狼に目をつけられた猫
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「犯人の捕縛ご苦労様でした。」
あの後、藤田は2人と共に地下室を出ると地上の警官達に犯人の男を引き渡し今回の件についてお詫びをした。
「犯人を取り押さえて頂いた上に優秀な人材まで獲得できて、今回の件は私にとってとても有意義なものとなりましたよ。」
現場の状況を説明しながら満足そうに言う藤田。
それを更にはつらつとした表情で聞いている大西。
その2人の側で権兵衛が痺れを切らした様に口を開いた。
「引き抜きには応じますが一つ条件があります。」
「なんでしょう?」
「私はまだ旦那様と契約している身ですので、この契約が切れるまでは警視庁への在籍は見送らせて下さい。」
「律義な方ですね、感心致します。」
また例の笑顔を張り付け言った藤田に権兵衛はそろそろ見ていられないなと思い始めた。
「分かりました。ではこちらへ籍を移すのは大西様との契約が済んでからと言う事で…。」
権兵衛の申し出に藤田は思いのほか快く承諾した。
権兵衛にとってはこれが最後の悪足掻きと言ったところだ。
明日からこの男と仕事をしなさいとなるのは流石に気が滅入る。
警視庁に籍を移すまでは大西の元で思う存分羽根を伸ばさせてもらおうと権兵衛は内心呟いていた。
「本日は有難う御座いました。それでは在籍に関する事務手続きなどはまた日を改めて。」
現場の事後処理を終えると藤田は帰り際玄関先で今後の事について幾つか話した。
それを聞きながら警視庁に籍を移してからの事を思い浮かべるだけで権兵衛は更に気落ちした。
「では失礼致します。今後についてはまた後日此方からお伺い致しますので。」
「はい。お気をつけて。」
藤田を見送り玄関先には権兵衛と大西だけが残された。