マニアックな彼女と普通の彼氏で5題
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は平日だが、珍しく俺の部活のオフの日と彼女のバイト休みが重なった。
最近は専ら土日会うことが中心だったので、下校しながら由紀の自宅へ向かうというこのシチュエーションは中々に久しぶりだ。
「なんか久しぶりだね、こうして一緒に帰るの」
「ん?あぁそうじゃのう」
「ふふ、なんか付き合いたての頃に戻った気分」
心の中を読まれたかと思い一瞬驚いたが、そういうことではないらしい。単純に俺とこうして手を繋いで下校することが楽しいだけのようだ。
「本当、お前さんは単純というかなんと言うか」
「馬鹿にしてる?」
「いや?ほら、そんな膨れっ面したら可愛い顔が台無しじゃ」
「誤魔化した…」
まあまあと拗ねる彼女を宥めながら、それでも握った手は離さずに二人で帰路につく。
ほどなくして由紀の自宅にたどり着き、いつもの流れでまずはご両親に挨拶、するはずだった。
彼女がドアを開けようと手を伸ばした直後、ガチャリと勢いよく玄関ドアが開かれる。
「由紀ー!」
「え?あ、お姉ちゃん」
中から出てきたのは、まるで未来の彼女が現れたのかと錯覚するほど顔がそっくりな、由紀の姉だった。
姉の話は何度か聞いたことがある。
東京の某有名大学の2年生で、今は実家を出て大学の近くで一人暮らしをしているらしい。
性格は優しく明るく、昔から老若男女問わず好かれるような人だと、自分の姉のことを由紀はいつも嬉しそうに話していた。
そういえば、原稿に使う背景設定資料集はこの姉作だと以前アシスタントをした際に言っていたような気がする。
もしかして由紀と似た趣味をもっているのだろうかと気にはなったがこの場では言及しないことにする。
「あれ?君がもしかして雅治君?」
俺の存在に気づいた姉がじっと見てくる。
お互いのことを話では聞いていたが実際に会うのはこの日が初めてだった。
「初めまして、仁王雅は…」
「ちょっと由紀!めちゃくちゃイケメン君じゃん!!あんた本当に自分の趣味包み隠さず話してるの!?このイケメン君に!?」
自己紹介をしかけたのだが、姉の勢いのあるトークに俺の声はかき消される。
興奮すると止まらないこの感じは姉妹そっくりだった。
「うん、雅治は全部知った上で受け止めてくれたんだよ。ね?」
「ん?あぁ。おかげでだいぶ無心でBL原稿手伝えるようになってきたしのう」
「あんた自分の彼氏になんてことさせてんのよ」
「ははは…つい」
ここではなんだからという彼女の姉の言葉に甘え、部屋にあがらせてもらうことにする。
どうやら両親は留守にしているようだった。
バタンと彼女の部屋の扉が閉められる。
さも当然かのように、姉は妹の部屋でくつろぎ始めていた。
由紀もとくに気にしていない様子で、違和感を感じているのはどうやら俺だけのようだ。
このマイペースさも姉妹そっくりだなと感心する。
「ところでお姉ちゃん、今日はどうして帰ってきたの?」
「あ、あんたとお母さんとお父さんにね、彼氏紹介しようと思って」
おぉ、これは急展開。
彼女はあんぐりと口を開けていた。
「え、彼氏!?お姉ちゃんに!?その彼氏お姉ちゃんの趣味受け入れてくれてるの!?」
「勿論!じゃなきゃ付き合わないって」
ふふんとピースサインをこちらに送る彼女の姉。
この会話から察するにどうやらこの姉妹、同類らしいことが窺える。
「うーん、そろそろ来る頃だと思うんだけど」
そういった直後、ピンポーンとチャイムが鳴る。
どうやら姉の彼氏ご登場のようだ。
ぱたぱたと1階の玄関へ駆けていく姉。
俺の彼女の方はどうにもそわそわした様子で落ち着かない。
「何、そんなに楽しみなんか」
「うん、お姉ちゃんもわたしと一緒でずっと趣味のこと隠して人と付き合って、たくさん失敗してきてるから…今度の人はありのままのお姉ちゃんを好きになってくれてる人なんだなと思ったら嬉しくて」
まるで自分のことのように嬉しそうに話す彼女が愛しくて、俺は無意識のうちに彼女に口付けていた。
「お前さんは本当に、単純で純粋で…可愛い奴やのう」
「…っ」
彼女は突如顔を真っ赤にする。
もう一度口付けようと顔を寄せたとき、ばたばたと階段をあがる足音が聞こえたので仕方なく一旦引き下がる。
「お待たせしました!私の彼氏のひーくんです!」
次の瞬間、現れた姉の彼氏の姿に俺も彼女も呆然とすることになる。
「おや、仁王君と神崎さんじゃありませんか」
「「柳生(君)!!?」」
「あれ?もしかして三人とも知り合い?」
この姉妹を似た者同士と呼ぶならば
俺と相方もとことん似た者同士と呼べるだろう。
「まさか神崎さんのお姉さんだったとは知りませんでした」
「しかも雅治くんの部活のパートナーだったとはねえ」
「ふむ、じゃあもしかしたらいつか仁王君と神崎さんが義理の弟と妹になるかもしれないんですね」
「柳生くんそれいいね!素敵!」
「(勘弁してくれ…)」
最近は専ら土日会うことが中心だったので、下校しながら由紀の自宅へ向かうというこのシチュエーションは中々に久しぶりだ。
「なんか久しぶりだね、こうして一緒に帰るの」
「ん?あぁそうじゃのう」
「ふふ、なんか付き合いたての頃に戻った気分」
心の中を読まれたかと思い一瞬驚いたが、そういうことではないらしい。単純に俺とこうして手を繋いで下校することが楽しいだけのようだ。
「本当、お前さんは単純というかなんと言うか」
「馬鹿にしてる?」
「いや?ほら、そんな膨れっ面したら可愛い顔が台無しじゃ」
「誤魔化した…」
まあまあと拗ねる彼女を宥めながら、それでも握った手は離さずに二人で帰路につく。
ほどなくして由紀の自宅にたどり着き、いつもの流れでまずはご両親に挨拶、するはずだった。
彼女がドアを開けようと手を伸ばした直後、ガチャリと勢いよく玄関ドアが開かれる。
「由紀ー!」
「え?あ、お姉ちゃん」
中から出てきたのは、まるで未来の彼女が現れたのかと錯覚するほど顔がそっくりな、由紀の姉だった。
姉の話は何度か聞いたことがある。
東京の某有名大学の2年生で、今は実家を出て大学の近くで一人暮らしをしているらしい。
性格は優しく明るく、昔から老若男女問わず好かれるような人だと、自分の姉のことを由紀はいつも嬉しそうに話していた。
そういえば、原稿に使う背景設定資料集はこの姉作だと以前アシスタントをした際に言っていたような気がする。
もしかして由紀と似た趣味をもっているのだろうかと気にはなったがこの場では言及しないことにする。
「あれ?君がもしかして雅治君?」
俺の存在に気づいた姉がじっと見てくる。
お互いのことを話では聞いていたが実際に会うのはこの日が初めてだった。
「初めまして、仁王雅は…」
「ちょっと由紀!めちゃくちゃイケメン君じゃん!!あんた本当に自分の趣味包み隠さず話してるの!?このイケメン君に!?」
自己紹介をしかけたのだが、姉の勢いのあるトークに俺の声はかき消される。
興奮すると止まらないこの感じは姉妹そっくりだった。
「うん、雅治は全部知った上で受け止めてくれたんだよ。ね?」
「ん?あぁ。おかげでだいぶ無心でBL原稿手伝えるようになってきたしのう」
「あんた自分の彼氏になんてことさせてんのよ」
「ははは…つい」
ここではなんだからという彼女の姉の言葉に甘え、部屋にあがらせてもらうことにする。
どうやら両親は留守にしているようだった。
バタンと彼女の部屋の扉が閉められる。
さも当然かのように、姉は妹の部屋でくつろぎ始めていた。
由紀もとくに気にしていない様子で、違和感を感じているのはどうやら俺だけのようだ。
このマイペースさも姉妹そっくりだなと感心する。
「ところでお姉ちゃん、今日はどうして帰ってきたの?」
「あ、あんたとお母さんとお父さんにね、彼氏紹介しようと思って」
おぉ、これは急展開。
彼女はあんぐりと口を開けていた。
「え、彼氏!?お姉ちゃんに!?その彼氏お姉ちゃんの趣味受け入れてくれてるの!?」
「勿論!じゃなきゃ付き合わないって」
ふふんとピースサインをこちらに送る彼女の姉。
この会話から察するにどうやらこの姉妹、同類らしいことが窺える。
「うーん、そろそろ来る頃だと思うんだけど」
そういった直後、ピンポーンとチャイムが鳴る。
どうやら姉の彼氏ご登場のようだ。
ぱたぱたと1階の玄関へ駆けていく姉。
俺の彼女の方はどうにもそわそわした様子で落ち着かない。
「何、そんなに楽しみなんか」
「うん、お姉ちゃんもわたしと一緒でずっと趣味のこと隠して人と付き合って、たくさん失敗してきてるから…今度の人はありのままのお姉ちゃんを好きになってくれてる人なんだなと思ったら嬉しくて」
まるで自分のことのように嬉しそうに話す彼女が愛しくて、俺は無意識のうちに彼女に口付けていた。
「お前さんは本当に、単純で純粋で…可愛い奴やのう」
「…っ」
彼女は突如顔を真っ赤にする。
もう一度口付けようと顔を寄せたとき、ばたばたと階段をあがる足音が聞こえたので仕方なく一旦引き下がる。
「お待たせしました!私の彼氏のひーくんです!」
次の瞬間、現れた姉の彼氏の姿に俺も彼女も呆然とすることになる。
「おや、仁王君と神崎さんじゃありませんか」
「「柳生(君)!!?」」
「あれ?もしかして三人とも知り合い?」
この姉妹を似た者同士と呼ぶならば
俺と相方もとことん似た者同士と呼べるだろう。
「まさか神崎さんのお姉さんだったとは知りませんでした」
「しかも雅治くんの部活のパートナーだったとはねえ」
「ふむ、じゃあもしかしたらいつか仁王君と神崎さんが義理の弟と妹になるかもしれないんですね」
「柳生くんそれいいね!素敵!」
「(勘弁してくれ…)」