弄ばれる猫
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「貴女誰ッ?!剣心に何の用?!」
「へ?」
「おい、どうしたんだよ薫?」
急に豹変した娘に権兵衛が呆然としていると道場の奥から竹刀を手に持った少年が此方へと掛けて来た。
「この人、剣心の正体を知ってるわッ!」
「なんだとぉ!テメェ、まさかまた斎藤絡みの何かかッ?!」
「あれ?藤田警部補からお聞きになってらっしゃいませんか?」
少年の口から斎藤の名は出たが、目の前の二人の様子だと権兵衛が剣心を訪ねて来る事は知らないらしい。
事前に話を通しておいてもいいんじゃないのかと内心愚痴り、権兵衛は気を取り直し笑みを貼り付けた。
「申し遅れました。私時尾と申します。」
権兵衛の言葉に今度は娘と少年が呆然とした表情を浮かべた。
「時尾って…、まさか…。」
「…あの"時尾"…か?」
あの"時尾"とはどれの事だ?
権兵衛…、もとい時尾が訪ねて来る事は知らされていないが、時尾と言う名は知っているらしい。
一応今はその時尾であろう権兵衛は意味は分からないが適当に返事をした。
「…はい。時尾…です。(?)」
「マヂかよッ?!アンタがッ?!」
「本当にあの"時尾"さんなのっ?!」
「……はい。(?)」
おそらくあの"時尾"とは自分の事なのだろうと権兵衛は返事を繰り返す。
「あんな不良警官と一緒にいるなんて、大変でしょう?」
途端に娘は釣り上げていた眉を下げどこか権兵衛を哀れむように言った。
「まぁ、あんな仕事をなさっている方ですから…。」
「なんだってあんな野郎の側に居るんだよ?」
「それが私の役目ですので。」
「あんな人の側に居たら普通の生活なんてできないんじゃない?」
「これまでもそうでしたから、何てことないですよ。」
二人の斎藤に対する発言と藤田と呼んでいない事からどうやら斎藤の正体を知っているようだ。
にしては何かが変だ。
「あんな人と四六時中一緒なんて尊敬するわ。」
「四六時中と言う訳では…、お忙しい方ですから。」
「何て言って口説かれたんだ?」
(口説かれた…?)
「目を付けられたというか…、連れてこられたというか…。」
「無理強いされたの…?籍は??」
「今手続きを進めてるところです。」
「なら今からでも遅くねぇ。男作ってとんずらしちまえよ。」
(別に男を作らなくても…。)
「でもまぁ、まだまだこれからだと思うので…。」
口説かれただの、男を作れだのなんだか話が噛み合っていないような気もするが鼻の効く人間だと言っていたしこれ以上は話を膨らませないことにしよう。
生憎剣心は留守だったため権兵衛は後日出直すと伝え神谷道場を後にした。
斎藤が時尾を自分の妻だと紹介していたと権兵衛が知るのはまだ先の話だった。
-E N D-
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