好き!の伝え方6題
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あの人は、どうしてこんなに人に対して優しいのか。
その優しさが、俺だけに向いていればいいのにとつい思ってしまう。
「なぁなぁ由紀ー助けてぇなぁ白石がまたワイのこといじめようとしてんねやあ」
「金ちゃん!神崎を使うとは卑怯やで!」
ほら、今だって俺の面前で1年のルーキーと3年の部長と一緒に戯れている。
「まぁまぁ白石君、遠山君も悪気があったわけじゃないんだし…もうそろそろいいんじゃない?」
「神崎は金ちゃんに甘すぎるんや…」
鶴の一声。
なんやかんや言って、彼女には誰も敵わない。
金ちゃんや部長に限らず、他の奴等だって同じ。
それは、あの優しさから滲み出る何かが人の心を動かすからだろう。
今もなお、俺がいることに気づいていない。
それがまた無性に腹が立った。
はたと、こちらに気づいた彼女が俺の名前を呼びながら駆け寄ってくる。
「近くにいたなら声かけてくれたらいいのに」
「いや、取り込み中みたいやったし」
「……光?」
本当は心中穏やかではない。
ただでさえ俺の方が歳が下なのに、少し他の部員と仲良くしてるところを見ているだけで腸が煮え繰り返そうになっているなんて、格好悪すぎる。
「光、ちょっと」
「え」
ぐいぐいと腕を引かれ、人気のない方へ、ない方へと誘われる。
部員たちの声が遠くの方から聞こえてくる。
彼女はようやく俺の腕を離すと、ふぅと一呼吸置いて俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「あのね、私これでも結構、光のことわかってるつもりでいたんだけど…今日はどうしてそんなに怒ってるのか少しわからなくて。私何かした?」
どうやらこの人には全てお見通しのようだ。
感情が読み取りにくいと部員たちからは散々言われているが、この人の前では俺のこのどす黒い嫉妬心も透けて見えているのかもしれない。
「俺は…あんたのことになるとほんま余裕がなくなる。今日だけやない、あんたが俺以外の奴等に優しくするたび、どうしようもない気持ちになってまう。ほんま…」
ほんま格好悪い彼氏でごめん、そう紡ごうとした言葉は彼女によって塞がれた。
数秒後、0cmだった距離が離れると、彼女は俺の背に腕を回した。
「私だっていつも内心穏やかじゃないわよ。光がテニス部の人たちといるとき、凄く楽しそうだから…その顔が全部私に向けばいいのにっていつも思ってる」
正直驚いた。
普段そんな素振りを全く見せないから、この人の中にもそういったどろどろの感情が存在していたとは思いもしなかった。
「先に嫉妬したのは私の方。でも私の方が先輩だし、男相手に嫉妬してるなんて恥ずかしくて言えないじゃない」
俺と同じ感情。
「かと言って光に一人になってほしいわけでもない。私も同じ気持ちだってこと、知ってほしかっただけ」
それで今日のことはおあいこね、といたずらな笑顔で彼女は言う。
「ほんま、あんたには敵わないっすわ」
気がつけば、俺の中のどす黒い感情は綺麗さっぱり浄化されていた。
その優しさが、俺だけに向いていればいいのにとつい思ってしまう。
「なぁなぁ由紀ー助けてぇなぁ白石がまたワイのこといじめようとしてんねやあ」
「金ちゃん!神崎を使うとは卑怯やで!」
ほら、今だって俺の面前で1年のルーキーと3年の部長と一緒に戯れている。
「まぁまぁ白石君、遠山君も悪気があったわけじゃないんだし…もうそろそろいいんじゃない?」
「神崎は金ちゃんに甘すぎるんや…」
鶴の一声。
なんやかんや言って、彼女には誰も敵わない。
金ちゃんや部長に限らず、他の奴等だって同じ。
それは、あの優しさから滲み出る何かが人の心を動かすからだろう。
今もなお、俺がいることに気づいていない。
それがまた無性に腹が立った。
はたと、こちらに気づいた彼女が俺の名前を呼びながら駆け寄ってくる。
「近くにいたなら声かけてくれたらいいのに」
「いや、取り込み中みたいやったし」
「……光?」
本当は心中穏やかではない。
ただでさえ俺の方が歳が下なのに、少し他の部員と仲良くしてるところを見ているだけで腸が煮え繰り返そうになっているなんて、格好悪すぎる。
「光、ちょっと」
「え」
ぐいぐいと腕を引かれ、人気のない方へ、ない方へと誘われる。
部員たちの声が遠くの方から聞こえてくる。
彼女はようやく俺の腕を離すと、ふぅと一呼吸置いて俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「あのね、私これでも結構、光のことわかってるつもりでいたんだけど…今日はどうしてそんなに怒ってるのか少しわからなくて。私何かした?」
どうやらこの人には全てお見通しのようだ。
感情が読み取りにくいと部員たちからは散々言われているが、この人の前では俺のこのどす黒い嫉妬心も透けて見えているのかもしれない。
「俺は…あんたのことになるとほんま余裕がなくなる。今日だけやない、あんたが俺以外の奴等に優しくするたび、どうしようもない気持ちになってまう。ほんま…」
ほんま格好悪い彼氏でごめん、そう紡ごうとした言葉は彼女によって塞がれた。
数秒後、0cmだった距離が離れると、彼女は俺の背に腕を回した。
「私だっていつも内心穏やかじゃないわよ。光がテニス部の人たちといるとき、凄く楽しそうだから…その顔が全部私に向けばいいのにっていつも思ってる」
正直驚いた。
普段そんな素振りを全く見せないから、この人の中にもそういったどろどろの感情が存在していたとは思いもしなかった。
「先に嫉妬したのは私の方。でも私の方が先輩だし、男相手に嫉妬してるなんて恥ずかしくて言えないじゃない」
俺と同じ感情。
「かと言って光に一人になってほしいわけでもない。私も同じ気持ちだってこと、知ってほしかっただけ」
それで今日のことはおあいこね、といたずらな笑顔で彼女は言う。
「ほんま、あんたには敵わないっすわ」
気がつけば、俺の中のどす黒い感情は綺麗さっぱり浄化されていた。