好き!の伝え方6題
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※主要人物の性格に多少の歪み傾向があります
苦手な方はお戻りください
「由紀」
「……」
「なぁ、聞こえとるんじゃろ」
今日も、彼女の後ろをついて回る。
彼女は家が隣同士の幼馴染み。
幼馴染みと言っても、彼女の方は歳が俺よりも3つ上だ。
俺は、彼女のことを随分前から一人の女として意識していた。
今まで付き合った女がいなかったわけじゃない。むしろ場数だけなら多い方だと思う。
それでも、どの女も俺を本気にさせてはくれず、最後は結局彼女の元へ帰ってきてしまう。
だが、彼女の方が俺をそういう対象として見ようとしない。何なら避けられている。
いつまでも幼馴染みという枠に囚われていたくなくて、彼女に気持ちを告げることで先に関係を壊したのは俺の方からだった。
それがつい、1週間前の出来事。
信じられないと言った表情で、彼女は俺の前から逃げ去った。
ショックだったのかもしれない、ずっと弟のように可愛がってきた俺が、自分のことをそういう対象で見ていたことが。
それからは家から学校まで、毎日同じやりとりの繰り返し。
中等部と高等部は通学路がほぼ一緒なので、俺はそれから毎日彼女の後ろから話しかける。
彼女が振り向くその瞬間まで。
あれから1週間。
そろそろ種をまく頃合いか。
「なぁ由紀、別に俺のことは嫌っててもえぇんじゃけど、さすがにそう毎度毎度無視されると、俺だって辛くなる」
わざと潮らしく言ってみせると突如ぴたりと彼女の足が止まる。
誘いにのるか、のらないか。
「その言い方は…ずるいよ雅治」
…のった。
渋々といった顔で、ようやく彼女は俺の方を向く。
結局彼女は俺を本気で邪険には出来ない。
俺は逃げられないように少し強めに、でも壊れ物を扱うかのように丁寧にその手を引き、来た道を戻る。
彼女の方も何かを諦めた様子で、黙って俺に手を引かれて歩いた。
自宅のリビング。
親、姉弟はすでに仕事と学校に行っていて家には誰もいない。
「のう由紀、そろそろ応えてくれんか」
「応えるって、何を」
ソファの端の方に座り、なるべく俺との距離を稼ごうとしているが、そんなのお構いなしに彼女と距離を詰める。
「この間言ったじゃろ、由紀のことが女として好きだって」
「だ、から…雅治のことは弟と思って…」
「それなら、どうしてそんな顔をするんじゃ。そんなに顔を赤くして、俺を誘っているようにしか見えんけどのう」
「…っ」
面と向かって言えば、益々顔を赤くし今にも泣き出しそうな顔に変わる。
脈なしだなんて、最初から思ってはいなかった。
だから、彼女には少し考える時間を与えた。
俺のことで悩んで、頭のなかを掻き乱して、俺以外見れないようにしてから、手に入れたかった。
「俺のこと、もう本当はとっくに好きなんじゃろ」
決定打。
彼女はもう限界と言わんばかりに、涙を零す。
「なんで…私なのよ…っ 今までだって他に彼女たくさん…っ」
「俺は昔から由紀のことしか見とらんぜよ」
そう。
他の女と付き合ってたのだって、由紀に年下だからと馬鹿にされないために経験値を稼いでいただけにすぎない。
全ては、この瞬間のための準備期間。
酷い男だと自分でも思うが、全ては彼女を手にいれるためが故。
「好いとおよ由紀、絶対に離れさせん」
そういって抱き締めると、もう彼女は逃げようとはしなかった。
「雅治…昔は可愛かったのにな」
「いつまでも可愛い弟のままじゃ、こういうことも出来んけえの」
触れた唇からじんわりと温かな熱が伝わる。
ようやく手にいれた本当に欲しかったもの。
その幸せを噛み締めるかのように、しばらく彼女の温もりを腕の中で感じ続けていた。
苦手な方はお戻りください
「由紀」
「……」
「なぁ、聞こえとるんじゃろ」
今日も、彼女の後ろをついて回る。
彼女は家が隣同士の幼馴染み。
幼馴染みと言っても、彼女の方は歳が俺よりも3つ上だ。
俺は、彼女のことを随分前から一人の女として意識していた。
今まで付き合った女がいなかったわけじゃない。むしろ場数だけなら多い方だと思う。
それでも、どの女も俺を本気にさせてはくれず、最後は結局彼女の元へ帰ってきてしまう。
だが、彼女の方が俺をそういう対象として見ようとしない。何なら避けられている。
いつまでも幼馴染みという枠に囚われていたくなくて、彼女に気持ちを告げることで先に関係を壊したのは俺の方からだった。
それがつい、1週間前の出来事。
信じられないと言った表情で、彼女は俺の前から逃げ去った。
ショックだったのかもしれない、ずっと弟のように可愛がってきた俺が、自分のことをそういう対象で見ていたことが。
それからは家から学校まで、毎日同じやりとりの繰り返し。
中等部と高等部は通学路がほぼ一緒なので、俺はそれから毎日彼女の後ろから話しかける。
彼女が振り向くその瞬間まで。
あれから1週間。
そろそろ種をまく頃合いか。
「なぁ由紀、別に俺のことは嫌っててもえぇんじゃけど、さすがにそう毎度毎度無視されると、俺だって辛くなる」
わざと潮らしく言ってみせると突如ぴたりと彼女の足が止まる。
誘いにのるか、のらないか。
「その言い方は…ずるいよ雅治」
…のった。
渋々といった顔で、ようやく彼女は俺の方を向く。
結局彼女は俺を本気で邪険には出来ない。
俺は逃げられないように少し強めに、でも壊れ物を扱うかのように丁寧にその手を引き、来た道を戻る。
彼女の方も何かを諦めた様子で、黙って俺に手を引かれて歩いた。
自宅のリビング。
親、姉弟はすでに仕事と学校に行っていて家には誰もいない。
「のう由紀、そろそろ応えてくれんか」
「応えるって、何を」
ソファの端の方に座り、なるべく俺との距離を稼ごうとしているが、そんなのお構いなしに彼女と距離を詰める。
「この間言ったじゃろ、由紀のことが女として好きだって」
「だ、から…雅治のことは弟と思って…」
「それなら、どうしてそんな顔をするんじゃ。そんなに顔を赤くして、俺を誘っているようにしか見えんけどのう」
「…っ」
面と向かって言えば、益々顔を赤くし今にも泣き出しそうな顔に変わる。
脈なしだなんて、最初から思ってはいなかった。
だから、彼女には少し考える時間を与えた。
俺のことで悩んで、頭のなかを掻き乱して、俺以外見れないようにしてから、手に入れたかった。
「俺のこと、もう本当はとっくに好きなんじゃろ」
決定打。
彼女はもう限界と言わんばかりに、涙を零す。
「なんで…私なのよ…っ 今までだって他に彼女たくさん…っ」
「俺は昔から由紀のことしか見とらんぜよ」
そう。
他の女と付き合ってたのだって、由紀に年下だからと馬鹿にされないために経験値を稼いでいただけにすぎない。
全ては、この瞬間のための準備期間。
酷い男だと自分でも思うが、全ては彼女を手にいれるためが故。
「好いとおよ由紀、絶対に離れさせん」
そういって抱き締めると、もう彼女は逃げようとはしなかった。
「雅治…昔は可愛かったのにな」
「いつまでも可愛い弟のままじゃ、こういうことも出来んけえの」
触れた唇からじんわりと温かな熱が伝わる。
ようやく手にいれた本当に欲しかったもの。
その幸せを噛み締めるかのように、しばらく彼女の温もりを腕の中で感じ続けていた。
6/6ページ