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朝チュンなアズ監

 


 カーテンの隙間から溢れる日差しが眩しくてゆっくり瞼を開くと、見慣れない天井が視界に映る。目の前で眠るアズール先輩が視界に入り、昨夜あった出来事を思い出す。
 ああ、そっか。昨夜はオクタヴィネルに泊まって、そのままアズール先輩と……。
 おっかなびっくり、大切なものを壊さないように優しく触れてきた先輩の細い指。雄々しく攻め立てたかと思えば甘えるように私の首筋に吸いついてきたりと、とにかく甘い夜を先輩と過ごした。
 一晩中アズール先輩に愛されたことを思い出してしまえば、あまりの恥ずかしさで熱く茹った顔を両手で覆う。
 アズール先輩が起きる前に服を着てしまおう。
 昨夜は行為が終わって間も無く私は寝落ちしてしまったようで、生まれたままの姿でアズール先輩の腕の中に閉じ込められてすやすやと眠っていた。
 確か昨夜は、全身ぐしょぐしょになっていたはずなのに、今は特に不快感を覚えない辺りきっと、私が眠ってしまった後にアズール先輩が後処理をしてくれたのだろう。
 お礼の代わりにアズール先輩の頬をひと撫でするも、彼は幼い子どものような表情で、いまだに眠っているようだった。よっぽと疲弊しているのだろう。
 アズール先輩を起こさないようこっそりと腕から抜け出し、ベッドの淵に座って、床に放り投げられたままの自分の下着を拾おうとした時。

「……ユウ……さん…………」

 自分の腕の中から私がいなくなったことを不安に思ったのかアズール先輩は寝ぼけ眼のまま、シーツの上を手探りで私を探していた。
 さすがに可愛すぎないか、と胸の内からアズール先輩への愛おしさが込み上げてきて、咄嗟に彼の彷徨っていた手をぎゅっと握る。

「アズール先輩、私はここにいますよ」

「……ユウさん……ユウさん……僕のユウさん……」
 私の手をぎゅっとアズール先輩は握り返すと、自分の頬まで私の手を引き寄せ、すりっと頬擦りをするように甘えられる。なにそれ可愛すぎる。
 心臓はきゅんきゅんとさらに甘く締め付けられ、今にもアズール先輩に飛びついて抱きしめたいくらいには好きが溢れかえって仕方ない。

「ふふふっ私はどこにもいきませんよ。服を着るだけなので安心してください」

 そう言ってアズール先輩を安心させた後、再びベッドの下に落ちている下着に手を伸ばすも、ぐいっとそのまま腕を後ろに引かれ、私はまたアズール先輩の腕の中へと強制的に戻された。
アズール先輩って意外と甘えん坊で可愛いなあとか、もう少し一緒に寝たいのかなぁとか、考えながら、先輩の背中に腕を回し、子どもをあやす様にその背を撫でていると、いつの間にやら覚醒していた先輩が起き上がり、あっという間に私は組み敷かれてしまう。

「えっと……おはようございます……? さっきまでふにゃふにゃしてたのに、いつの間にか覚醒してたんですね……?」

「朝っぱらからあなたが僕を煽るようなことをするので、すっかり目が醒めてしまいました」

 締め切ったカーテンの隙間から零れた朝日が薄暗い室内に差し込み、先輩の顔を照らす。その表情は情欲に溺れたような艶やかな笑みに見え、ぞくりと背筋が粟立つ。

「先輩、まさか……」

「はい、そのまさかです」

 昨夜あれだけ私のすべてを貪り食っておきながら、まだ足りないというのだろうか。こちとらもう全身筋肉痛だし、体力はまだ回復しきってなくてくたくたなのに!

「えっと、その、私はまだちょっと眠りたいなぁ……なんて…」

「僕はもっとあなたのことを愛したいのですが……だめですか……?」

 ああああああ! もう! そんな捨てられた子犬のような目で私を見つめないで! 大好きな人にそんな目で見つめられたら断ろうにも断れないじゃないか。恐るべし、十七歳男子高校生の性欲。
 私は全てを諦め、アズール先輩にこの身を委ねるべく、自ら彼の唇に己の唇を重ねた。

 その後はもうお察しの通り。
 せっかくの休日だったのに、次に目が覚めたときはもう空は茜色に染まりきっていたし、私の足腰は完全に立たなくなってしまい、アズール先輩に何から何まで世話を焼いてもらうこととなってしまった。

「迷惑かけてすみません……」

 あまりの申し訳なさに私がぼそりと小さな声で謝罪すると、アズール先輩は一瞬きょとんとした表情をした後、こう言った。

「むしろ、身動きの取れない愛する番の世話を焼くだなんて、僕は楽しくて仕方ないのですけどね」

 そう言ったアズール先輩の表情はとても満足げで、そのスカイブルーの瞳は愛おしそうに私だけを移していた。

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