田殿をお待たせしてしまいますよ。」
─ぐう~っ
「腹の虫が返事をしましたよ。いい加減に起きなさい。」
大西に鼻を摘ままれ、やっと目を開いた権兵衛は渋い顔で大西を見上げていた。
「本当はいつもの時間に目を覚まされていたのでしょう?何故起きて来ないのですか?」
「署へ行くのが億劫(おっくう)で…。」
そう言い頭を掻きながら体を起こした権兵衛に大西はクローゼットから袴を取り出し権兵衛の膝の上へと置いた。