【GIFT小説】
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それは、美しい色をした酒だった。毒のようで薬のよう。ふわりとした頭でそのグラスの括れをなぞりながら瑠璃はゆったりと思う。
「……君、そういえばちゃんと成人してたんだっけね。案外いけるクチ…………ってわけでもないか。」
とろりとした目元を椿へと向ければ、彼らしくない呆れたような表情が返ってくる。冬特有のつめたい空気の中で、自分の体がやけに熱を持っているのがわかった。
からんころんと下駄を鳴らし、椿が歩み寄ってくる音がする。その音がどことなく心地良くて、思わずぐったりと目を閉じる。暗闇の中でぐい、と顎を持ち上げられる感触がする。
ああ、綺麗だ、とおもう。赤色。
「…普段はあんなにも、踏み入ることを許さない癖に、こんなたかだか、1杯のカクテルでそんな目をするなんて、君って本当に……………面白くない。」
そんな言葉を最後に、またぐったりと目を閉じる。なんだかやけに、目を開けていることすら疲れてしまう。それはこの1杯の美しい酒のせいか、はたまたこの男の心地よい話術の賜物か。それとも。
「………どうして、私に、お酒を?」
「何言ってるの。今日は君の誕生日じゃないか、瑠璃、」
自分の名前を呼ぶ椿の声がやけにふわついて聞こえる。夢をみているようだった。そういえばこの男はいつもそうだ、夢か現かよくわからない場所からこちらの心を掻き乱すばかり。
「………毎年、私の誕生日って、寒くて堪らないの。」
目を閉じたまま、いつしか自分の声も遠ざかっていく。ぐたりとテーブルに手首を投げ出せば、そこにじんわり、同じようにつめたい指先が触れた。
「……雪が降っていたこともあったわ。それでも、一人きりじゃなかった。誰かが私のことを覚えていてくれて、あたたかいご飯があって、いつしか寒さも忘れて、」
「…今日は、よく喋るね。」
「でもいつも、どこか寂しいの。どうしてかしらね、今年は特に、輪をかけて寂しいわ。あなたといるから、なのかしら。」
一息にそう告げてみせれば、ほんの少しだけ触れた指先がたじろぐ気配がした。けれどそれは一瞬のことで、たちまちにその指先は細かく震えだす。
「……泣いてるの?」
「まさか。笑ってるんだよ。ああ、君って、本当に、」
そこで言い淀んだかのように椿が口を噤んだ。それきり黙り込んでしまった彼の真意が読めず、思わず目を開けてみても、穏やかな顔をした椿がこちらを見つめるばかりで余計に混乱してしまう。
「…僕の見立ては正しかったな。やっぱり、そんな孤高の女王様にはこれがよく似合う。」
トン、と視界の中に見たこともないような青が溢れて、それがああ、先程の不思議なまでに青い酒であると気がついたところで一際目が重くなる。
「…おやすみ。そしてお誕生日、おめでとう。」
彼の指先が離れる気配がする。先程まで冷たかったそこにはたしかに彼の体温が息づいてしまっている。
「…姉、瑠璃姉、」
揺り起こされる感触にゆっくりと目をあける。見れば、心配そうにこちらを覗き込む二つの顔に一気に目がさめる。「やだ、私、寝て、」思わず口の中で呟けば、そこは見慣れたダイニングの机の上でほっと息をつく。
「………誕生日に高そうな酒煽って寝てるとか、呑んだくれかよ…」
呆れたようなクロの声に慌てて周囲を見渡そうとすれば、手首に小さく痛みが走り、思わずそちらを見やる。丁度椿に掴まれていたあたり、まるで赤い花のような小さな痣を見つけて思わず顔を顰める。そうして、例の青い瓶。ああ、あれは夢だったのだろうか。
「…本当だ。やけに大きな瓶だな…瑠璃姉ってそんなにお酒好きだったっけ?」
真昼がそう言いながら、瓶の方へと気を逸らした刹那、不意に伸びてきたクロの手が瑠璃の手首を掴み、痣の部分をそっと撫でた。
「…どうしたの?」
「消毒。」
珍しく間髪入れずに返ってきた返答に言葉を失ってしまう。何かを言おうと口を開こうとすれば、「……真昼、生クリーム溶けちまうぞー…」といつも通りの覇気のない声と共にその腕は離れていってしまう。
「あっ、そうだ瑠璃姉!今からケーキ作るからもうちょっと待ってられるか…?あ、こらクロ!冷蔵庫の苺は食べちゃ駄目だからな!」
途端に返ってきた普段通りの日常に、思わず一瞬呆気にとられ、それから不意に笑顔が溢れる。ああそうだった。これが今の自分の日常。あんな風に、冷たくて不思議な世界はあまりにもかけ離れた、
「…うわ。やけに強そうな匂い。瑠璃姉、これなんて酒?」
たちまちに眉を顰めてみせる真昼の顔に瑠璃は一言、したり顔で笑ってみせる。
「…楊貴妃。」
「え?」
「なんでもないよ。」
【aquaphilia*松野様】
「……君、そういえばちゃんと成人してたんだっけね。案外いけるクチ…………ってわけでもないか。」
とろりとした目元を椿へと向ければ、彼らしくない呆れたような表情が返ってくる。冬特有のつめたい空気の中で、自分の体がやけに熱を持っているのがわかった。
からんころんと下駄を鳴らし、椿が歩み寄ってくる音がする。その音がどことなく心地良くて、思わずぐったりと目を閉じる。暗闇の中でぐい、と顎を持ち上げられる感触がする。
ああ、綺麗だ、とおもう。赤色。
「…普段はあんなにも、踏み入ることを許さない癖に、こんなたかだか、1杯のカクテルでそんな目をするなんて、君って本当に……………面白くない。」
そんな言葉を最後に、またぐったりと目を閉じる。なんだかやけに、目を開けていることすら疲れてしまう。それはこの1杯の美しい酒のせいか、はたまたこの男の心地よい話術の賜物か。それとも。
「………どうして、私に、お酒を?」
「何言ってるの。今日は君の誕生日じゃないか、瑠璃、」
自分の名前を呼ぶ椿の声がやけにふわついて聞こえる。夢をみているようだった。そういえばこの男はいつもそうだ、夢か現かよくわからない場所からこちらの心を掻き乱すばかり。
「………毎年、私の誕生日って、寒くて堪らないの。」
目を閉じたまま、いつしか自分の声も遠ざかっていく。ぐたりとテーブルに手首を投げ出せば、そこにじんわり、同じようにつめたい指先が触れた。
「……雪が降っていたこともあったわ。それでも、一人きりじゃなかった。誰かが私のことを覚えていてくれて、あたたかいご飯があって、いつしか寒さも忘れて、」
「…今日は、よく喋るね。」
「でもいつも、どこか寂しいの。どうしてかしらね、今年は特に、輪をかけて寂しいわ。あなたといるから、なのかしら。」
一息にそう告げてみせれば、ほんの少しだけ触れた指先がたじろぐ気配がした。けれどそれは一瞬のことで、たちまちにその指先は細かく震えだす。
「……泣いてるの?」
「まさか。笑ってるんだよ。ああ、君って、本当に、」
そこで言い淀んだかのように椿が口を噤んだ。それきり黙り込んでしまった彼の真意が読めず、思わず目を開けてみても、穏やかな顔をした椿がこちらを見つめるばかりで余計に混乱してしまう。
「…僕の見立ては正しかったな。やっぱり、そんな孤高の女王様にはこれがよく似合う。」
トン、と視界の中に見たこともないような青が溢れて、それがああ、先程の不思議なまでに青い酒であると気がついたところで一際目が重くなる。
「…おやすみ。そしてお誕生日、おめでとう。」
彼の指先が離れる気配がする。先程まで冷たかったそこにはたしかに彼の体温が息づいてしまっている。
「…姉、瑠璃姉、」
揺り起こされる感触にゆっくりと目をあける。見れば、心配そうにこちらを覗き込む二つの顔に一気に目がさめる。「やだ、私、寝て、」思わず口の中で呟けば、そこは見慣れたダイニングの机の上でほっと息をつく。
「………誕生日に高そうな酒煽って寝てるとか、呑んだくれかよ…」
呆れたようなクロの声に慌てて周囲を見渡そうとすれば、手首に小さく痛みが走り、思わずそちらを見やる。丁度椿に掴まれていたあたり、まるで赤い花のような小さな痣を見つけて思わず顔を顰める。そうして、例の青い瓶。ああ、あれは夢だったのだろうか。
「…本当だ。やけに大きな瓶だな…瑠璃姉ってそんなにお酒好きだったっけ?」
真昼がそう言いながら、瓶の方へと気を逸らした刹那、不意に伸びてきたクロの手が瑠璃の手首を掴み、痣の部分をそっと撫でた。
「…どうしたの?」
「消毒。」
珍しく間髪入れずに返ってきた返答に言葉を失ってしまう。何かを言おうと口を開こうとすれば、「……真昼、生クリーム溶けちまうぞー…」といつも通りの覇気のない声と共にその腕は離れていってしまう。
「あっ、そうだ瑠璃姉!今からケーキ作るからもうちょっと待ってられるか…?あ、こらクロ!冷蔵庫の苺は食べちゃ駄目だからな!」
途端に返ってきた普段通りの日常に、思わず一瞬呆気にとられ、それから不意に笑顔が溢れる。ああそうだった。これが今の自分の日常。あんな風に、冷たくて不思議な世界はあまりにもかけ離れた、
「…うわ。やけに強そうな匂い。瑠璃姉、これなんて酒?」
たちまちに眉を顰めてみせる真昼の顔に瑠璃は一言、したり顔で笑ってみせる。
「…楊貴妃。」
「え?」
「なんでもないよ。」
【aquaphilia*松野様】
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