DFF劇場。


バッツ「最近気になってたんだけど、お前って下の歯並び微妙にズレてね?」


WOL「なにを……と、言いたいところだが確かに。
だが、子供の頃に矯正はしてあるのだが―……」


バッツ「何、その衝撃的な事実。
っうか、お前の世界ってそんなに口腔外科技術進んでたか?
スコールやクラウドの実家ならともかく、お前の世界、薬だってポーションしかなくて、ハイポすら存在しなかったと思うんだけど。」


スコール「……孤児だから家なんてないぞ。」


フリオ「スコール、それ以上は止めておけ。
ほら、WOLが『根暗なくせに顔とスペックが無駄に高いから実は皆に一目置かれているとかいう、ラノベ設定の分際でシャシャんじゃねーよ。』
……っていう視線でお前を見ているぞ。」


セシル「それを言うなら、冴えない一般市民なのに、気が付けば仲間全員王女のハーレムでした。って、人間も大概ラノベだけどね。
でも、確かに言われてみると少し捻れてるみたいだね。痛みはあるのかい?」


WOL「いや……特に。痛くもなければ染みもしない。
ついでに悲しいぐらいにモテない。」


ジタン「雨に濡れた柴犬みたいな目でこっち見んなって……」


ティーダ「にしても、歯並び、か。歯並び……歯並び―……
あーッ!!それってもしかして親知らずってヤツじゃないッスか?」

【ルシ歯科クリニック】

ライト「ほら、これが貴様のレントゲン写真だ。
見ろ、下に立派な余分なものが二本生えているぞ。」


WOL「……確かに。って、ライトニング!?何故、貴様がここにいる!」


ライト「仕事に決まってるだろうが。そんなことも分からないのか?」


WOL「そんなことは聞いていない!!
貴様、イミテーションとの戦いはどうした!?まさか、怖じけずいて逃げたとでも言うのか!」


ライト「……水平、しかも埋伏か。御愁傷様とでも言っておこうか。
後で、大きな病院への紹介状を書いておく。お大事に。」


WOL「……話がまったく繋がっていないんですが、それは。」


ライト「簡単なのはうちで抜歯する。それ以外は送る。それだけだ。」


WOL「……つまり?」


ライト「リスクがでかいって事だよ、言わせんな恥ずかしい。
じゃあな。今から昼飯食べるんだから用が済んだんだからとっとと帰れ。」


WOL「どうせカップラーメンだろう。行き遅れのOLか、貴様は。」


ライト「ち、違うッ!!今日はコンビニのシーチキンおにぎりにブタメンだからなッ!!あっ……」


WOL「……」


ライト「……」

【フィガロ総合病院 歯科口腔外科】

エドガー「……なるほど、そういう事か。
安心しろ。診察麻酔を含めて一時間もしないで終わるさ。
……って、さっきから妙に歯軋りをしているようだが、どうした?」


WOL「すまん。体が勝手に……
何故かお前と私のティナたんがキャッキャウフフしている姿が脳裏をよぎってな。」


エドガー「“私の”?……そうかそうか。じゃあ、早速抜こう。まずは、このドリルで歯茎ごと骨を粉砕して―……」


WOL「せんせーいッ!!どう考えても麻酔が先ではないかと思われますッ!!
……っうか、お前、絶対今私怨混ざってただろう。骨じゃなくてタマ砕く気だったろ。まずはその縁起でもねーマスクを外せ。」


エドガー「おや、私としたことが。はい、これ麻酔ね。少しチクッとするよ~。」


WOL「わざとか、やっぱりわざと―……う、ぐぅうううウウウウ―ッッッ!!!?」


エドガー「はい、暴れない暴れない。抜歯してる時に痛くないようにもう一本打っておこうか。」


WOL「(あっ。俺、死んだ。)」


15分後


エドガー「そろそろか。じゃあ、口開けて。」


WOL「……やっぱりドリルなのか……」


エドガー「安心しろ。取り出しやすいように途中、ドリルで歯を真っ二つにするだけだから。じゃあ、肉を切るぞ。」


数分後



WOL「……(まったく痛くない。麻酔を打った時はどうなることかと思ったが―……
いや、そもそも、そこまで大掛りな事をしているわけではないのではないだろうか?時間も掛からないわけだし―……)」


見る見る真っ赤に染まっていくエドガーの手袋


WOL「……」


エドガー「根っこほじくるから強く押すぞ。」


WOL「……(もうダメかもわからんね)」

エドガー「縫合完了。三日間ぐらい腫れて痛いと思うから抗生剤と痛み止めはきちんと飲み切ること。
一週間後に抜糸するから予約は入れておいたよ。」


WOL「……ふっ。終わってみると呆気ないものだな。」


エドガー「あっ、ガーゼをしっかり噛んで止血はしておけよ。
あと、うがいは強くしない事。血餅が剥がれるとドライソケットで地獄を見ることになるぞ。
ちなみに、もう一本の歯はどうする?」


WOL「勇者である私がこの程度の痛みに臆するわけがなかろう。」


エドガー「じゃあ、もう片方もだな。では、お大事に。」


数時間後


ティナ「ねえ……WOLどうしたの?芋虫みたいに毛布を被って唸ってるみたいだけど……」


オニオン「さあ?どうでもいいんじゃないかな。」


ティナ「それもそうね。さっ、夕ご飯の支度しなきゃ!」

一方―……

ユウナ「おかえりなさい。今日はどうだった?」


ライト「ん?ああ、客の一人にあの馬鹿がいたな。」


ティファ「馬鹿って?」


ライト「あいつだ。」


ヴァン「ああ、WOLか。」


ラグナ「馬鹿だけで通じるのかよ……
でっ、なんでまた?虫歯か何かか?」


ライト「親知らずだ。下歯水平埋伏だったから大きな病院へ送った。」


ヴァン「すいへー?」


ライト「一番厄介なタイプだな。下歯は下歯槽神経が近くを走っているから上の歯より面倒なんだ。」


ティファ「具体的には?」


ライト「万が一、神経を傷つけたら麻痺が残る可能性があるということだ。
まあ、殆ど起こらないがな。」


ヴァン「うっわぁ……俺なら抜かないな、それ。」


ライト「抜くなら早い段階がいいぞ。
親知らずは虫歯になりやすい。虫歯になってから抜こうとしても麻酔が効きにくい。
それに年を取ると歯と骨が癒着する可能性があるし、傷の治りも遅くなる。」


カイン「……どこぞの回し者のような台詞だな。」


ライト「裏切り者の発言は認めていませーん。
全て事実だ。女性の場合、妊娠中に抜くとなれば麻酔なしだからな。ゾッとする話だ。」


カイン「……サラッと人の黒歴史ほじくらんと下さい。」


ユウナ「そうだ!ライト!パン祭りのシールたまったよ!
これもライトがパンを買い続けたおかげだね!」


ライト「甘い。あと一回交換するぞ。」


ほのぼのほのぼの
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