エースくんに甘やかされたい。
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「あ、エースくん。おはようございます」
「…おー」
ついにエースとエマも打ち解けた。
エマの頑張りを知っていた仲間たちは朝食時に当たり前のように彼女の隣に座るエースを見てほっこりする。打ち解けたというよりは、むしろエースのほうが懐いているようで、気が向くとよくエマの側にいるので、まるで猫のようである。
エマは食べるペースが遅く、その隣で掃除機のようなスピードで朝食を平らげるエースはある程度腹が膨れると、
「エマ、」
「はい?」
振り返ったエマの胸を枕代わりに寝てしまうので、毎度仲間たちが戦慄するのだが、
「よしよし、お腹いっぱいになったんですね〜」
まるで母親がするようにエマがエースの頭を撫でるので、誰も何も言えなくなってしまう。そして同時に、
(((俺もエースになりたい…!!!)))
と思うのは至極当然のことであった。
「……ん…悪い、寝てた」
一瞬の仮眠ですぐに覚醒する忙しいエースにエマは笑い、口の周りのソースを拭ってやる。その後すぐにまた世話を焼いてしまったことに焦るのだが、最近のエースはあまり怒らなくなった。
「おい!敵船だ!サッチの隊が乗り込みに行ったぞ!」
食堂の外が慌ただしくなり、血気盛んなエースも黙っていられないとばかりに立ち上がる。
「敵船ですか?お宝ありますかねぇ〜」
釣られてエマも立ち上がったが、エースはそれを許さず、席に押し戻す。
「ダメだ、お前の出陣は俺が許さねぇ。宝なら俺が持って帰ってきてやるから、お前は待ってろ」
「ええっ!?なんでそんなことエースくんが決めるんですか!私だって行きたいです!」
「絶対許さん!!もし船から降りたら、もうお前と一緒にメシ食わねえからな!」
言うが早いか、エースは血気盛んに飛び出してしまった。残されたエマは退屈そうに残りの朝食をつつき始めるのだが、勝手をしたペナルティが一緒に食事をしないという安すぎる罰に対して葛藤するエマに皆甚だ疑問であった。
「エースくんは過保護すぎます。私だって仮にも白ひげ海賊団の一員なのに、信用ないんですかねぇ?」
「愛されてるからじゃないか?」
「え?」
エマの小言にイゾウがあまりにもしれっと返すもので、思わず聞き返す。
「誰だって惚れた女にケガなどさせたくないだろう。俺はエースの気持ちがわかるぞ」
そういうことをあっさりと、はっきりと言えてしまうのがイゾウがイゾウたる所以である。
そしてそこまで言われてエマが嬉しくないはずもなく、締まりのない顔で食事を終えた食器を鼻歌交じりで片付けるのだが、彼女の機嫌を取ってあげた礼は後でたっぷりもらいたい、とイゾウは思った。
戦闘を終え、サッチ隊とエースが帰ってくる。
早速エマの姿を探すエースは、船尾で洗濯物を干していることを仲間たちから教えてもらい、潔く向かった。
「エマ、」
「あっ、エースくん、おかえりなさい。ケガはしてませんか?」
「ああ、無事だ。……あー…なんだ、その…」
「?」
歯切れの悪いエースの様子に気づき、エマは洗濯物を干すのを中断して近づく。目の前までやってくると、エースは気恥ずかしそうに視線を逸らし、代わりに握りこぶしを出してきた。
何かをくれるのだろうと察したエマが拳の下に掌を差し出すと、しゃらり、と細身のチェーンネックレスが落とされる。
チャームに施されたのは小さな赤い宝石で、雑味がなく、日に当てると内側から燃えるようで、エマはあっと思った。
「これはピジョンブラッドじゃないですか!?ルビーの中でも最高峰と云われるものですよ!」
「へ、へェー、そうなのか?俺にゃよくわからねェが…」
「ほんとにいい色…。サイズが小さいので大した額にはなりませんが、ジュエリーとしてはすごくいいものだと思います」
「あー…そういうのも俺にゃよくわからねェんだが……お前に似合うと思って…。やるよ」
「え?いいんですか?」
海賊行為で得たお宝は一度船長のもとへ預けられ、その時々の働きに応じて山分けされる。それをエースは分け前はいらないからこのネックレスだけくれと交渉してきたのだそうだ。
勝手に持ってきたものではないと安心し、くれるというのだからエマは遠慮なく受け取る。
しばらく眺めたあと、くるりと背を向け、エースに言った。
「つけてください」
「ん?おお、任せろ」
エースの男らしい武骨の手ではなかなかネックレスのホックが掴めず、もたついている間にエマはピジョンブラッドについて語った。
「ピジョンブラッドの石言葉を知っていますか?『燃え上がる情熱』『熱烈な愛情』」
「ぶっ!!」
「そしてルビーは”宝石の女王”と呼ばれていて、私たち女性に特別なパワーを貸してくれるんです。自分でも気づかないような魅力を内側から引き出してくれて、その女性を輝かせる…」
やっとホックが留まり、エマは振り返った。白い首元に、まさに血のように輝く宝石がやたら情欲的で、エースは思わずごくりと生唾を飲み込む。
「どうですか?似合います?」
そう微笑んだエマがいつになく妖艶に見え、宝石ひとつでここまで女は映えるのかとエースは驚かざるを得なかった。
「あ…ああ、綺麗だ…」
「ふふっ、それは宝石のことですか?」
「バカヤロウッ、お前に決まってんだろ!!」
エマの口車にまんまと乗せられて言うつもりもなかったセリフを吐かされてしまい、エースは決まり悪そうに帽子をかぶりなおす。それをひとしきり笑ってから、エマは改めて礼を口にした。
「ありがとう、エースくん。大切にしますね」
「おう」
「この宝石、名前の割にはよく『燃えるような』って表現されるけど…本当に燃えてるみたい。まるでエースくんですね」
「あ?」
「はい、よく私のここで寝るから」
「だああ改めて言うんじゃねェよ!!不可抗力なんだから目を瞑ってくれ!!」
「今日からこのコを”エースくん”って呼ぶことにしますね。エースくん、私の胸は気持ちいいですか~?」
「やめろ!!!」
エースくんに甘やかされたい。
fin.
「…おー」
ついにエースとエマも打ち解けた。
エマの頑張りを知っていた仲間たちは朝食時に当たり前のように彼女の隣に座るエースを見てほっこりする。打ち解けたというよりは、むしろエースのほうが懐いているようで、気が向くとよくエマの側にいるので、まるで猫のようである。
エマは食べるペースが遅く、その隣で掃除機のようなスピードで朝食を平らげるエースはある程度腹が膨れると、
「エマ、」
「はい?」
振り返ったエマの胸を枕代わりに寝てしまうので、毎度仲間たちが戦慄するのだが、
「よしよし、お腹いっぱいになったんですね〜」
まるで母親がするようにエマがエースの頭を撫でるので、誰も何も言えなくなってしまう。そして同時に、
(((俺もエースになりたい…!!!)))
と思うのは至極当然のことであった。
「……ん…悪い、寝てた」
一瞬の仮眠ですぐに覚醒する忙しいエースにエマは笑い、口の周りのソースを拭ってやる。その後すぐにまた世話を焼いてしまったことに焦るのだが、最近のエースはあまり怒らなくなった。
「おい!敵船だ!サッチの隊が乗り込みに行ったぞ!」
食堂の外が慌ただしくなり、血気盛んなエースも黙っていられないとばかりに立ち上がる。
「敵船ですか?お宝ありますかねぇ〜」
釣られてエマも立ち上がったが、エースはそれを許さず、席に押し戻す。
「ダメだ、お前の出陣は俺が許さねぇ。宝なら俺が持って帰ってきてやるから、お前は待ってろ」
「ええっ!?なんでそんなことエースくんが決めるんですか!私だって行きたいです!」
「絶対許さん!!もし船から降りたら、もうお前と一緒にメシ食わねえからな!」
言うが早いか、エースは血気盛んに飛び出してしまった。残されたエマは退屈そうに残りの朝食をつつき始めるのだが、勝手をしたペナルティが一緒に食事をしないという安すぎる罰に対して葛藤するエマに皆甚だ疑問であった。
「エースくんは過保護すぎます。私だって仮にも白ひげ海賊団の一員なのに、信用ないんですかねぇ?」
「愛されてるからじゃないか?」
「え?」
エマの小言にイゾウがあまりにもしれっと返すもので、思わず聞き返す。
「誰だって惚れた女にケガなどさせたくないだろう。俺はエースの気持ちがわかるぞ」
そういうことをあっさりと、はっきりと言えてしまうのがイゾウがイゾウたる所以である。
そしてそこまで言われてエマが嬉しくないはずもなく、締まりのない顔で食事を終えた食器を鼻歌交じりで片付けるのだが、彼女の機嫌を取ってあげた礼は後でたっぷりもらいたい、とイゾウは思った。
戦闘を終え、サッチ隊とエースが帰ってくる。
早速エマの姿を探すエースは、船尾で洗濯物を干していることを仲間たちから教えてもらい、潔く向かった。
「エマ、」
「あっ、エースくん、おかえりなさい。ケガはしてませんか?」
「ああ、無事だ。……あー…なんだ、その…」
「?」
歯切れの悪いエースの様子に気づき、エマは洗濯物を干すのを中断して近づく。目の前までやってくると、エースは気恥ずかしそうに視線を逸らし、代わりに握りこぶしを出してきた。
何かをくれるのだろうと察したエマが拳の下に掌を差し出すと、しゃらり、と細身のチェーンネックレスが落とされる。
チャームに施されたのは小さな赤い宝石で、雑味がなく、日に当てると内側から燃えるようで、エマはあっと思った。
「これはピジョンブラッドじゃないですか!?ルビーの中でも最高峰と云われるものですよ!」
「へ、へェー、そうなのか?俺にゃよくわからねェが…」
「ほんとにいい色…。サイズが小さいので大した額にはなりませんが、ジュエリーとしてはすごくいいものだと思います」
「あー…そういうのも俺にゃよくわからねェんだが……お前に似合うと思って…。やるよ」
「え?いいんですか?」
海賊行為で得たお宝は一度船長のもとへ預けられ、その時々の働きに応じて山分けされる。それをエースは分け前はいらないからこのネックレスだけくれと交渉してきたのだそうだ。
勝手に持ってきたものではないと安心し、くれるというのだからエマは遠慮なく受け取る。
しばらく眺めたあと、くるりと背を向け、エースに言った。
「つけてください」
「ん?おお、任せろ」
エースの男らしい武骨の手ではなかなかネックレスのホックが掴めず、もたついている間にエマはピジョンブラッドについて語った。
「ピジョンブラッドの石言葉を知っていますか?『燃え上がる情熱』『熱烈な愛情』」
「ぶっ!!」
「そしてルビーは”宝石の女王”と呼ばれていて、私たち女性に特別なパワーを貸してくれるんです。自分でも気づかないような魅力を内側から引き出してくれて、その女性を輝かせる…」
やっとホックが留まり、エマは振り返った。白い首元に、まさに血のように輝く宝石がやたら情欲的で、エースは思わずごくりと生唾を飲み込む。
「どうですか?似合います?」
そう微笑んだエマがいつになく妖艶に見え、宝石ひとつでここまで女は映えるのかとエースは驚かざるを得なかった。
「あ…ああ、綺麗だ…」
「ふふっ、それは宝石のことですか?」
「バカヤロウッ、お前に決まってんだろ!!」
エマの口車にまんまと乗せられて言うつもりもなかったセリフを吐かされてしまい、エースは決まり悪そうに帽子をかぶりなおす。それをひとしきり笑ってから、エマは改めて礼を口にした。
「ありがとう、エースくん。大切にしますね」
「おう」
「この宝石、名前の割にはよく『燃えるような』って表現されるけど…本当に燃えてるみたい。まるでエースくんですね」
「あ?」
「はい、よく私のここで寝るから」
「だああ改めて言うんじゃねェよ!!不可抗力なんだから目を瞑ってくれ!!」
「今日からこのコを”エースくん”って呼ぶことにしますね。エースくん、私の胸は気持ちいいですか~?」
「やめろ!!!」
エースくんに甘やかされたい。
fin.
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