第五章『嘘に隠れた想いと描いた未来』
『SERVAMP夢』名前変換設定。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「な・・・何!? 糸・・・!?」
突然の事態に混乱状態に陥った中、さらに、糸に絡め取られた黒猫の身体を、二本の剣がギリギリ掠めて、交差するようにして地面に突き刺さった。
「に゛ゃ?!」
びくぅと黒猫が身体を硬直させると、ドキドキと心臓が激しく脈打つ中、ビルの上から聞き覚えのある掛け声が聞こえてきた。
「さァさァ喝采を! 串刺しショーの始まりだよォ~~~」
「えっ、あいつ・・・」
そこに居たのは、以前、龍征と虎雪を襲った、あの手品師の吸血鬼だった。
愕然と真昼が目を見開くと、桜哉の傍らに手品師の吸血鬼が降り立ってきた。
「・・・真昼、オレ言ったよな? 吸血鬼が出るって」
しかし、桜哉はそれに動じる事は無く。
「あんなにあんなにあんなにあんなに忠告したのにさぁ!!!」
昏い瞳で真昼を見据えると、刹那、喚くように叫んだのだ。
黒猫が「チッ・・・」と舌打ちをする。
「・・・こいつら―――――椿の下位吸血鬼 ・・・」
桜哉と手品師の吸血鬼の足元には、傷付いた影と歪な形をした影が伸びていた。
「さくやァッ遅いぞォッ。何に手こずってたんだよォ~~~~~」
ボクを待たせんなよォッと、シルクハットを右手で掲げながら、左手に剣を持って、噛みついてくる手品師の吸血鬼に対し「っせ―――な・・・」と桜哉はめんどくさそうに息を吐く。
その光景を信じられないとばかりに目を見開き、見つめる真昼の頬を冷や汗が伝っていく。
「・・・え・・・? サクヤ・・・? え・・・っ?」
当惑する真昼に対して、桜哉はまた淡々と語りかけてくる。
「真昼。世界は実は5分前に始まったんじゃないかって考えたことある?」
その言葉の意味が分からず、「は・・・!?」と真昼が声を漏らすと、
「そんなわけない? 過去の記憶があるから? その過去の記憶も5分前に植えつけられたものだとしたら? ・・・なぁ、そうやってお前に嘘の記憶を与えてオレは5分前にお前の親友になったんだとしたら? そんなわけないってお前に証明できる?」
―――――・・・何言って・・・
縋るような眼差しをした真昼に、桜哉は尚も、無慈悲な言葉を突き付ける。
「お前の母親が死んだときさぁ、オレはなんて声をかけた?」
『話したいことがあったら何でも言ってね』
『真昼っサッカーやろうぜ』
眉根を下げながら、泣きそうな表情で語りかけてきた虎雪と、いつも通りに接してきた龍征。
「オレ はいる?」
―――――思い出すことが出来たのは、二人から云われたその言葉だけ
―――――昔の記憶のどこにも〝桜哉〟なんていな・・・い
絶望に染まった真昼に、桜哉が嗤いかける。
「さあ真昼。オレとお前の記憶はどこまでが嘘でしょーか?」
狂気の笑みを浮かべた桜哉が舌を出すと、その手には三枚刃の折り畳みナイフが握られていた。
けれど、桜哉のナイフが切り裂いたのは真昼ではなく、その瞬間、人型に戻って、咄嗟に前に立ち塞がったクロだった。
「クロ・・・ッ」
叫んだ真昼の目の前で、さらに、桜哉は二度三度とクロを切りつけていく。
そうして、桜哉がその場から跳躍すると、入れ替わりにクロの背後に下り立った手品師の吸血鬼が二本の剣を背中に突き立てたのだ。
―――――・・・嘘だろ
―――――桜哉が
―――――切った
―――――裂いた
―――――クロを
―――――俺を
―――――桜哉が
―――――人を殺してた・・・?
三日月を背に、桜哉は背中を弓形にそらしながら、半回転すると地面に着地する。
「桜哉が・・・吸血鬼なんて嘘だ・・・っ」
目に涙を浮かべながら、叫んだ真昼の言葉に、桜哉は嘲笑するかのように口元に弧を描く。
「嘘だったら良かったのになぁ! 吸血鬼が出るって話も、オレが吸血鬼だってことも!」
―――――・・・人はみんな都合のいいほうの『嘘』を信じたがる。
吸血鬼はそういう気持ちにつけこんで催眠をかけるのだという。
『お前も親いねーの・・・? 俺も親死んじゃって一人なんだ。今度ウチ来いよ。一緒に飯とか食おうぜ』
―――――桜哉と出会った時、真昼は聞かされたその『嘘』を信じ、彼を幼馴染みの一人と認識する催眠にかかった。
「真昼・・・どうしてお前なんだ・・・。お前が猫を拾わなければ。ただの猫だなんて嘘をつかなければ。オレは今・・・お前側に立っていたかもしれないのに。オレは明日もお前の親友でいられたのに。・・・瑠璃さんを・・・悲しませるような事態にもならなかったのに」
哀しそうな苦しそうな顔で真昼を見つめながら桜哉は言う。
「こんな簡単なことで世界なんて壊れていくんだよ」
「俺はっ・・・俺はただ!! 吸血鬼のことに・・・友達みんなを・・・お前を巻き込みたくなかったから・・・っ」
「黙れ!! オレを信用していないから話さなかったんだろ!! オレを友達だと思ってるならどうして嘘なんかついた!? オレのために 嘘をついたって言いたいのか!?」
「違う・・・っ」
真昼の必死の弁明は、桜哉に届く事は無く。その背後では手品師の吸血鬼が、それを嘲笑うかのように飛び跳ねていた。
「オレは嘘つきが一番嫌いだ・・・。お前が嘘なんてつくからもうお前の何一つ信じられねぇよ。頭から爪先までバラバラになりそうだ。嘘をつかれるってそういう気持ちだ」
桜哉は、空き地のビルの壁に立てかけられた、ひび割れたガラス扉に手を着くと、虚ろな瞳で言った。
そして、キシとガラスに爪を立てると、キキキキキキキと耳触りな音を鳴らしながら、喚くように言葉を続けていく。
「バラバラになったあとは二度ともとの形には戻らない。一度、嘘をつかれたらつかれる前の関係には決して戻れないんだ。何もかもを疑ってしまうから。教えてやる。人がバレていないと思っている嘘の九割はバレてるんだ。―――――ああでもその嘘を嘘だと知りながら知らないフリをしていたオレも嘘をついていたことになって。ああ・・・ああああああああああああああ人は恐ろしいよ。油断すれば騙 される。気をつけないと。騙 される前に騙 さないと」
―――――クロ・・・
背中に二本の剣が突き刺さったまま、倒れ伏している相棒に、真昼は視線を彷徨わせる。
―――――あいつに襲われた時と同じだ
両耳を塞ぎながら「サクヤ、すぐこの音出すからムカツクよォ~」と顔を顰めている手品師の吸血鬼を視界の片隅に捉えながら、真昼は心の中で迷っていた。
―――――・・・言わないと
―――――俺とクロ・・・二人でどうにかするんだ・・・って
―――――・・・でも瑠璃姉が、もしこの場に居たら・・・?
―――――〝倒すよ〟って・・・?
―――――三人でどうにかするんだって
―――――本当に・・・瑠璃姉は・・・そう言うのか?
真昼の脳裏に、クロが桜哉を貫こうとした瞬間、間に飛び込んで、それを制しようとする、瑠璃の姿が浮かんだ。
―――――刹那、かはっと小さく呻いた、クロの声に、真昼はハッとそちらに視線を向ける。
「クロ・・・ッ。け・・・ケガ・・・俺の血・・・飲め・・・っ」
「いや・・・意味ねーよ・・・。主人 の血ならなんだっていいわけじゃねーんだ・・・」
ふ―――――・・・と、クロは浅く息を吐き出すと、口の端から血を垂らしながらも、何とか言葉を紡ぎ出した。
「は・・・!?」と困惑の声を漏らした真昼に、途切れ途切れに浅く、ひゅうひゅ、と呼吸をしながらクロは言う。
「サーヴァンプ は血の中のお前の意志を食ってんだ。オレの力は・・・お前の意志の力だ。今のお前にはねぇよ。友達 を守りたいのか殺したいのかわかんねー・・・」
―――――何してんだ俺
―――――何が守るだ
―――――何が一緒に立ち向かっていけばいいだ
―――――なんの覚悟もしないまま・・・
「!?」
――――――後悔の想いに捕らわれた真昼の身体を、拘束していた糸がパツンとして切られたのはその直後の事だった。
「御園・・・!!」
窮地の状況の中、真昼の前に現れたのは、色欲の真祖の主人である御園だった。
そうして、主人と共に顕現したリリイが、クロの背中に突き刺さっていた剣を抜き去ると、
「城田・・・下がっていろ。僕がやる」
そう宣言した御園に真昼は、声を詰まらせながらも訴える。
「待・・・てよ、御園っ・・・桜哉は俺の友達・・・っ」
「そう! オレは真昼の親友だよ? そんなオレをどうするって?」
すると、桜哉が口の端を吊り上げながら、自身を指さし、聞き返す。
「・・・・・貴様が城田の友人か・・・」
御園の背後では、桜哉の言葉にまた顔を蒼白にした真昼が、狼狽した様子で、俯くと肩を震わせていた。
「・・・なるほど。僕とは気が合わなそうだ」
その様子を視界の端に捉えた御園は、怒りを滲ませながら、睨むように桜哉を見据えると言い放った。
それに対して、桜哉もまた、挑発するかのように舌を出すと、歪んだ笑みを浮かべながら、握りしめた右手の親指で首を斬る仕草をした。
―――――俺は何を守りたかったんだっけ・・・?
絶望に心が囚われてしまった、真昼の意志は定まらず。
「さて・・・ケンカはあまり得意ではないんですが・・・ひと肌脱ぎましょう?」
―――――〝色欲〟の主従対〝憂鬱〟の下位の戦いが始まったのだ。
17・7/23掲載
突然の事態に混乱状態に陥った中、さらに、糸に絡め取られた黒猫の身体を、二本の剣がギリギリ掠めて、交差するようにして地面に突き刺さった。
「に゛ゃ?!」
びくぅと黒猫が身体を硬直させると、ドキドキと心臓が激しく脈打つ中、ビルの上から聞き覚えのある掛け声が聞こえてきた。
「さァさァ喝采を! 串刺しショーの始まりだよォ~~~」
「えっ、あいつ・・・」
そこに居たのは、以前、龍征と虎雪を襲った、あの手品師の吸血鬼だった。
愕然と真昼が目を見開くと、桜哉の傍らに手品師の吸血鬼が降り立ってきた。
「・・・真昼、オレ言ったよな? 吸血鬼が出るって」
しかし、桜哉はそれに動じる事は無く。
「あんなにあんなにあんなにあんなに忠告したのにさぁ!!!」
昏い瞳で真昼を見据えると、刹那、喚くように叫んだのだ。
黒猫が「チッ・・・」と舌打ちをする。
「・・・こいつら―――――椿の
桜哉と手品師の吸血鬼の足元には、傷付いた影と歪な形をした影が伸びていた。
「さくやァッ遅いぞォッ。何に手こずってたんだよォ~~~~~」
ボクを待たせんなよォッと、シルクハットを右手で掲げながら、左手に剣を持って、噛みついてくる手品師の吸血鬼に対し「っせ―――な・・・」と桜哉はめんどくさそうに息を吐く。
その光景を信じられないとばかりに目を見開き、見つめる真昼の頬を冷や汗が伝っていく。
「・・・え・・・? サクヤ・・・? え・・・っ?」
当惑する真昼に対して、桜哉はまた淡々と語りかけてくる。
「真昼。世界は実は5分前に始まったんじゃないかって考えたことある?」
その言葉の意味が分からず、「は・・・!?」と真昼が声を漏らすと、
「そんなわけない? 過去の記憶があるから? その過去の記憶も5分前に植えつけられたものだとしたら? ・・・なぁ、そうやってお前に嘘の記憶を与えてオレは5分前にお前の親友になったんだとしたら? そんなわけないってお前に証明できる?」
―――――・・・何言って・・・
縋るような眼差しをした真昼に、桜哉は尚も、無慈悲な言葉を突き付ける。
「お前の母親が死んだときさぁ、オレはなんて声をかけた?」
『話したいことがあったら何でも言ってね』
『真昼っサッカーやろうぜ』
眉根を下げながら、泣きそうな表情で語りかけてきた虎雪と、いつも通りに接してきた龍征。
「
―――――思い出すことが出来たのは、二人から云われたその言葉だけ
―――――昔の記憶のどこにも〝桜哉〟なんていな・・・い
絶望に染まった真昼に、桜哉が嗤いかける。
「さあ真昼。オレとお前の記憶はどこまでが嘘でしょーか?」
狂気の笑みを浮かべた桜哉が舌を出すと、その手には三枚刃の折り畳みナイフが握られていた。
けれど、桜哉のナイフが切り裂いたのは真昼ではなく、その瞬間、人型に戻って、咄嗟に前に立ち塞がったクロだった。
「クロ・・・ッ」
叫んだ真昼の目の前で、さらに、桜哉は二度三度とクロを切りつけていく。
そうして、桜哉がその場から跳躍すると、入れ替わりにクロの背後に下り立った手品師の吸血鬼が二本の剣を背中に突き立てたのだ。
―――――・・・嘘だろ
―――――桜哉が
―――――切った
―――――裂いた
―――――クロを
―――――俺を
―――――桜哉が
―――――人を殺してた・・・?
三日月を背に、桜哉は背中を弓形にそらしながら、半回転すると地面に着地する。
「桜哉が・・・吸血鬼なんて嘘だ・・・っ」
目に涙を浮かべながら、叫んだ真昼の言葉に、桜哉は嘲笑するかのように口元に弧を描く。
「嘘だったら良かったのになぁ! 吸血鬼が出るって話も、オレが吸血鬼だってことも!」
―――――・・・人はみんな都合のいいほうの『嘘』を信じたがる。
吸血鬼はそういう気持ちにつけこんで催眠をかけるのだという。
『お前も親いねーの・・・? 俺も親死んじゃって一人なんだ。今度ウチ来いよ。一緒に飯とか食おうぜ』
―――――桜哉と出会った時、真昼は聞かされたその『嘘』を信じ、彼を幼馴染みの一人と認識する催眠にかかった。
「真昼・・・どうしてお前なんだ・・・。お前が猫を拾わなければ。ただの猫だなんて嘘をつかなければ。オレは今・・・お前側に立っていたかもしれないのに。オレは明日もお前の親友でいられたのに。・・・瑠璃さんを・・・悲しませるような事態にもならなかったのに」
哀しそうな苦しそうな顔で真昼を見つめながら桜哉は言う。
「こんな簡単なことで世界なんて壊れていくんだよ」
「俺はっ・・・俺はただ!! 吸血鬼のことに・・・友達みんなを・・・お前を巻き込みたくなかったから・・・っ」
「黙れ!! オレを信用していないから話さなかったんだろ!! オレを友達だと思ってるならどうして嘘なんかついた!? オレの
「違う・・・っ」
真昼の必死の弁明は、桜哉に届く事は無く。その背後では手品師の吸血鬼が、それを嘲笑うかのように飛び跳ねていた。
「オレは嘘つきが一番嫌いだ・・・。お前が嘘なんてつくからもうお前の何一つ信じられねぇよ。頭から爪先までバラバラになりそうだ。嘘をつかれるってそういう気持ちだ」
桜哉は、空き地のビルの壁に立てかけられた、ひび割れたガラス扉に手を着くと、虚ろな瞳で言った。
そして、キシとガラスに爪を立てると、キキキキキキキと耳触りな音を鳴らしながら、喚くように言葉を続けていく。
「バラバラになったあとは二度ともとの形には戻らない。一度、嘘をつかれたらつかれる前の関係には決して戻れないんだ。何もかもを疑ってしまうから。教えてやる。人がバレていないと思っている嘘の九割はバレてるんだ。―――――ああでもその嘘を嘘だと知りながら知らないフリをしていたオレも嘘をついていたことになって。ああ・・・ああああああああああああああ人は恐ろしいよ。油断すれば
―――――クロ・・・
背中に二本の剣が突き刺さったまま、倒れ伏している相棒に、真昼は視線を彷徨わせる。
―――――あいつに襲われた時と同じだ
両耳を塞ぎながら「サクヤ、すぐこの音出すからムカツクよォ~」と顔を顰めている手品師の吸血鬼を視界の片隅に捉えながら、真昼は心の中で迷っていた。
―――――・・・言わないと
―――――俺とクロ・・・二人でどうにかするんだ・・・って
―――――・・・でも瑠璃姉が、もしこの場に居たら・・・?
―――――〝倒すよ〟って・・・?
―――――三人でどうにかするんだって
―――――本当に・・・瑠璃姉は・・・そう言うのか?
真昼の脳裏に、クロが桜哉を貫こうとした瞬間、間に飛び込んで、それを制しようとする、瑠璃の姿が浮かんだ。
―――――刹那、かはっと小さく呻いた、クロの声に、真昼はハッとそちらに視線を向ける。
「クロ・・・ッ。け・・・ケガ・・・俺の血・・・飲め・・・っ」
「いや・・・意味ねーよ・・・。
ふ―――――・・・と、クロは浅く息を吐き出すと、口の端から血を垂らしながらも、何とか言葉を紡ぎ出した。
「は・・・!?」と困惑の声を漏らした真昼に、途切れ途切れに浅く、ひゅうひゅ、と呼吸をしながらクロは言う。
「
―――――何してんだ俺
―――――何が守るだ
―――――何が一緒に立ち向かっていけばいいだ
―――――なんの覚悟もしないまま・・・
「!?」
――――――後悔の想いに捕らわれた真昼の身体を、拘束していた糸がパツンとして切られたのはその直後の事だった。
「御園・・・!!」
窮地の状況の中、真昼の前に現れたのは、色欲の真祖の主人である御園だった。
そうして、主人と共に顕現したリリイが、クロの背中に突き刺さっていた剣を抜き去ると、
「城田・・・下がっていろ。僕がやる」
そう宣言した御園に真昼は、声を詰まらせながらも訴える。
「待・・・てよ、御園っ・・・桜哉は俺の友達・・・っ」
「そう! オレは真昼の親友だよ? そんなオレをどうするって?」
すると、桜哉が口の端を吊り上げながら、自身を指さし、聞き返す。
「・・・・・貴様が城田の友人か・・・」
御園の背後では、桜哉の言葉にまた顔を蒼白にした真昼が、狼狽した様子で、俯くと肩を震わせていた。
「・・・なるほど。僕とは気が合わなそうだ」
その様子を視界の端に捉えた御園は、怒りを滲ませながら、睨むように桜哉を見据えると言い放った。
それに対して、桜哉もまた、挑発するかのように舌を出すと、歪んだ笑みを浮かべながら、握りしめた右手の親指で首を斬る仕草をした。
―――――俺は何を守りたかったんだっけ・・・?
絶望に心が囚われてしまった、真昼の意志は定まらず。
「さて・・・ケンカはあまり得意ではないんですが・・・ひと肌脱ぎましょう?」
―――――〝色欲〟の主従対〝憂鬱〟の下位の戦いが始まったのだ。
17・7/23掲載
