弄ばれる猫
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「あぁ、そう言えば。"緋村抜刀斎"さんですが、ここを訪ねればお会いになれますよ。」
思い出したようにそう言うと藤田は懐から一枚紙切れを取り出し権兵衛へ手渡した。
「"神谷道場"…。」
権兵衛は、
(緋村の奴、新しい流派の師範にでもなったのか?)
と疑問を浮かべた。
「現在そちらに居候されているそうです。」
権兵衛の疑問に感づいたのか藤田は間髪入れずにそう返した。
居候とは言っても緋村が関わっているのならこれまで其処で何も起きていない訳がないだろうと権兵衛は思った。
藤田の元に長居するとまた粗を探され兼ねないと権兵衛は藤田に頭を下げ早々に暇を告げた。
「あぁ、それから。」
踵を返していた権兵衛は呼び止めた藤田に向き直った。
「神谷道場の方々には偽名を名乗っていて下さい。抜刀斎さんの影響からか彼らも多少は鼻が効きますから。」
「あぁ、はい。分かりました。」
もう名乗るつもりもなかった権兵衛だが名乗れと言われてしまい、訳が分からぬままに了解すると藤田の手渡した紙切れを手に署を後にした。
その背中を窓越しに眺めていた斎藤はやはり不敵な笑みを浮かべていた。
「御免下さーい。」
紙切れに記された地図を基に神谷道場へとやってきた権兵衛は道場の大門を数回叩き声を上げた。
「はい。どちら様?」
すると中から長い黒髪を頭の上で結い止めた袴姿の娘が笑顔で出迎えた。
「すみません。こちらに緋村抜刀斎さんがいらっしゃると伺ったのですが。」
権兵衛がそう言った途端に娘から笑顔が消えみるみる険しい表情へと変わった。