マニアックな彼女と普通の彼氏で5題
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時は流れて2年後。
高校2年生となった俺たちの関係は未だ良好。
彼女のオタクっぷりも健在
「雅治ごめんね!今週の土日はちょっと会えないんだ」
「のう由紀。当ててやろうか。
原稿終わってないんじゃろ」
「あぁぁぁぁごめんなさいいいい」
いや、磨きがかかっていた。
高校にあがり、オタク資金確保のために平日アルバイトを始めた彼女。
同じクラスなので教室でも常に顔をあわせるし、俺は俺で放課後は部活があるので、お互い様だと思っているが、土日のデートまで全て断られることには多少の不満があった。
最近は同人活動にも力を入れているようで、時折こうして原稿の締め切りが近づくと予定を全てシャットアウトされる。
正直おもしろくない。
別に特別どこかに行かなくても、俺は由紀と一緒の空間にいられればそれでいいのに、その時間さえ作ってもらえないとなるとさすがの俺でも寂しさを感じる。
ただこの彼女、普段から色々とアンテナを張り巡らしているからか、人の気持ちや反応にたいしての察しが良い。
今日も、俺がこうして不満そうにしていると(顔には出さないようにしているが)すぐに気づき申し訳なさそうにまたごめんねと言う。
そんな顔、させたいわけじゃないんだが。
「わかっとるなら…せめて部屋に一緒にいさせてくれんかのう」
「私、雅治と一緒にいるとつい見ちゃうし手が止まっちゃって…」
んー、と何かいい案はないかと思考を巡らせた結果
「じゃあ由紀、一緒に原稿やるってのはどうじゃ」
「え、本気で言ってます?」
週末になり、俺はいま由紀の自室のローテーブルの前に座っている。
なんとか約束をとりつけたが、自分で言い出したもののやはり多少の緊張が走る。
何せ、俺が由紀の描く漫画の原稿を見るのはこれが初めてだからだ。
「私のはストーリー重視であんまり…その…生々しい展開はないから比較的大丈夫だとは思うんだけど…思うんだけど!やっぱり無理だってなったらすぐに言ってね」
「…プリっ」
まずはぱらぱらと一通り原稿を眺める。
まぁ予想はしていたが主役もその相手も恋敵もすべて男男男。
次に今日俺がやる作業のベタとやらのやり方を教えてもらう。
×印が入ってる箇所を黒く塗り潰していくんだそうだ。
試しにやってみると初めてにしては上手にできた。
由紀も、センスいい!これならいける!と目を凛々と輝かせていた。
意外と作業自体は楽しく、集中もでき何とか夕方には残ってたすべてのベタ塗り作業が終了した。
「雅治お疲れ様!すごーい!」
「お疲れさん」
二人でハイタッチをかわす。
少ししか手を貸していないが、謎の達成感があった。
「残る作業は背景だけだから、明日わたし一人で地道に…」
「背景?」
「うん、私が撮ってきた写真とかを元に、姉がオリジナルの背景集作ってくれてね。それを見本にしていつも背景を描いてるの。わたしどうも背景が苦手で後回しにしちゃうからこうして最後に残っちゃんだよね」
ははは、と由紀は疲れた笑いを見せる。
背景…ようするに模写か
「由紀、ちと紙とペン貸してくれんか」
そういって借りた道具でさらさらと、真っ白な小さいキャンパスに、背景とやらを描いていく。
ほんの数分で描き終えたそれを彼女に手渡すとしばらく凝視。
「こ…れは……っ」
がしりと俺の両手を握る。
「雅治さえよければ、明日も来てくれるかな」
「りょーかい」
俺はついに由紀のアシスタントという肩書きを手にいれた。
人物は描けないが、元々風景や模写はわりと得意な方だった。まさかそれがここにきて役に立つとは思っていなかったが。
「優秀な背景アシ素質を持った人がこんなに身近にいたなんて…っ 神様ありがとうー!雅治様万歳ー!」
まぁ、お前さんのその笑顔が見れるのなら、BLの原稿くらい我慢してやるかのう。
次の日の作業全工程終了後
「終わったー!お疲れ様!雅治本当に本当にありがとう!」
「これでようやっと日常に戻れるか」
「あ、そうだ。再来週にイベントがあるんだけど雅治も一緒に行かない?今回の原稿の本も出すし」
「それってお前さんがコスプレして参加するあの…」
それ以上先を言ってはならない気がして言葉を止めたが、時すでに遅し。
「雅治、私と一緒にいたいんだよね?
…コスプレ、してみない?」
悪魔の囁き。
その言葉が妙にしっくりときた。
高校2年生となった俺たちの関係は未だ良好。
彼女のオタクっぷりも健在
「雅治ごめんね!今週の土日はちょっと会えないんだ」
「のう由紀。当ててやろうか。
原稿終わってないんじゃろ」
「あぁぁぁぁごめんなさいいいい」
いや、磨きがかかっていた。
高校にあがり、オタク資金確保のために平日アルバイトを始めた彼女。
同じクラスなので教室でも常に顔をあわせるし、俺は俺で放課後は部活があるので、お互い様だと思っているが、土日のデートまで全て断られることには多少の不満があった。
最近は同人活動にも力を入れているようで、時折こうして原稿の締め切りが近づくと予定を全てシャットアウトされる。
正直おもしろくない。
別に特別どこかに行かなくても、俺は由紀と一緒の空間にいられればそれでいいのに、その時間さえ作ってもらえないとなるとさすがの俺でも寂しさを感じる。
ただこの彼女、普段から色々とアンテナを張り巡らしているからか、人の気持ちや反応にたいしての察しが良い。
今日も、俺がこうして不満そうにしていると(顔には出さないようにしているが)すぐに気づき申し訳なさそうにまたごめんねと言う。
そんな顔、させたいわけじゃないんだが。
「わかっとるなら…せめて部屋に一緒にいさせてくれんかのう」
「私、雅治と一緒にいるとつい見ちゃうし手が止まっちゃって…」
んー、と何かいい案はないかと思考を巡らせた結果
「じゃあ由紀、一緒に原稿やるってのはどうじゃ」
「え、本気で言ってます?」
週末になり、俺はいま由紀の自室のローテーブルの前に座っている。
なんとか約束をとりつけたが、自分で言い出したもののやはり多少の緊張が走る。
何せ、俺が由紀の描く漫画の原稿を見るのはこれが初めてだからだ。
「私のはストーリー重視であんまり…その…生々しい展開はないから比較的大丈夫だとは思うんだけど…思うんだけど!やっぱり無理だってなったらすぐに言ってね」
「…プリっ」
まずはぱらぱらと一通り原稿を眺める。
まぁ予想はしていたが主役もその相手も恋敵もすべて男男男。
次に今日俺がやる作業のベタとやらのやり方を教えてもらう。
×印が入ってる箇所を黒く塗り潰していくんだそうだ。
試しにやってみると初めてにしては上手にできた。
由紀も、センスいい!これならいける!と目を凛々と輝かせていた。
意外と作業自体は楽しく、集中もでき何とか夕方には残ってたすべてのベタ塗り作業が終了した。
「雅治お疲れ様!すごーい!」
「お疲れさん」
二人でハイタッチをかわす。
少ししか手を貸していないが、謎の達成感があった。
「残る作業は背景だけだから、明日わたし一人で地道に…」
「背景?」
「うん、私が撮ってきた写真とかを元に、姉がオリジナルの背景集作ってくれてね。それを見本にしていつも背景を描いてるの。わたしどうも背景が苦手で後回しにしちゃうからこうして最後に残っちゃんだよね」
ははは、と由紀は疲れた笑いを見せる。
背景…ようするに模写か
「由紀、ちと紙とペン貸してくれんか」
そういって借りた道具でさらさらと、真っ白な小さいキャンパスに、背景とやらを描いていく。
ほんの数分で描き終えたそれを彼女に手渡すとしばらく凝視。
「こ…れは……っ」
がしりと俺の両手を握る。
「雅治さえよければ、明日も来てくれるかな」
「りょーかい」
俺はついに由紀のアシスタントという肩書きを手にいれた。
人物は描けないが、元々風景や模写はわりと得意な方だった。まさかそれがここにきて役に立つとは思っていなかったが。
「優秀な背景アシ素質を持った人がこんなに身近にいたなんて…っ 神様ありがとうー!雅治様万歳ー!」
まぁ、お前さんのその笑顔が見れるのなら、BLの原稿くらい我慢してやるかのう。
次の日の作業全工程終了後
「終わったー!お疲れ様!雅治本当に本当にありがとう!」
「これでようやっと日常に戻れるか」
「あ、そうだ。再来週にイベントがあるんだけど雅治も一緒に行かない?今回の原稿の本も出すし」
「それってお前さんがコスプレして参加するあの…」
それ以上先を言ってはならない気がして言葉を止めたが、時すでに遅し。
「雅治、私と一緒にいたいんだよね?
…コスプレ、してみない?」
悪魔の囁き。
その言葉が妙にしっくりときた。