第一章『出逢い』
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嘆息したシグナルは、瑠璃と視線が合うと、まだ名前を聞いていなかったのを思い返し、ハッとした様子で向き直った。
「―――そうだ! 君の名前は?」
「これから暫らくの間、音井研究所でお世話になることになった瑪瑙瑠璃です。よろしくね、シグナル君」
「・・・瑠璃さん・・・」
ふわりと微笑んだ瑠璃を、シグナルは呆然と見つめた。
(なんだろう、この感じは・・・)
ドキドキと胸が高鳴るのと同時に浮かんでくる、懐かしいという感情。
「え!? 瑠璃さんもここに住むことになったの!?」
「おい、信彦!!」
我に返り声を上げた信彦に、シグナルはムッとした表情で抗議の声を上げる。
その様子に瑠璃はきょとんと目を瞬きながら、信彦に笑顔で頷いた。
「えぇ。だから信彦君もこれから暫らくの間よろしくね」
教授の待つ研究室に信彦と瑠璃と一緒に戻って来たシグナルは、青年の姿からまた幼児の姿に―――通称、ちびシグナルに変わってしまっていた。
信彦から話を聞いた教授が、確認の為に信彦にくしゃみをさせ、シグナルをちびシグナルに変形させたのだ。
「でも、どうして変形しちゃうんだ?」
ちびシグナルを信彦が指差しながら教授に問いかけた。
「さっきの爆発のせいでシグナルの電脳のプログラムが暴走して性格分裂をおこしているんじゃな」
信彦の隣で話を聞いていた瑠璃は、ふとシグナルの体に使用された金属の特性を思い出す。
「音井教授、シグナル君が変形するのは体に使用した特殊金属が、暴走したプログラムに反応しているからですか?」
「おそらくの」
瑠璃に頷き、教授は信彦に視線を向ける。
「お前のくしゃみで変形するのはプログラム暴走中にくしゃみを連発していたからじゃろう」
唖然とした様子で「ふ―――ん」と信彦は唸りちびシグナルを見た。
「よ―――するに、俺がくしゃみをするとシグナルは変身しちゃうんだな」
身も蓋もない言葉を信彦は言い、な―――んだそれだけかと朗らかに笑い出す。
その姿を見て教授は鼻息を荒くしながら、話はまだ終わっていないと声を上げた。
「プログラムのバグリがひどいんじゃぞ。新しいプログラムが未完成のうえ・・・―――以前入力した格闘用の性格と混ざったらしい」
きょとんとする信彦に、教授は淡々と告げた。
「だから今の青年シグナルの性格を一言でいうと・・・・強いヤツを追い求める好戦的な正義感あふれるロボットっつ―――わけじゃな」
「げっ!! そんなのイヤだ~~~~」
抗議の声を信彦が上げたのを見て、教授は黒い影を背負い迫った。
「とりあえず、わしゃ、これからバグ取り開始じゃい。じゃまするでないぞ」
教授に迫られた信彦は「わっ」と逃げるように、瑠璃の後ろに隠れた。
「信彦君、ちびちゃんも部屋に戻ろっか」
教授の姿に驚いたのか、ちびシグナルも足元で瑠璃のズボンの裾を握っていた。
ふ、と笑みを零し、ちびシグナルを抱き上げ、信彦に声を掛けると、瑠璃は教授に告げた。
「―――音井教授、朝食の用意の方は私がやりますね」
「・・・すまんの、瑠璃さん」
眉を寄せた教授に瑠璃は笑みを返すと、二人を連れて研究室を後にした。
「ちび、お前は俺と一緒の部屋だぞ」
2階の部屋への階段を上り終えると、信彦は瑠璃が抱いていたちびシグナルに手を伸ばした。
けれどちびシグナルは瑠璃に引っ付くようにして頭を振った。
「いやです。やっと逢えたんだから、今日は瑠璃ちゃんと一緒に寝ます」
「何、言ってるんだよ? 瑠璃さんとは今日会ったばかりだろう? それに、瑠璃さんと一緒に寝るなんてずるいぞ」
ムッとした様子で眉根を寄せ、ちびシグナルを信彦は見据える。
腕の中に抱いているちびシグナルを瑠璃は目を瞠り見つめ、信彦に視線を向けるとふわりと微笑を零し言った。
「じゃあ、今日は3人で一緒に寝よっか」
この世界にどうして私は呼ばれたのか、はっきりとは理由が解らない。
けれど、きっと大丈夫、そう思えるのはこの家の人たちが温かいからだろう。
<後書き>
ここまで読んで下さってありがとうございました。
第一章の信彦やシグナル達との出逢い編。
この話は、過去にあるサイトに貰っていただいたものを大幅に加筆修正したものです。
第二章は順番でいくと、パルス君登場編の予定となります。
もし、今回のお話で気に入って下さった場合、良ければ次回も読んでみて貰えたらと思います。
感想の方も随時、お待ちしていますので・・・。
それでは。
05・2/4 朱臣繭子 拝
「―――そうだ! 君の名前は?」
「これから暫らくの間、音井研究所でお世話になることになった瑪瑙瑠璃です。よろしくね、シグナル君」
「・・・瑠璃さん・・・」
ふわりと微笑んだ瑠璃を、シグナルは呆然と見つめた。
(なんだろう、この感じは・・・)
ドキドキと胸が高鳴るのと同時に浮かんでくる、懐かしいという感情。
「え!? 瑠璃さんもここに住むことになったの!?」
「おい、信彦!!」
我に返り声を上げた信彦に、シグナルはムッとした表情で抗議の声を上げる。
その様子に瑠璃はきょとんと目を瞬きながら、信彦に笑顔で頷いた。
「えぇ。だから信彦君もこれから暫らくの間よろしくね」
教授の待つ研究室に信彦と瑠璃と一緒に戻って来たシグナルは、青年の姿からまた幼児の姿に―――通称、ちびシグナルに変わってしまっていた。
信彦から話を聞いた教授が、確認の為に信彦にくしゃみをさせ、シグナルをちびシグナルに変形させたのだ。
「でも、どうして変形しちゃうんだ?」
ちびシグナルを信彦が指差しながら教授に問いかけた。
「さっきの爆発のせいでシグナルの電脳のプログラムが暴走して性格分裂をおこしているんじゃな」
信彦の隣で話を聞いていた瑠璃は、ふとシグナルの体に使用された金属の特性を思い出す。
「音井教授、シグナル君が変形するのは体に使用した特殊金属が、暴走したプログラムに反応しているからですか?」
「おそらくの」
瑠璃に頷き、教授は信彦に視線を向ける。
「お前のくしゃみで変形するのはプログラム暴走中にくしゃみを連発していたからじゃろう」
唖然とした様子で「ふ―――ん」と信彦は唸りちびシグナルを見た。
「よ―――するに、俺がくしゃみをするとシグナルは変身しちゃうんだな」
身も蓋もない言葉を信彦は言い、な―――んだそれだけかと朗らかに笑い出す。
その姿を見て教授は鼻息を荒くしながら、話はまだ終わっていないと声を上げた。
「プログラムのバグリがひどいんじゃぞ。新しいプログラムが未完成のうえ・・・―――以前入力した格闘用の性格と混ざったらしい」
きょとんとする信彦に、教授は淡々と告げた。
「だから今の青年シグナルの性格を一言でいうと・・・・強いヤツを追い求める好戦的な正義感あふれるロボットっつ―――わけじゃな」
「げっ!! そんなのイヤだ~~~~」
抗議の声を信彦が上げたのを見て、教授は黒い影を背負い迫った。
「とりあえず、わしゃ、これからバグ取り開始じゃい。じゃまするでないぞ」
教授に迫られた信彦は「わっ」と逃げるように、瑠璃の後ろに隠れた。
「信彦君、ちびちゃんも部屋に戻ろっか」
教授の姿に驚いたのか、ちびシグナルも足元で瑠璃のズボンの裾を握っていた。
ふ、と笑みを零し、ちびシグナルを抱き上げ、信彦に声を掛けると、瑠璃は教授に告げた。
「―――音井教授、朝食の用意の方は私がやりますね」
「・・・すまんの、瑠璃さん」
眉を寄せた教授に瑠璃は笑みを返すと、二人を連れて研究室を後にした。
「ちび、お前は俺と一緒の部屋だぞ」
2階の部屋への階段を上り終えると、信彦は瑠璃が抱いていたちびシグナルに手を伸ばした。
けれどちびシグナルは瑠璃に引っ付くようにして頭を振った。
「いやです。やっと逢えたんだから、今日は瑠璃ちゃんと一緒に寝ます」
「何、言ってるんだよ? 瑠璃さんとは今日会ったばかりだろう? それに、瑠璃さんと一緒に寝るなんてずるいぞ」
ムッとした様子で眉根を寄せ、ちびシグナルを信彦は見据える。
腕の中に抱いているちびシグナルを瑠璃は目を瞠り見つめ、信彦に視線を向けるとふわりと微笑を零し言った。
「じゃあ、今日は3人で一緒に寝よっか」
この世界にどうして私は呼ばれたのか、はっきりとは理由が解らない。
けれど、きっと大丈夫、そう思えるのはこの家の人たちが温かいからだろう。
<後書き>
ここまで読んで下さってありがとうございました。
第一章の信彦やシグナル達との出逢い編。
この話は、過去にあるサイトに貰っていただいたものを大幅に加筆修正したものです。
第二章は順番でいくと、パルス君登場編の予定となります。
もし、今回のお話で気に入って下さった場合、良ければ次回も読んでみて貰えたらと思います。
感想の方も随時、お待ちしていますので・・・。
それでは。
05・2/4 朱臣繭子 拝