壬生浪との対峙
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陽が暮れた頃にもなると縁日には更に多くの人々が溢れ日頃の町とは違う賑わいを見せていた。
屋台から溢れる焼そばや焼き鳥の香ばしい匂いが辺りを漂う中、人々は子供を連れ、恋人を連れ思い思いの時間を過ごしている。
そんな中に紛れ、大西と権兵衛も屋台や出店の前を行きながら楽しげな様子で辺りを見回していた。
「賑やかでいいですねぇ。皆、本当に楽しそうだ。」
先刻屋台で買った焼き鳥を味わいながら行き交う人々を眺める大西は優しげに笑った。
その隣でリンゴ飴を頬張っている権兵衛は大西のジャケットの袖を軽く引いた。
「あれ食べましょう。」
そう言う権兵衛に視線を移すとある方向を指差していた。
「本当に飽きない方ですねぇ…。」
途端に呆れた様子で大西は息を吐いた。
権兵衛の指し示した先には綿飴を売る出店がある。
「日頃から飴ばかり食べてらっしゃるんですからこういう時くらい珍しい物を食べようとは思わないのですか?」
「綿飴はこういう時くらいしか食べられないじゃないですか。」
出店のある方へ脚を進めながら大西は権兵衛の興味を他のものへ変えさせようと仕切りに話を掛けるが、権兵衛は迷う事なく綿飴のある方を目指した。
「お母さんが心配していたよ。」
出店に着いた途端、側からそんな声が聞こえてきた。
丁度、出店の店主に注文をしようとしていた権兵衛は自分の隣を見下ろした。
そこには齢4つ程の浴衣姿の小さな少女が綿飴を片手にしゃっくり上げていた。
「嬢ちゃん、どした?」
地面にしゃがみ込みこちらに背を向けている少女に優しく声を掛けた。
振り返った少女の目や鼻は泣き腫らしたせいで真っ赤に染まっていた。
途端、権兵衛は目を見開いた。
少女の左側にいる権兵衛。
それに対して少女の右側に同じ様にしゃがみ込んでいる男がいる。
こちらに気付いた男は権兵衛に笑みを向けた。
「名無しのさん。どうも、こんばんわ。」
優しげに響く声の主。
そこにいたのは藤田五郎、もとい斎藤一だった。