壬生浪との対峙
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だが本来いろいろと不安や心配をするのは権兵衛の方なのであろうが、当の本人の心はもう既に決まっている様だった。
「旦那様の名に恥じぬよう娘として頑張りますから。」
得意気にそう言った権兵衛に大西は気が晴れた様に顔をほころばせた。
権兵衛の力を信じてここから送り出そうと決めたのだから、自分が権兵衛を信じてやらなければ。
「私の娘だからと言って甘やかさない様藤田殿には厳しくご指導頂くよう通していますから、肝に命じて置きなさい。」
途端、いつもの調子を取り戻した大西。
今の大西の発言に藤田の名があった事に権兵衛は密かに苦笑していた。
─PM7:17
夕刻。
陽も傾き日没まであと数十分程。
茜の光が室内を染めている中、支度を終え自室から出て来た権兵衛はいつもの様に帯刀している刀にふと視線を落とした。
矢張り思い出すのは昨夜の夢。
(何であんな昔の頃の事なんか夢に見たんだ…?)
これまで幕末の頃の記憶を夢に見る事など一度もなかった。
そもそも権兵衛は幼い頃からあまり夢を見る事がない程に眠りの深い体質だ。
寝ようと思えばいつでも何処ででも眠れる程だ。
なのに珍しく見た夢に寄りにもよって何故あの男が出てくるのだと内心権兵衛は頭にきていた。
今後、運良く斎藤に鉢合わせていない日はああして夢で遭遇する羽目になるのはご免被る。
夢の中で不敵に笑っていた斎藤の顔を思い出し廊下でひとり歯軋りする権兵衛の前に同じく支度を終えた大西がやって来た。
「何を百面相されているのですか?」
「縁日なんて久し振りで嬉しいやら懐かしいやらいろんな感情が面に表れた結果です。」
権兵衛は詮索をされる前に誤魔化しの言葉を即答した。
「では行きますか。もう大勢の町民で賑わっているでしょうねぇ。」
そう言った大西は実に楽しげに笑っていた。
それに笑顔を返した権兵衛は夢の事は忘れて今日は大西と存分に楽しむ事に決めた。