狼に目をつけられた猫
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自室に戻った権兵衛は刀を外し寝台に背中からどさりと倒れ込んだ。
「そう言えばアイツ…、アタシの正体には気付かなかったのか?」
斎藤とは幕末の頃に何度も殺り合った仲だ。
権兵衛が斎藤だと気付いたのなら向こうもこっちの正体に気付いていてもおかしくないはず。
だが終始あのにこにことした外面で接していた斎藤を思い出すと本気で権兵衛の正体に気付いていないのだろうか。
十数年前はまだ幼かった権兵衛も今年で齢28になる。
年をとったせいで容姿が変わって気付かなかったのだろうと権兵衛は思った。
気付かれてないのなら逆に好都合というもの。
正体がバレて今更昔の話なんかを持ち出されでもしたら何をさせるか分かったものではない。
警視庁に籍を置いてからも権兵衛は自分の昔の話は一切口外しないでおこうと決めた。
ふと部屋の時計に目を向ける。
時間は深夜1時半を示していた。
目の前の時計が大西の持つ懐中時計と重なる。
頭に浮かんだのは地下室で権兵衛の手を握り微笑んでいた大西の姿とあの言葉。
―"可愛い子には旅をさせろ"と言うでしょう?―
「へぇ~。アタシって可愛いんだ…。」
ぽつりと呟いた権兵衛は廊下で大西に言われた言葉を思い出し、明日の為に風呂に入って早く寝ようと寝巻を手に部屋を出て行った。
-E N D-
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