cercando la chiave del mio cuore

Episodio 1

cercando la chiave del mio cuore
〜鍵を持つ者との出会い〜

 もう、本当の自分というものを覚えていない。と言ってもいいかもしれない。 そう感じてしまうほどに裏社会に身を染めている。目の前に居る様な者は、ボクを前にして男と、震えている。しかしながら、僕が何かをした訳ではないのだ。
 悪いのは、相手なのだから。ボンゴレの奴の前で偽ろうとするからだ。 全ては、養父であるドン・ボンゴレの采配なのだから。

「まぁ、この家のボクにまで悟られるとは、ずいぶんとあれですね。まぁ、準備も何もあったものじゃないですか。このボクと言っても少々他者とは違いますが」

 目の前で、刃を作り出す……いや剣と言おうか。ボクはそれで、相手の心臓を刺す。引き抜けば、ボトボトと滴る赤い血潮は地べたに有り、もうすでにその剣は消えていた。相手は怯えるばかりだった、まぁもうすでに何とも言えないのだけども。
 消えたものの行方というものは、ただ炎に戻ったと言えばいいか。何せ、ボクは大空と霧の亜種の炎を持つのだから。

「あるものとして、ないものをあるものとして調和させる。生き物でさえも、生きていると思わせる」

仕事を終える事が出来たのはとても嬉しい事である訳だ。それでも、ボクは……。ボクにとって嬉しいことは、相手にとって嫌なことや不都合なことであることを覚えておかなければならないそう思うのだ。

 さぁ、ボクの仕事を終わらせた訳だ。帰宅する場所はすでに決まっている。
「はぁ、まぁ終わった仕事だし。情報が入ったし、帰りますかね?」
「さっさと帰るっ。ったく、何でいつもいつもオレなんだぁ!」
「え、ボクは好きですよ。スクアーロの事は」
「そう言う事は、あんまり言うな」
「ボクを子ども扱いしないでくれるかい?」
「ゔぉうい!てめぇ、分かって言ってんだろうかぁ!ったく。さっさと帰るぜ」
 スクアーロはすぐ子供扱いするのだ。確かに、扱いしてほしい頃かも知れないが、してほしいとは思わないのだから放っておいてほしいと思う。
 だって、ボクはボクがやりたいように生きると決めているのだから。
「お前は、何を言われようが気にしなきゃいいんだろうかぁ」
「それが上手く出来たら、こうはならないと思いますが」
「ははっ、だろうなぁ!」

 ボクは、仕事を終えて、ボンゴレへと戻る。戻れば、義父が報告を待って いるのだから、どうにかならないものかと思ってしまうのだ。
 あまり、報告とかはしたくないっていう理由はできないわけだが、何となく、こんな気分なのだ。 だからといって、嫌だと言えないのだ。
 報告書玄ヴァリアー本部へと戻り、一時間足らずで仕上げる。
 スクアーロが確認してから、持っていく準備をすることになっているからこそ、持っていく必要があるわけで。
「面倒くさいんだよなぁ。まぁ、行って来い」
「面倒くさいんですけど仕方ありませんね。まぁ、行って来ますよ」

 そんな事を言って、ボスの所へと向かえば、最も居るらしい。
 ヴァリアー本部とボンゴレ本部は繋がっていない。だからこそ、森の間を通る道を通り、ボンゴレの裏門から入ることになる。ある意味、面倒くさいからこそ、来たくないのだ。そして、もう一人面倒くさい人物がいることが判明したわけで。
「おっ、元気にしてるか!」
 ヴァリアーと同じく……いや、それ以上に独立した立場であるチェデフのボス、沢田家光である。
「元気に決まってるでしょう。貴方は本当に、おバカさんですね?今回のことで、ケガなんてしてないから安心してくださいよ」
「それは良いことだ。で、今回の情報……あのファミリーについては、得られたかね」
「まぁね。人体実験しているみたいだね。基本的に薬を使ってやっているみたいだけども、人を切り開いてもいるみたい。だから、ボク、見たくもない資料を思うはめになったんですけどね」
 やれやれと感情を表す。とりあえず、他は資料を報告書を確認してほしいと思う。あまり、思い出したくないものばかりが載っていた。苦しむ人々の記録なぞ誰が求めてみるというのだ。正しく必要なのが、その情報が誰かに与えられていないかということだ。
「なるほど、確かに受け取ったよ。そう言えば、君はヴァリアーの面子とは仲良くしているかな」
「まぁね、レッスンしてくれるし、それが趣味な…人間ばかりでしょ。自分を守るのに大事な事だからね。ボクがいなくても、守ってくれるからね各々が自分の事を。だから、ボクはヴァリアーが好きですよ」
「まったく、大空としての資質も素質もあると言うのに、本人がこれだからな。困ったものだぜ」
「困っていないから、いいんじゃないですか。少なくともボクはボクが困っていないのだから」それが全てだと言うと、それがそうじゃないと否定するのだから、嫌なのだ。そして、面倒なのだ。
「報告が終わったので、戻りますよ。ボクは、忙しいんですけど」
「あぁ、ありがとう。確かに受け取ったよ」
「そう……なら、戻ります。何かあれば、呼び出してくださってもよろしいですよ」
 ベアトリーチェはその言葉を最後に、すぐヴァリアー本部へと戻る。 ヴァリアーは今はまだ、ボスを置いていない。代理という形で、ベアトリーチェが引き継いだのだ。その方が良いとスクアーロとマーモンが助言したからだ。
 まぁ、何とも思わない訳ではない、何せその人はボクにとって、兄貴分でも あると一方的に思っているからだ。

「ねぇ、何かムシャクシャするから行こうよ、外に」
「あい、分かった。分かった。今日は一日休みだしな。いいぜぇ!」
 いつも、ボクのことを構ってくれるスクアーロに感謝の気持ちを伝える。
 それは、いつできるのか、分かればいいけれどなんて思うけれど、いつも 何となく上手く行かない。
「はやく!」
「あー、行くぜ!」
 彼を引っ張って、外に行く。それが、彼とのコミュニケーションだ。何せ、僕の仕込み材の師は彼なのだ。だから最後まで面倒みろよと思うのだ。
「お前は考えすぎるのが難点だぁ!気の向くままにやってみろお!」
「へへ、やりますよ!!」
 構えをみせれば、始まるレッスン、いつもの日常。それはいつだって、本気のレッスン。
 そして、何か感じられるレッスン、何かが隠されていると思うのだ。彼の心の内に、何かあるが、誰も何も言わないのならば、放っておくのが一番だ。
「ボクはボクを守るために、強くなる。ただそれだけ。守られるために、 誰かが死ぬなんて、ありえないそうでしょう?」
「ゔぉうい!!うちの姫さんはそんな守られるほど弱っちくねぇぞぉ!」
 スクアーロの刃が止まる。やる刃と刃、体幹や大きさの差は大きい。 でも、彼や受け流すという行為を確かに教えてくれる。雨のような冷たさを持つ彼だけども、海のような濃い彼だけでも、案外身内には優しいのだ。

「ははっ、そうだなぁ!やってやる!」
「その勢いだぁ!本気で向かって来い!」

 死をもたらさない戦い。それは、スクアーロが調整しているからでもある。
 彼の本気は強いのだからこそ、本気で向かうのだ。彼にいつか本気を出してもらうために、彼に勝つというよりも彼に認めてもらえるように。
 ボクは七年前に親を失くした。マフィア対マフィアの抗争の結果だと、ガナッシュが、彼が教えてくれた。その後は、彼がボクが住む家と自分の家を行き来してくれた。しかし、状況が変わったのは、 彼が毎日来ていたのが二日、三日に一回となった後、彼は言ったのだ。
「ボンゴレで生活してみないか」と。こうして、今はここに居る訳だ。
 まぁ、半強制的に行くことになった。この場所にその理由は知らない。知らされていない。 でも、自らを守れる力がこうして手に入った。まだまだ、成長途中だけど。それに、この場所に居れば、何かある気がするから。
 私は、自分を着飾るとかそうせざる得ない場所は無い訳で。 ボクはボクらしく過ごしている、と思っている。毎日、毎日勉強orレッスンか、本当に好きにしているか。ボクの母は気まぐれに作家をしていて、それを読み聴かせのように、録音してくれていた。それは、王族や貴族が使うクイーンズ(キングス) イングリッシュから、 ロンドン発音の英語もあったし、ウェールズ語やスコットランド語にアイルランド語なんてものもあった。母は英国、イングランド出身だったはずだ。まぁ、だからこう、英国の言語をボクに教える意味もあったのだろう。それは、ボクの宝物だ。
 父は父で、様々な本を残してくれている。本当に範囲が広い。それらがたくさんあるのだから、嬉しいのだ。
 まぁ、今日も今日と、過ぎゆく時間を家庭教師と過ごし、様々な教師と関わる。スクアーロに勉強内容を伝えてみれば、驚き方はすごかった。

「ゔぉおおぉい!?」
「何でそんなに驚くの?」
 目を見開いて、驚きその後の言葉を失っている。それを引き継いだのは、ヴァリアーでも年齢の低い方であるベルフェゴールだった。
「はぁ、ひめボンゴレの血筋じゃねーよな?」 「どーいう事?確かに勘は良いけど?」
「本人が知らねえんだもんなぁ」
「こればっかりは、どうしようもねぇぜぇ」
 はぁーという大きなため息をつかれてしまったものの、ボクはボクなのだから血筋がどーのこーのというのは別にいい。しかし、皆のこの反応は何かあるのだろうかと思ってしまう。何か、裏で、事が動いているそんな気がしたのだ。
「ヴァリアーのボスにでも、仕立てあげようとしてんじゃねーの?」
 そう、ベルフェゴールがつぶやいた言葉に、何か意味ありげにしっくりと来てしまう自分がいた。ベルフェゴールの言葉にマーモンも近しい意見のようだ。ほら、小さい頭を頷かせている。まぁ、なるほどという形であるからして、理解はできてしまうのだ。まぁ、一時的にはなってはいるけれど。

「ボクはそんな地位とかいらないなぁ、自分を守れればいいだけだしねぇ」
「まめ、てめーのその考えがれ達がてめーにボス代理をさせる理由だあ」
「何も聞かないからねえ。まぁ、ボクはボクらしくあればいいんですよ。本当」
ケラケラと笑って見せれば、彼らは安心したようにボクに、それぞれの笑みを向けるのだ。だって、人の心など見る必要なんてないのだ
「信頼さえ、してくれればボクはボクらしく、のらりくらりしていますよ」
「あー、そろえば。そろそろ、会議だぁ。イタリア同盟ファミリー会議。つまりだぁ」
 彼は、ボスという単語で思い出したらしい。それを教えてくれるのは、優しいと思う。彼が、書類棚から一冊の資料束を出した。

「まぁ、ここずっと、副隊長が行っていたのよねぇ。で、ほらリーチェに来いって、ボンゴレがったみたいなのよ」
 ルッスーリアが、ボクにそう情報を付け足してくれた。優しい人だとボクは思っている。
「ありゃ、で。ボクは行かなきゃならない訳ですね」
「と、言う事だ。イタリアの同盟ファミリーが集まる。お前のサポートで、オレが入ることになったぁ。オレが基本的に事務関係やってるからなぁ。という事で、顔と名前、ファミリーの名前と特徴を覚えてもらうぞ」
「はー、めんどうですね。まぁ、命令ですからね、嫌ですよ、とは言わずにやってやりますよ」

 そうして、今日から、この会議に関する勉強をするハメになった訳だが、もう会議はすぐそこにはあった。

 会議は、本日となった訳だが、リーチェとしても、何を話すのか分かっていない訳でもない。
 スクアーロと他の人たちとも話し合ったし、 大丈夫だと思っているし、分かっているから、何とかなるだろうと思うし。
スクアーロとは別行動をする事になった当日。
ボンゴレにより指定されているところの下見に来た。会議室に向かうまでの道のりは、一本道になっている所が使用されている。
 それは、情報の流出を防止するという意味もある。一応、ボンゴレ内部だから、監視をしている人は居るが。
「あめんどうだよねぇと思わなくはないですね。何か無いか」
 それを見てから、ボス達が車から降りて来るのを見ていた。そうしていれば、 何となく、ボクにとって良い事がある気がした。それが、何なのか誰かはわからない。

「まぁ、いいや。今の所は、全員は来ていないんですね?」
 そう、護衛や警備にあたる集団の一人に聞けば返って来るのは「そうだぜ」というもの、ガナッシュさんがここはまとめているらしい。

「内はコヨーテだからな。オレは外」
「なるほど、分かりました。守護者が大集合という事ですね」
「そういう事だ。さぁ、頑張れよ。お前と近い歳のやつがいるしな」
 そんな書いてあった事を話すのとはまた違う気楽な話し方で情報を入れて来る。その人にもか!っていう気持ちもある、何かボクのことを話しているのかもしれないからね。
「あと、少し待ってろよ」

 その三十分後に、スクアーロと合流したペアトリーチェは、チェデラの家光と共に中に入る。基本的にボスとその側近の空間はあ意味、権力のかたまりかも知れない。
 人それぞれに、威在感があるのを感じる。 優しい感じがする人も、怖い感じがする人々も居る。

「今回は、特に問題となる事はあまりないかと思うんだよなぁ」
「でも、そう言う風にゆる訳やも知れない」
「やなる訳でもない。ってことですよね?」
「今回は、オレも知らねえからな」

 という話が出来た所で、気になる気配もあった。が、今は言わない方が いいだろうという事に気付いた。しかしながら。今は知らないので放っておく事にする。

「さて、と。そろそろ来るか」

 ボンゴレ九代目が来れば、会議が始まる。こればかりは、しかたない。会議が始まるや、ボンゴレは、そのまま題を言う。今回は、何と言うかあれだ。

「ここ最近、抗争が国内外問わず、増えていることに焦点を当てたい」
「という事で、各々抗争ファミリー相手の情報と状況の共有がしたい。一ヶ月の抗争について何か知っているファミリーは居るか?」
「情報をよろしく頼むよ」

 別々のボスから様々な情報が共有されて行く。が、この情報は正のかという事が頭がよぎる。が、共通点が一つ、二つはあるか。さすが、水面下で作られたファミリーを把握するのは難しいからね。
 因みに、ボンゴレが主体とする同盟でボンゴレと独立暗殺部隊ヴァリアー、門外顧問機関チェデフを省き、勢力図を見る。
 第一勢力は理想的を意味するイデアーレファミリーだ。続いて、第二勢力は挑戦を意味するスフィーダファミリーである。第三勢力は宵を意味するセラータファミリーだ。しかしながら、ここの所勢いが良いキャバッローネファミリーが構成員数を増加させているため、第三勢力の交代が予想されているらしい。多分、そのボスはガナッシュが先程言った彼だろう。
「ありがとう、後ほどそれぞれに紙での情報を頼むかも知れないが、そのときはよろしく頼むよ」
そんな言葉で、一度この話は閉じた。ここからは、様々な議論や情報交換される。マフィアのあり方はこの時に確認されるようなものだ。 まず、思わぬ出来事等々で代替わりがあったファミリーの有無から始まる。今回は一つのファミリーが交代している。そのファミリーは、代先ボスの病による急死だそうだ。

「急な世代交代は大変だろう。何かれている事はあるかね?」
「実を言うと、フロント企業の経営があまり、得意ではなくて」
「ああ、それは先代が経営が得意ではなかったね。そこのカバーをしているのが、キャバッローネのディーノくんじゃな」
「まぁ、何とか黒字回復させたばかりだぜ?」
「ボスは、人の懐に入るのが上手いんだよ。だから、結構、支援は受けてれんじゃねーか?」
 ここからは、会社運営のコツ等々の話し合いが始まった。なんだこれは……と思うけれども。この会議は続いていった。

 そうして、懇談会に引っ張り出されたのだが壁側でのんびりしていると、小さい奴がボクのもとにやってきた。そうして、今彼が家庭教師をしているらしい生徒を連れてきている。まさか、こうして会わせてくるとは。
 彼の腕の中に抱かれて、リボーンがいる。黒い悪魔みたいなやつだと密かに思っているのだ。バレてしまうのがとても、もったいない気がする。
「ちゃおっす、元気そうだな」
「元気ですよ、先生」
 くいっと彼は帽子をあげて挨拶してきてくれたからこそ、それを真似て挨拶を返した。
「なにか御用ですか?」
 もしかして、九代目に何か言われてきたんじゃなかろうかと不信感をあらわにして問うてやる。そうれば、リボーンはしかめっ面をした。
「そうイライラするんじゃねーぞ、ベアトリーチェ」
「へいへい、わかってますよ。で、何かあった?一応、ヴァリアーも警備に入っているから、何かしら抗争が起きかけてるとかはないとは思いますけど」
 まぁ、リボーンのことだ警備の不備だとかそういうのも確認してきそうだとは思うけれど、今回はそれじゃ無さそうだし。一番あり得るのが、彼に会わせることだろう。
「それじゃねーぞ。ベアトリーチェに、ディーノを会わせようと思ってな」
 ほら、やっぱり。それが、九代目の息が掛かっているのか、ないのかが大切なのだ。それも、探りたいけれど、ここまで話して終わりは確かにおかしい気がする。
「ふーん……まぁ、今は暇ですよ。すごぉく、暇……。そうですね、挨拶回り終わったなら、暇潰しのお相手してくださる?」
 だからこそ、相手しろと向こう側に言ってみることにした。挑戦をふっかけるみたいに。それでも、彼は気にせずにニカッと笑う。何だか、無邪気な笑みに近い気がして、ボクの張り詰めていたなにか、気が抜けるような感覚があった。
「おっ、いいぜ。改めて、キャバッローネ10代目ボス、ディーノだ」
「初めまして、ヴァリアーボス代理ベアトリーチェです。両親はしっかり覚えているのにも関わらずに、何故かドン・ボンゴレに引き取られた子ども。周りからは、ザンザスみたいな事にならなきゃいいなって言われる、養女です」
 本当のことでもあるから、言われた言葉を簡略化して伝えてみる。相手はどうでるだろう。お前を知らないからそれは判断できねーな?が相場だろうか。そうじゃなかったら、どうなるのだろうか。なんて、興味を持った。この人なら、なるんじゃねーの?とかは、言わない気がするから。
「まぁ、どうであれ、お前はお前だろ?」
 なんで、そんな事言うんだろうな。と、ディーノはふざけた様子もなく真面目に、そう言ってきた。きょとんとしそうになるけれど、ボクは動揺をしてないように、装う。前から装うのは得意だからだ。
「そうですけどね。でも、初対面で当たり前のことを言ってくれる人はいませんね」
 だって、そうでしょう?と、上手く話を持っていく事ができるように願った。何故、願うのかはよくわからないけれど。
「そうか?オレのファミリーが、オレを受け入れてくれるからな。オレらしいところもちゃんと残して、ボスとして成長したいってオレ自身が思ってるからそう言えるのかも知れねーな」
 まぁ、何ていうか素直な人なんだろうなと思うというか感じた。少なからずもボスとして生きてきた人が、こんな事を言うとは思ってなかったから、素直にボクも興味が湧いてきた。大切な人はあまり作りたくないのに。
「ふーん……」
 疑問に思ってます、みたいな態度を装えば、ディーノは苦笑いをしながらも、ボクにその事を肯定してきたのだ。
「まぁ、疑問に思うのもいいんじゃねーか?」
「別に、疑ってはいませんよ。何か、その方が気が楽だなと思っただけですから」
 まぁ、自分らしくいることを考えている方が気が楽なのだ、人に従うだとか、誰かの命令を聞くだとかよりも。
「おっ、珍しいな。お前、素のお前自身を見せるのを嫌うだろ。誰だろうと心にさわられたりすれば、のらりくらりと躱すのに、今のお前はディーノにはやけに素直だな」
 リボーンはそういうけれど、今のボクは素直なのだろうか。よくわからないけれど、そう言われるならそうかもしれない。
「意地悪だなぁ、そんな事言ってるから嫌われるのですよ。まぁ、貴方には関係ないことかもしれませんが」
 意地悪なやつには意地悪で返してやろうと思う。子供っぽいとか考える必要なく、ボクは子供なのだから。
「バイパーの事を言ってんだろ。ったく、どいつもこいつも反抗期が来てやがるんだぞ」
「はっ、誰が反抗期ですか。反抗させているのはそちらの方ですね。まぁ、今は言い争う気はありません、けども」
 反抗期、反抗期その言葉は何度が聞いてるわ!と思う。だって、反抗させているのは向こう側だから、こちらがどうのこうのと考えたって、向こう側が考えなきゃ、かえなきゃ、何にもならないのだ。
「思うところがあるじゃねーか!面白いやつだなぁ」
 ボクとリボーンのやり取りを聞いていたらしい。いや、まぁこの距離だし聞いていないほうがおかしい訳で。
「リボーンにも九代目にも言いたいことは沢山ありますよ」
 彼は、ボクの頭に手を乗せて、頭を撫でてくれる。そういえば、こうしてちゃんと僕の背丈に合わせて、目を見て誰かが撫でてくれたのは、誰かに撫でてもらったのはいつ頃だったっけ、最後は父親だった気もしなくもないし、母親だった気もしなくもない。
「不満は、貯め過ぎんなよ。いつか、爆発してしまうぜ?発散できる相手がなかなか見つかんね~かも知れねーけどよ。ちゃんと、それを話せるやつを見つけてやれよ、自分のためにもな」
 そうやって、ボクのことを気遣ってくれる優しい人なんだろうなと言うのが、第一印象かもしれないね。
「周りは殆どが、ボスの息がかかってるけどね。ヴァリアーは、どうせザンザス兄さんのだし」
「まだ、その考え方か」
「別にいいでしょ。ヴァリアーは、ボクが守らなくても自分で自分を守るじゃないですか。誰かを守るなんて、面倒なことしたくないんですよ……もう、ね」
「相変わらずだな」
「何か、よくわかんねぇやつだな。でも、それがお前の考え方なんだろ。否定されるのは、嫌だよな」
 苦笑いしながら、僕らの話を聞いて思ったことを話してくる。それは、少しでも肯定してくれているかのような表現で。ボクは、嬉しくなる。
「相変わらずだとか、大空らしくないとか言われようがボクは自分自身を守ることが大事なことですから」
「大空って、結局さ。オレは、誰かがそう思ってくれることが重要なんじゃねーかと思うんだ。  だってよ、オレだって……ロマーリオ達が、ファミリー達がオレを必要としてくれるからこそ大空として、ボスとして、こいつらの前に立ってるわけだ。必要とされてなかったら、大空であったって意味がねぇだろ?
 お前の事をヴァリアーが少しでも受け入れてくれているなら、お前があいつらの大空の一人なんじゃねーか?
 だから、何を言われようが自分は大空なんだって言ってやれば良い」
 リボーンが見ているのにも関わらず、伝えたいことを伝えてくる。とても、誠実で優しい人なのかも知れない。マフィアらしくない、それがボクの感じたことだった。
「まぁ、そうかも知れませんね」
「だろ?」
 何だかんだと、ディーノと話していれば九代目が家光を連れてやって来たわけだ。
 何故か、ボンゴレ、チェデフ、ヴァリアーはある程度の独立関係であるはずなのに。
「何か御用ですか?おじい様」
 家光がいると、やけにイライラ感が強まるのだだから、ボクは本当は去ってしまいたい。と、思ってしまう。
「いや、珍しくベアトリーチェが話し込んでいるから気になってしまったんじゃよ。ところで、スクアーロくんはどこに行ったんじゃ?」
「ヴァリアーでも、会議及び懇談会の人員配置してるからその管理に行きましたよ」
 スクアーロは、本当はこの場は嫌いだと帰ってしまっただけだ。それとなく、もっともらしい言葉を並べる。そうすれば、納得したらしい。
「なるほど、別行動することにしたのか。相変わらず、自由な奴らだな」
「僕が指示したのですから、こちらへの干渉は謹んでいただけますか?独立した関係、仕事のやり方については、口出ししないでいただきたい」 
「まったく……困った子だな。相変わらず」
 そんな、言葉にボクはイライラ感がまた高まっていた。
「ボクはボクらのやり方を考えているだけ。彼らは、こっちには馴染みにくいとご理解していただけないのですか?まぁ、いいですけど。ボクは帰りますよ、スクアーロと合流せざる得ないので」
 と、言いベアトリーチェは制服を翻して、去っていくことにした。後ろでやいやい言っている声は無視をすることに決めたのだ。

 残った人々の会話……。
「……。あの子は自分を守るそればかりに目をむけてしまうんじゃよ。本当は、自分も人も傷つくのが嫌な優しい子なのに」
「まぁ、でもよ。あいつの姿勢に導かれてファミリーが強くなるってこともあるんじゃねーか?なんて、思ったりもするけど。ベアトリーチェはヴァリアー所属なんだもんな」
「そうだぞ」
「何か、悩んでるというか……不思議な感じがするんだよなぁ。まぁ、とりあえずはあいつのこと知ってやりたいなとは思うぜ」
「お前はそういうやつだしな」
「ディーノくんなら、ちょうどいいかもしれないのぉ」
「九代目?嫌だぜ、オレ難しいことは」
「ディーノくんに、あの子を任せてみたいと思うんじゃよ」
「まぁ、いいですけど。アイツのことを受け入れれば良いんですか?ファミリーの中に」
「そういうことじゃよ。あの子はまだ十二歳、だからこそ一人きりだとは思ってほしくはないんじゃよ」
「まぁ、オレでいいならいつでもいいですよ」
「任せたよ、ディーノくん」

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