狼に目をつけられた猫
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「本当に良かったんですか?」
「えぇ。貴女にはもっと出きる事が沢山あるんですから。」
大西は満足そうな笑顔でそう言うと踵を返し自室へ向け歩き始めた。
その後ろを付いて歩きながら権兵衛は少し不満そうに続ける。
「可愛い娘がいなくなって寂しくなりますよ。」
「そうでしょうね。」
そうは言うもののやはり大西は権兵衛を手放す事に未練はない様だ。
そんな大西の様子に権兵衛は納得がいかないと言った表情だ。
「こんな事ならもっと早くおっしゃって下されば良かったのに。」
背中越しに聞こえてきた権兵衛の言葉に大西はため息を吐いた。
「私だって散々悩んだ末に決めたんですよ。」
「その割りには藤田さんの申し出に即答してらしたじゃないですか。」
「藤田殿の言葉でようやく踏ん切りが付いただけです。藤田殿が此方へ来たのも貴女を引き抜く為だったのですから、私の考えも間違ってはいなかったのだと確信が持てたのですよ。」
結局何も知らなかったのは自分だけだったのかと権兵衛はため息を吐いた。
「さぁ、今日はもうお休みなさい。明日は朝から買い物に付き合って頂く予定でしょう。今日の様に忘れて寝入っていたら承知しませんよ。」
「分かりました。なら今日は馬車の中で眠る事にします。」
権兵衛は得意気にそう返事を返し大西に頭を下げると自分も自室へと足を進めた。
そんな権兵衛の背中を微笑みながら見送りひとり残された大西は廊下でぽつりと呟いた。
「本当に…寂しくなるでしょうね。」