ゲーム考察
【注意!】
・この考察はFFⅧ信者のFFⅧ信者によるFFⅧ既プレイ者のための考察です。
・当然、百割のネタバレ(誤字ではない)で構成されています。
・FFⅧを全力で肯定していくので、アンチの方には優しくありません。
・この考察は、デジキューブ発行のFFⅧアルティマニアの情報を鵜呑みにして作成してあります。あと、妄想。
・おkですか?
まだ、昼と夜が混じりあっていた頃
『ハイン』という存在があった。
『ハイン』は大地が産み出した、沢山の獣との戦いに明け暮れていた。
『ハイン』は魔法を持っていたので、その力に頼って長い戦いを勝ち抜いた。
こうして『ハイン』はこの大地の支配者となった。
『ハイン』は自分の椅子に座ったまま、ずっと遠くまで見通したいと思った。
ところが『ハイン』の椅子の場所からでは山が邪魔で東の海が見えなかった。
山を壊してしまおうかとしたが、長い戦いで疲れていたので『ハイン』は山を切り崩す道具を作って、それに仕事をさせようと考えた。道具は勝手に動いて、必要なら自分達の数を増やすことが出来るように作られた。
『ハイン』は道具を人間と名付けた。これが男と女からなる我々人間の始まりとなった。
人間は数を増やしながら山を切り崩していった。全部の作業が終わった後、人間は次に何をしたらいいのか『ハイン』に聞きに行った。しかし、『ハイン』は疲れてぐっすり眠っていた。仕方がないので、人間は勝手に大地を作り変えていった。
『ハイン』が目覚めた時、辺りの様子は一変していた。何より驚いたのは人間の数だった。『ハイン』は人間を減らそうとして、役に立たなそうな小さな人間を魔法で焼き尽くしてしまった。その小さな人間は「子供」と呼ばれる存在で、人間たちがたいそう大切にしていたものだった。
人間達は叫んだり泣いたりして『ハイン』に抗議した。
しかし、『ハイン』は自分の道具の言う事など聞かなかったので、人間達は怒りだしてしまった。
人間達は『ハイン』の言う事を聞かなくなってしまった。
人間達は『ハイン』に反抗し始めた。
『ハイン』は魔法で応戦したが、増えてしまった人間の数と魔法を持たない代わりに獲得した知恵にやり込められることが多くなった。
困った『ハイン』は人間と取引した。自分の半身とその力を人間達に与えよう、と。人間達は『ハイン』の力が半分になれば、あまり怖くないと考えたので、その取引に応じた。
『ハイン』は自分の身体を切り裂き、半身を人間に差し出した。これで『ハイン』にとっても人間にとっても穏やかな日が来るはずだった。ところが、人間達はこの『ハインの半身』が持つ力を奪い合って争いを始めてしまった。
長い長い戦いが続いた。この時、たくさんの国が出来た。この戦いに勝利したのが黒耳王セバルガとその一族だった。彼らは森の中で居眠りしていた『ハインの半身』に約束通りお前の力を寄越せと言った。だが、『ハインの半身』はのらりくらりと答えをはぐらかした。なんとかしようとゼバルガは賢者バスカリューンに相談した。賢者バスカリューンは知恵を巡らせて『ハインの半身』から答えを聞き出した。
『ハイン』は半身に野蛮で粗悪な腕力しか残さなかったのだ。人間達は『ハイン』の力の半分とは、当然、神秘の力である魔力の力の半分だと思っていたが、『ハインの半身』は『脱け殻のハイン』だったのだ。
その話を聞いたゼバルガ一族は怒った。
約束を破った『ハイン』を今度こそ倒そうと考えた。しかし、魔法を持つ方の『ハインの半身』は一向に見つからなかった。人間は行方不明の『ハイン』に『魔力のハイン』と名付け、何世代にも渡って探し続けた。
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『魔法のハイン』が見つからなかったのは当然である。
『魔法のハイン』は当時の人々の感覚では保護すべき者と考えられていた女性に姿を変えて身を隠していたからである。
時折、歴史上に重要な役割を果たす女性が現われるが私は『魔法のハイン』と考える。
『魔法のハイン』そのものなのか子供なのか、力を引き継いだ者なのかは、それは今後の研究が明らかにするだろう。女の姿をした『魔法のハイン』私はこれを魔女と命名する。
まず、はじめに言いたい。何故この神話を本編に入れなかったし。(※アルティマニアP478~479より引用)そんな愚痴を漏らしたところで本格的な考察を始めていくよ!
【魔女】
やはり最初にこれを語らねばなりませんね。FFⅧの根幹の設定とも言える魔女。魔女とは一体、どういった存在なのでしょうか?
魔女とは、古代から絶える事なく存在している、特別な力を継承した女性の総称です。魔女の力を継承した者は常人には扱えない神秘の力―……魔法を行使する事が可能になります。
作中、魔女ではないスコール達も普通に魔法を使用しているように見えますが、スコール達が使用しているのはあくまで疑似魔法であり、本来の魔法を模して作られた模造品に過ぎないのです。では、本来の魔法の威力とは?
終盤のリノアを思い出してみましょう。リノアはDisc3以降、特殊技として魔女の力を解放するヴァリーが使用できるようになります。ヴァリー状態で使用された魔法は、数も減らず、その威力も通常の五倍と大幅に跳ね上がります。つまり、ヴァリー状態でリノアが使用する魔法こそが本来の魔法の力なのです。リノアは魔女として覚醒したばかりですから、力の扱いになれていないためヴァリーになると制御不能になるのかもしれませんね。ヴァリーメテオぶっぱ美味しいです。
【魔女の力の継承】
魔女を語る上で絶対に外せないのが、魔女の力の継承です。魔女は、先天的に決められているのではなく、後天的に他者からの力の継承があって初めて誕生するものだからです。
また、魔女は魔女の力を持ったまま死ぬことは出来ません。魔女の力の継承を行うまで、例え瀕死の重傷を負っていても死ぬ事が出来ないのです。
魔女になりうるかどうかの適性は、力を宿すためのキャパシティと相性によって決定され、先代の魔女の身体から切り離された純粋な力のみが次代の魔女へと継承されます。その際、力の授受を行う者同士が血縁関係である必要性はありません。
作中では、計三度、魔女の力の継承が描かれています。
一度目は、Disc2終盤。魔女イデアから魔女リノアへ。
二度目は、Disc3終盤。魔女アデルから魔女リノアへ。
そして三度目。エンディング、魔女アルティミシアから魔女イデアへ。
彼女達にはいずれも血縁関係がありません。この事からも、魔女の力の継承とは純粋な力の受け渡しだということが言えると思います。
【魔女リノア】
さて、前述の魔女の力の継承を読んでおや?と思った方もいるかもしれません。
そう。リノアは二人の魔女から力を継承しているのです。
魔法の力を受け継ぐ者は世界一人と決まっているわけではないという事がこの事から分かりますね。魔女の系譜は枝分かれしているのです。
【魔女イデア】
魔女イデアの力の継承は、リノアよりも更に複雑です。
魔女イデアは彼女が五歳の時、一度、魔女の力を継承しました。その後、彼女はその魔女としての力を他者に継承しています。(※この継承者が誰かは不明)
しかし、十三年前、イデアは再び魔女になりました。新たな魔女とイデアとの間で継承が行われたからです。そして、魔女イデアが新たに受け継いだこの力はリノアへと継承される事になります。
しかし、何故、イデアは一度は捨て去る事が出来た忌まわしい魔女の力を再び継承しようと考えたのでしょうか?答えは彼女の台詞の中にあります。
“私は子供達を魔女にしたくはありません。”
一度、魔女を経験したイデアだからこそ魔女になる事の恐ろしさを知っていたのです。そして、二度目のこの継承が、やがて悲劇をもたらす事を。だからこそ、彼女は、悪しき魔女を滅ぼす力を持つ者―……SeeD(種)を育てたのです。例え、その結果、自分自身がSeeD達に討たれる事になろうとも。
【魔女アデル】
魔女アデルは内面が限りなき欲望に満ちた魔女で、大国エスタを支配して魔女戦争を引き起こし世界中に恐怖をばらまきました。しかし、彼女の恐怖政治は17年前、突如終焉を迎えます。アデルがある男により月に封印されたためです。
男の名前はラグナ・レウァール
魔女封印の功績から大国エスタの大統領に就任したラグナですが、彼はその後、17年もの間、アデルの封印を見守り続けることになりました。作中、スコールは昏睡状態に陥ったリノアを救う手立てを求めて宇宙へと旅立ちますが、この時、宇宙船外でアデルの封印セキュリティのチェックを行っていた男こそラグナです。つまり、親子の対面は地上じゃなくて宇宙だったわけです。
“そこのおまえ!エルオーネを守れ!まかせた!!”
……じゃねーよ。こっちは実の息子だよトーチャン。
(´・ω・`)
【アデルセメタリーと電波障害】
brinGmeBAckthereIaM
aLivehereIwilLnever
letYouforGetabOutme
これは、ティンバーの街頭テレビに表示されている文字配列です。
FFⅧの世界では、17年前から世界的規模でこの電波障害が起こるようになりました。ほぼ全て周波帯でこの気持ち悪いアルファベット文字のノイズが流れてしまうのです。では、原因は?その原因に迫る前に、このアルファベットの羅列をもう一度よく見ることにしましょう。
このままでは気味の悪い文字の羅列ですが、大文字と小文字に分けて適切な場所で区切ると―……
Bring me back there.
I am alive here.
I will never let you forget about me.
訳:私をそこへ連れ戻せ。
私はまだ生きている。
私の存在を忘れさせてなるものか。
……と、意味のある文章になります。結局不気味ですが。17年前、そして、この文章―……もうお分りですね?この電波障害の原因は、魔女アデルなのです。(※正確に言うと、魔女アデルに施された封印の副作用)
アデルの封印システム―……アデルセメタリーは特殊な素材で作られていて、電波、音波、思念波、そしてジャンクションの干渉すら受け付けません。しかし、そのあまりに強い妨害処理とアデルの強い怨嗟の意志が地上の電波に影響を及ぼしているのです。その証拠に、このノイズの原因であるアデルが地上に落ちてきた後、この英文は映らなくなります。
【永劫回帰】
今更隠す必要もないので書いてしまいましょう。実は、ある系譜の魔女の力は閉じた時間の中を永遠とループしています。
魔女イデア(二度目の継承)→魔女リノア(のちに魔女アデルの力も継承)→遥か未来へ→魔女アルティミシア→魔女イデア(最初に戻る)
お分りいただけたでしょうか?イデアが二度目に継承した力は、リノアの更に後の後の時代―……遥か未来からやって来た魔女アルティミシアの力だったのです。
ラストバトルの後、スコール達SeeDに討たれたアルティミシアは、自身の魔女の力の継承先を探して時空間をさ迷い歩き、過去の世界に生きるイデアを見つけます。アルティミシアの時代に継承に相応しい候補者がいなかったためか、それともアルティミシアがイデアに惹かれたからか―……理由は作中で語られていません。しかし、どちらにせよ、アルティミシアはイデアを見付け自身の力を継承しました。そして、イデアもまた何もかも見通した上でアルティミシアの力を継承したのです。これにより、この系譜の魔女の力は閉じた時間を未来永劫ループするようになりました。
アルティミシアは、終わりの魔女であると同時に始まりの魔女でもあるのです。
なお、他の魔女の系譜―……例えば、イデアが一番始めに継承した魔女の力はこの限りではありません。
【ジャンクション】
FFⅧを語る上で、魔女と同様、欠かせないのがジャンクションとガーディアンフォース(以下、GF)の存在です。
ジャンクションとは、文字通り接合を意味しますが、作中における、ジャンクションとは物と物ではなく、生命体に別の意識体又は魔法を接合させる事を意味しています。
GF(※後述します)をジャンクションした者は、更に疑似魔法のジャンクションが可能となり、その魔法の使用が出来るようになるばかりではなく、自分の身体能力を大幅に底上げする事が可能になるのです。素の状態とジャンクションした状態で戦力に雲泥の差が出来るのはこのためです。
このように戦闘能力を大幅に向上させるジャンクショですが、とある副作用が問題となり、各国軍部ですらその使用には否定的な意見が根強く、現在、GFを使用したジャンクションを承認しているのはスコール達の母校であるバラム・ガーデン一校のみです。
【GF】
ここからはGFについての説明です。この設定も物語を読み解く上で重要になってきます。
GFとは、それぞれが持つ特性に応じて、獣や妖精といった姿で現われる巨大な自律エネルギー体の総称です。特定の場所(力場)に存在している場合と、物や生体に宿っている(ドロー抽出するタイプ exセイレーンやエデン)があり、更に恒常的にジャンクションが可能(通常型 exシヴァやバハムート)か否(乱入型 exオーディンやギルガメッシュ)かによって二種類に分類する事が出来ます。
GFは生体同様に個としての意識を持っていますが、その大半は確固とした身体を持たず、限られた時間しか実体化することが出来ません。
前述したように、GFをジャンクションした者は戦闘能力が飛躍的に上昇します。作中、実戦経験の薄いスコール達がガルバディアなどの正規軍相手に無双出来るのもこの恩恵を受けているからです。
しかし、GFの使用には副作用が伴います。それは、記憶の欠落です。
GFに限らず、ジャンクションされた者は、受け手の意識内に自分の常駐場所を形成します。それは、人間が過去を記憶しておく場所と同じでした。これによりジャンクションの受け手になった者は記憶の欠落が生じるのです。
“だ、ダメだ、すまない。撃てない。僕、本番に弱いんだ。ふざけたりカッコつけたりしてなんとかしようとしたけどダメだった。”
この台詞はDisc1終盤の魔女イデア暗殺計画の時にアーヴァインが漏らしたものです。一見すると魔女暗殺におじ気ついたようにしか思えない台詞ですが、アーヴァインは本当にただのヘタレでしかないのでしょうか?
答えはもちろん違います。
アーヴァインはスコール達と異なりバラム・ガーデンの出身ではありません。故にGF装備の副作用である記憶障害を受けずに成長することが出来ました。そんなアーヴァインだからこそ覚えていたのです。
今、まさに自分達が殺そうとしている相手こそ、自分達―……スコールを始めとした全員が幼少時、母親も同然に慕っていた女性だということを。だから、アーヴァインは彼女を殺す引き金が引けなかったのです。
【続・ジャンクション】
さて、今までGFと魔法のジャンクションについて延々と語ってきたわけですが、ジャンクションの側面はこれだけではありません。
ある特別な力を持った者限定になりますが、その力を持つものを介在すれば人間と人間といった生体間同士のジャンクションが可能になるのです。
しかも、このジャンクションは時間の影響を受けず、片方が過去に存在しようが未来に存在しようが強制的にジャンクションする事が可能です。いわゆるチートですね。
他人の意識をジャンクションされた者―……つまり、受け手側は何かが頭に入ってきたようなザワザワとした感覚に見舞われますが、入り込んできた意識が何を言っているかを聞き取ることは出来ません。
一方、ジャンクションした側はその逆で、身体こそ昏睡状態に陥るものの意識ははっきりしているため受け手が置かれている状況を把握することが出来ます。
作中、このジャンクションの受け手になるのは主にラグナ編のキャラクター達で、逆にジャンクションされる側はスコール達です。
ジャンクションの受け手側であるラグナ達はこのジャンクションのザワザワとした感覚を“妖精さんがやって来た”と表現しました。
スコール達がラグナ達にジャンクションした時、同時に、スコール達が装備しているGFの恩恵を享受する事になり、結果、戦闘能力が格段に上昇したためこう表現したのかも知れません。
【エルオーネ】
続・ジャンクションで生体と生体とのジャンクションは特別な力を持つものの介在なしに成り立たないと記述しました。
作中では、エルオーネという女性ただ一人のみがこの特別な力を持っていました。エルオーネのこの力は魔女ですら持たない極めて稀有な力です。
エルオーネは実子ではありませんが、幼い頃、ラグナとある女性の三人で家族同然に暮らしていました。しかし、当時流行っていた女の子狩りの犠牲となり、魔女アデルによる恐怖政治が行われているエスタ国に攫われてしまったのです。
魔女の力の継承で述べたように魔女は力の継承を行わない限り死ぬことが出来ません。当時、魔女アデルは自身の後継者となる者を求めていました。自分の跡を継ぐに相応しい、魔女の資質を持つ人間を求めて世界各地で誘拐を繰り返していたのです。
アデルの項目でラグナがアデルを封印したと書きましたが、ラグナがアデルに戦いを挑んだのも全てエルオーネを救い出すためです。結果、アデルは封印され、エルオーネは救助され、一度は女性の待つ故郷に帰ることになりました。自分のところにいるよりもかつて一緒に暮らしていた女性―……レインのもとにいた方が安全だとラグナは考えたからです。
封印したとはいえ、アデルは完全に滅びたわけではありませんし、万が一魔女が復活したら真っ先に狙われるのは他ならぬラグナでしょうから。しかし、エルオーネが故郷に帰ってすぐ、レインは亡くなってしまいました。再び家族を失ったエルオーネは孤児院へと預けられることになりました。
レインが生んだラグナの子供―……スコールと共に。
【エルオーネの目的】
エルオーネはスコール達を何度も過去のラグナ達にジャンクションします。何故、エルオーネはスコール達を何度も過去に送り込んだのでしょうか?
エルオーネの目的―……それは過去の修正です。
エルオーネは自分のせいでラグナとレインが離れ離れになってしまったと感じていました。レインの死は自分の責任だという自責の念を持っていたのです。エルオーネはスコールをラグナにジャンクションする事により、過去を変えレインの死を回避しようとしたのです。
しかし、それは失敗に終わります。過去は変えられなかったのです。そして彼女は一つの答えを見つけます。
“過去は変えられない。けど、知らなかった過去を知った今、自分が変わる。”
このエルオーネの台詞凄く好きです。
【ジャンクション・マシーン・エルオーネ】
エルオーネには生体間のジャンクションを介在する力があるのは今まで述べてきた通りです。
その力が時間の枠に囚われず過去にまで及ぶ事はスコールとラグナのジャンクション関係からも明白です。このエルオーネの力に目を付けた科学者がいました。
大国エスタのお抱え科学者である人格がバグっているオダイン博士です。魔女アデルの下で魔女の力について研究していたオダイン博士ですが、エルオーネが捕らえられたことにより、博士の関心は魔女の力からエルオーネのジャンクション能力へと移ります。
そのエルオーネの力を解析し、博士は一つの機械を作り出しました。
ジャンクション・マシーン・エルオーネと名付けられたその機械を使用することにより、使用者はエルオーネ同様、生体=生体間のジャンクションを行うことが可能になったのです。
現時点ではおもちゃのような試作機ですが、時代が経つことに機械は改良されていきます。
こうして遥かな未来で完成したジャンクション・マシーン・エルオーネを用いて現在に干渉し続ける存在がありました。それが、魔女アルティミシアでした。
【魔女アルティミシア】
さあさあ、いよいよ最後の魔女について語っていきますよ!長い考察もあと少しの予定だから超頑張って!
魔女アルティミシアは魔女リノアの後、何代も何代も後に登場した遠い未来の魔女です。彼女はある目的のために過去に干渉し、エルオーネを捕らえようとしました。機械を使えばマシーンのオリジナルであるエルオーネが生きる時代までは干渉可能ですが、マシーンが作られる以前への干渉が出来なかったからです。アルティミシアは更に過去への干渉を目論んでいました。そのために選んだ駒が、現代の魔女であるイデアとリノアです。
では、アルティミシアの目的とは?
彼女の目的はただ一つ―……過去・現代・未来に渡る膨大な時間の圧縮です。
【時間圧縮】
時間圧縮とは何か?
これは一種の時間魔法であり、時間圧縮が発動するとあらゆる時間と空間が一点に収束し、発動者以外存在しない世界が誕生することになります。また、発動者である魔女自身は全ての時代、全ての魔女の力を得る事になるため、莫大な力を手に入れることになります。
【アルティミシアの目的】
アルティミシアの目的は時間の圧縮です。しかし、そもそも、何故、アルティミシアは時間圧縮を行おうとしたのでしょうか?
もう一度、時間圧縮について整理しましょう。
人間は、X軸、Y軸、Z軸、そして時間軸の四次元で生きています。(※実際はもっと高次元だそうですけど……)
四次元の存在である私たちはそれより下の次元を認識する事が出来ますが、下の次元の存在はそれより上の次元を認識することが出来ません。
乱暴な例えですけど、私達(四次元)はアニメやゲームキャラ(二次元)を認識できるけど、アニメやゲームのキャラは私達を認識できませんよね?ここではそう思ってください。
アルティミシアは、時間を収縮させ、自分以外の存在の次元を落とすことにより、自分は高い次元からそれを見る存在―……神になろうとしたのではないでしょうか?
【世界の敵になった理由】
神になろうとしたアルティミシアですが、では、どうして彼女は世界を敵に回してまで神になろうとしたのでしょう?
答えは、アルティミシアとイデアの台詞の中にあります。
“古来より我々魔女は幻想の中で生きてきた。
お前達が生み出した愚かな幻想だ。恐ろしげな衣装を身にまとい、残酷な儀式で善良な人間を呪い殺す魔女。
無慈悲な魔法で緑の野を焼き払い、暖かい故郷を凍てつかせる恐ろしい魔女―……くだらない。
ならば、愚かな者、お前達、こうするしかない。
自らの幻想に逃げ込め!私はその幻想の世界でお前達のために舞い続けよう!私は恐怖をもたらす魔女として未来永劫舞い続けよう!”
魔女が強大な力を持っていることは説明してきました。その強大な力故に人は魔女を畏怖し恐れます。しかし、魔女は力こそ強大ですが、心は人と変わりありません。アルティミシアも例外ではないでしょう。
つまり、アルティミシアは人々の恐怖と偏見に耐え切れず歪んでしまったのです。病んじゃったわけですね。
“あのね、リノア。魔女でいることの不安を取り除いてくれる方法を教えましょう。それは魔女の騎士を見付ける事です。
いつでもあなたの傍にいて、あなたを守ってくれる騎士。騎士はあなたに安らぎを与えます。
騎士がいない魔女は多くの場合、力を悪しき道のために使ってしまうのです。魔女アデルには騎士がいなかったと聞いています。恐らく、未来の魔女アルティミシアにも騎士はいないでしょう。”
この台詞は魔女イデアが自分の力を継承したリノアに贈ったものです。イデアの言う魔女の騎士とは、魔女の身辺を守る者ではなく、魔女の理解者、心のパートナーを指しています。魔女イデアにとって彼女の騎士は夫であるシドでした。理解者がいたからこそイデアはアデルやアルティミシアのような恐怖の魔女にならずにいられたのです。
アルティミシアは、愛に飢えた孤独な魔女なのです。
……改めて魔女の騎士について書くとサイファーは勘違いしまくりでしたね。
【矛盾】
“…eeD…SeeD…SeeD…SeeD…SeeD、SeeD、SeeD!!気に入らない…。何故、魔女の邪魔をする?何故、私の自由にさせない!?
もう少しで完全なる時間圧縮世界が完成するというのに…邪魔は許さんぞ…。お前達の存在など時間圧縮のアルゴリズムに溶け込んでしまうがいい!
激しい痛みと共に思考が分断され記憶も思い出も極限まで薄められるのだ!
何も出来ず、何も考えられず、思いすら何もない!そんな世界にお前達を送ってやろう!
お前達に出来ることは何も…いや、お前達に出来ることは唯一永遠の存在である私を崇めること!!”
“私はアルティミシア。全ての時間を圧縮し、全ての存在を否定しましょう”
この二つの台詞は共にアルティミシアのものです。明らかに矛盾しています。
一つ目の台詞では、唯一の存在になる自分を崇めろと言っておきながら、二つ目の台詞では自分を含めた全ての存在を否定しているのです。(それ以前に口調からして違いますが……)
こうは考えられないでしょうか?この二つの台詞は、実はそれぞれ異なる存在が語っているのではないか、と。一つ目はアルティミシア自身。そして、もう一つは彼女とは違う別の存在が。
ラストバトル中、アルティミシアは自らを自らが生み出したGFにジャンクションし、スコール達に襲い掛かります。しかし、そのアルティミシア自身も実は誰かにジャンクションされていたのだとしたら?アルティミシアにジャンクションし、全ての存在を否定しようとしていたもの―……あの最終形態こそが魔女の始祖であり、世界の創造神である『ハイン』そのものなのではないでしょうか?
【愛の物語】
スコールとリノアの恋。
ラグナとレインの恋。
仲間との絆、家族愛―…FFⅧではさまざまな愛が語られています。
始祖ハインは人間たちが愛してやまない子供たちを殺したが故に滅びました。
イデアは子供たちへの愛故に再び魔女になりました。
魔女アルティミシアは愛に飢えたが故に狂いました。
そして、甦ったハインもまた世界の絆の前に滅んでいきます。
“愛を感じてほしい”
やはり、FFⅧは愛の物語なのです。
Fin?
【補足あれこれ】
まとめきれなかった補足的なアレコレ。箇条書きです。
・ラグナとスコールは親子。証拠はムンバの反応。ムンバは血で個を認識しています。この二人が親子でなければムンバはスコールの事を“ラグナ”とは絶対に呼ばない。
・スコールの母親はレイン。名前も雨繋がりである。
・リノアの母親はラグナの憧れだったジュリア。ラグナを失って傷心していたジュリアを落としたのがリノアの父であるカーウェイ。
・Eyes on Me はジュリアがラグナを想って作った曲。ジュリアは“ラグナの目”が好きだった。歌詞を見ると更によく分かります。
・エルオーネがスコール達がいる孤児院からいなくなったのは、オダインが再びエルオーネを研究対象として捕らえようと目論んだため。孤児院から出たエルオーネは白いSeeDの船で暮らすようになります。
・サイファーのろまーんちっくな夢とは魔女の騎士になる事。サイファーはラグナ主演のあの映画を観て騎士に憧れるようになった。だから、ラグナのガンブレードの構えとサイファーの構えは一緒。
・時間圧縮後の世界でスコール達が存在できたのは、互いが互いを信じ創造したから。
・リノア=アルティミシア説はおもしろい説だが矛盾が目立つ。
・なによりFFⅧは公式でハッピーエンドだとアナウンスされている。
・本当の本当に終わり……?
2013・5・3
【EDあれこれと禁忌】
……と、思ったんだけどもう少しEDに関して補足できそうなので続きます。
【無限ループと魔女の終わり】
エンディングの時、スコールだけ仲間ともリノアともはぐれ、一人過去の世界へと迷い込みます。この時、アルティミシアもまたスコールと同じ時間にやって来てママ先生―……イデアが力を受け継ぎ、永魔女の力は閉じた時間をずっとループするようになったと書きました。
一見するとBADにしか思えませんが、別の見方をすればこの魔女の力はアルティミシアの時代以降消え去る。と、いうわけです。
閉じた時間を魔女の力が循環することになった事で、魔女の連鎖が終わったのです。(※この系譜に限り……ですが)
【魔女イデアとガーデンとSeeD】
魔女イデアが魔女を倒すためにSeeDとそのSeeDを生み出すガーデンを設立したのは、既に説明しました。では、そのガーデンとSeeDのアイディアは全て彼女が考えたものでしょうか?
勿論、違います。イデアにガーデンとSeeDの概念を教えたのは、アルティミシアを倒し過去に迷い込んできたスコール自身です。
“魔女を倒すのはあなたの運命です。”
イデアの夫でありガーデンの設立者であるシドは作中スコールにこう語ります。シドは知っていたのです。やがて、スコールが魔女と戦いそれを倒すことを。イデアはSeeDの敬礼のポーズを最初から決めていました。未来から来たスコールがイデアに見せた敬礼から取ったことは言うまでもありません。
【帰れなかった理由】
ED中、仲間達は迷わず未来から自分の時代に帰っていきました。しかし、スコールだけは時間の狭間に落ち迷ってしまいます。何故、スコールだけ迷ったのでしょうか?
GFの副作用のためです。
実はスコールは一番長い期間GFをジャンクションしてきました。ガーデンに入学したのが一番早かったからです。(※実はキィスティスよりもスコールの方が古株)
帰るべき場所も思い出せない。大切な女性の顔も思い出せない。リノアの顔がぐしゃぐしゃに潰れた映像が出てくるのはそういう理由があったわけです。
【愛の魔法】
リノアは何度もスコールに助けられてきました。劇中の彼女はスコールに助けられてばかりです。それは魔女の力を継承した後も変わりません。また、魔女として未熟なリノアは自身の力を上手く操れませんでした。
そんな、リノアが初めて自分の意志で魔女の力を制御し、魔女の力を使いました。スコールを助けるために。そして、彼女はスコールを救出します。記憶を失いうなだれるスコールの前に落ちてきた白い羽根―……あの羽根こそリノアの力の象徴なのです。
【リノア=アルティミシア説】
ここからは公式の設定ではなく、一部のファンの間でまことしやかに囁かれている噂です。(※ある意味二次創作)私はどちらかと言えば否定派です。が、非常に面白い説ですしFFⅧの見方がガラリと変わるので紹介しますね。
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ファイナルファンタジー8では多くの謎を残したまま、作品が終了している為、ファンがその後の展開やストーリーの謎を考えることが多い。その中でも特に有名で多くの議論が交されているのがリノア=アルティミシア説である。公式ではなく、あくまで一つの想像にすぎないのでその点に注意。
まず、リノア=アルティミシア説を唱える人の多くが、ストーリー中にあるたくさんのリノアとアルティミシアと重なる部分がちりばめられている点に注目している。
・OPにおいて、最初は白い羽のリノアだが、最後のシーンでリノアは黒い羽の中からスコールに向かって抱きついてくる。
・最終決戦のときにスコールとリノアしか名称を知らないグリーヴァをアルティミシアは召喚した。
この名前はスコールが「ライオン」という伝説上の獣に自身で勝手に付けた愛称であり(プレイヤーが任意で変更さえ可能)、これを知っているのは名付け親であるスコールと、それを聞いたリノアしかいない。ただし、アルティミシアがリノアにジャンクションしている間、彼女から情報を引き出した可能性もある。また、同じシーンにおいて「いつかこのライオンのように私も強くなりたい」というリノアの発言がある。ラスボス戦3段階目において、グリーヴァにジャンクションしたアルティミシアの姿は「ライオン」の姿に似ている。戦闘BGM曲名「Maybe I’m a Lion」。
スコールの最も強いと思うものを召還したが 魔女がジャンクションもなしに人の心を読めるといった示唆は何処にもなかった。
サイファーがスコールを拷問する際、「SEEDとは何か。イデアが知りたがっている」と発言しており、もし魔女が読心術を持っているのならサイファーにわざわざ拷問をさせる必要がない。
・ラスボス戦2段階目において、アルティミシアの浮かぶ仕草が、ヴァリー状態になったリノアの仕草と酷似している。
・リノアが、「悪い魔女となって、そしてSEEDが悪い魔女を殺しに来る」という台詞がある。これはOP,EDにはないシーンである。この会話は、OP、EDの両方にかかってくる非常に重要な伏線のシーン。
つまり、アルティミシア(=リノア)が時間圧縮を行ったのは悪の魔女になった自分を他ならぬスコールに殺してもらうため。
魔女は魔女の騎士がいないと悪の心に染まることになると言われている。
スコールがいない未来において、リノアがアデルのように、悪の魔女となることは十分に考えられる。
リノアは魔女の為、魔女の力を継承しなければ死ぬことができない。しかし、魔女の力を継承すること、つまり悲しみの連鎖が続くことを望んではいなかった(また、ラストのアルティミシアの描写から、魔女は自分の意志で力を継承することが出来ないとも解釈できる)。
悪の魔女に転じてしまったリノアが、生き延びるためにGFをジャンクションしてSEEDと戦い続けたとしたらリノアは次第に記憶を失っていく。それによりスコール達の時代に来ても記憶がほとんど欠落していてもおかしくはない。
ただし、その解釈だと何故グリーヴァに関する記憶だけ都合よく残っていたのか、という疑問が残る。
・アルティミシア城の謎掛けの絵がイデアの家に似ており、かつ絵のタイトルが『庭園(Garden)で眠る使者(スコールのキャッチコピーはSleeping Lion Heart)』
・スコールがリノアに「俺のそばから離れるな」と発言したのがはじまりとリノアは語る。時間圧縮後に最初に訪れる「はじまりの部屋」は、まさにその言葉が発せられた場所。しかもそこにわざとらしくセーブポイントを置き、プレイヤーがメニュー画面を開くように誘導している。メニューを開けば当然場所の名前を目にすることになり、プレイヤーは「はじまりの部屋」という名称が印象に残りやすくなる。更にセーブポイントがいきなり増殖するイベントが発生し、この場所の印象が更に強く残るよう演出されている。何故このようなところにセーブポイントを置き、なおかつそれがいきなり増殖するという奇妙なイベントを発生させたのか、非常に不可解である。ただし、この部屋はアルティミシア(イデア)とリノアの初対面の場所でもあるため、そういった意味でも「はじまりの部屋」である。
・EDでリノアとアルティミシアの画像が何度もだぶって映っているが、その時に顔の輪郭や目の位置、鼻の高さがぴたりと合う。
・リノアの背に浮かぶ白い羽根が一瞬、黒く変わるように見えるシーンまで用意されており、肉眼では捉えることのできないほどの短い時間挿入される。ちなみにアルティミシアがEDで一瞬見える黒い羽もそのリノアの羽と酷似している。
・時間圧縮の世界で記憶にある場所にしかいけないはずが、スコールとリノアが約束した約束の地に最後の力を使いアルティミシアは現れている。一説には子供の頃のスコールにもらった指輪を返しに来たのではないかとも言われている。ただし、何故、わざわざ子供のスコールに返そうとしたのかという疑問が残る。
・アルティミシア城が何故イデアの家に太い鎖でしっかと繋がれていたのか?そこはスコールと約束した、リノアにとって最も大事な場所『約束の場所』だからである。
・当時全キャラのCG作成が間に合わずEDでキロスとウォードは遠巻きにしか出てこないが、それよりもはるかに出演が少ないアルティミシアのCG映像を作り何故あんなにもEDでリノアとダブらせたのか?
・アルティミシアの最終形態でアルティミシアの下にぶら下がっている女性らしきものがリノアに非常に良く似ていること。……リノアに似ているかはともかく、ぶら下がっている女性がこれまでのアルティミシアに見え、上半身を構成しているのは全く別の存在であるかのように見える。
・リノアの武器である、ヴァルキリー、カーディナル、シューティングスターが、ディシディアファイナルファンタジーのアルティミシア「専用」武器となっている。他のラスボス(カオスキャラ)の専用武器は基本的にディシディア武器となっているが、なぜかアルティミシアだけリノアが使用していた武器となっている。また、DFFではスコールに対して「踊りましょうか」と語りかけるなどスコールがリノアとダンスをしたダンスパーティーをちらつかせる描写もある。ただし、これは巷にある俗説を公式が遊びで取り入れたパロディである可能性もある。DFFにはその手の遊びが多い。
……などたくさんの伏線があり、リノア=アルティミシア説専用のサイトもたくさん存在する。しかし、反対派の話も負けず多く、それぞれにFF8を独自に解釈しているファンがいるため、この説はいまだに決着がついていない。
------引用ここまで------
……反対派と肯定派あなたはどちらですか?
これにてFFⅧ考察本当に終わりです。
2013・5・6
・この考察はFFⅧ信者のFFⅧ信者によるFFⅧ既プレイ者のための考察です。
・当然、百割のネタバレ(誤字ではない)で構成されています。
・FFⅧを全力で肯定していくので、アンチの方には優しくありません。
・この考察は、デジキューブ発行のFFⅧアルティマニアの情報を鵜呑みにして作成してあります。あと、妄想。
・おkですか?
まだ、昼と夜が混じりあっていた頃
『ハイン』という存在があった。
『ハイン』は大地が産み出した、沢山の獣との戦いに明け暮れていた。
『ハイン』は魔法を持っていたので、その力に頼って長い戦いを勝ち抜いた。
こうして『ハイン』はこの大地の支配者となった。
『ハイン』は自分の椅子に座ったまま、ずっと遠くまで見通したいと思った。
ところが『ハイン』の椅子の場所からでは山が邪魔で東の海が見えなかった。
山を壊してしまおうかとしたが、長い戦いで疲れていたので『ハイン』は山を切り崩す道具を作って、それに仕事をさせようと考えた。道具は勝手に動いて、必要なら自分達の数を増やすことが出来るように作られた。
『ハイン』は道具を人間と名付けた。これが男と女からなる我々人間の始まりとなった。
人間は数を増やしながら山を切り崩していった。全部の作業が終わった後、人間は次に何をしたらいいのか『ハイン』に聞きに行った。しかし、『ハイン』は疲れてぐっすり眠っていた。仕方がないので、人間は勝手に大地を作り変えていった。
『ハイン』が目覚めた時、辺りの様子は一変していた。何より驚いたのは人間の数だった。『ハイン』は人間を減らそうとして、役に立たなそうな小さな人間を魔法で焼き尽くしてしまった。その小さな人間は「子供」と呼ばれる存在で、人間たちがたいそう大切にしていたものだった。
人間達は叫んだり泣いたりして『ハイン』に抗議した。
しかし、『ハイン』は自分の道具の言う事など聞かなかったので、人間達は怒りだしてしまった。
人間達は『ハイン』の言う事を聞かなくなってしまった。
人間達は『ハイン』に反抗し始めた。
『ハイン』は魔法で応戦したが、増えてしまった人間の数と魔法を持たない代わりに獲得した知恵にやり込められることが多くなった。
困った『ハイン』は人間と取引した。自分の半身とその力を人間達に与えよう、と。人間達は『ハイン』の力が半分になれば、あまり怖くないと考えたので、その取引に応じた。
『ハイン』は自分の身体を切り裂き、半身を人間に差し出した。これで『ハイン』にとっても人間にとっても穏やかな日が来るはずだった。ところが、人間達はこの『ハインの半身』が持つ力を奪い合って争いを始めてしまった。
長い長い戦いが続いた。この時、たくさんの国が出来た。この戦いに勝利したのが黒耳王セバルガとその一族だった。彼らは森の中で居眠りしていた『ハインの半身』に約束通りお前の力を寄越せと言った。だが、『ハインの半身』はのらりくらりと答えをはぐらかした。なんとかしようとゼバルガは賢者バスカリューンに相談した。賢者バスカリューンは知恵を巡らせて『ハインの半身』から答えを聞き出した。
『ハイン』は半身に野蛮で粗悪な腕力しか残さなかったのだ。人間達は『ハイン』の力の半分とは、当然、神秘の力である魔力の力の半分だと思っていたが、『ハインの半身』は『脱け殻のハイン』だったのだ。
その話を聞いたゼバルガ一族は怒った。
約束を破った『ハイン』を今度こそ倒そうと考えた。しかし、魔法を持つ方の『ハインの半身』は一向に見つからなかった。人間は行方不明の『ハイン』に『魔力のハイン』と名付け、何世代にも渡って探し続けた。
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『魔法のハイン』が見つからなかったのは当然である。
『魔法のハイン』は当時の人々の感覚では保護すべき者と考えられていた女性に姿を変えて身を隠していたからである。
時折、歴史上に重要な役割を果たす女性が現われるが私は『魔法のハイン』と考える。
『魔法のハイン』そのものなのか子供なのか、力を引き継いだ者なのかは、それは今後の研究が明らかにするだろう。女の姿をした『魔法のハイン』私はこれを魔女と命名する。
まず、はじめに言いたい。何故この神話を本編に入れなかったし。(※アルティマニアP478~479より引用)そんな愚痴を漏らしたところで本格的な考察を始めていくよ!
【魔女】
やはり最初にこれを語らねばなりませんね。FFⅧの根幹の設定とも言える魔女。魔女とは一体、どういった存在なのでしょうか?
魔女とは、古代から絶える事なく存在している、特別な力を継承した女性の総称です。魔女の力を継承した者は常人には扱えない神秘の力―……魔法を行使する事が可能になります。
作中、魔女ではないスコール達も普通に魔法を使用しているように見えますが、スコール達が使用しているのはあくまで疑似魔法であり、本来の魔法を模して作られた模造品に過ぎないのです。では、本来の魔法の威力とは?
終盤のリノアを思い出してみましょう。リノアはDisc3以降、特殊技として魔女の力を解放するヴァリーが使用できるようになります。ヴァリー状態で使用された魔法は、数も減らず、その威力も通常の五倍と大幅に跳ね上がります。つまり、ヴァリー状態でリノアが使用する魔法こそが本来の魔法の力なのです。リノアは魔女として覚醒したばかりですから、力の扱いになれていないためヴァリーになると制御不能になるのかもしれませんね。ヴァリーメテオぶっぱ美味しいです。
【魔女の力の継承】
魔女を語る上で絶対に外せないのが、魔女の力の継承です。魔女は、先天的に決められているのではなく、後天的に他者からの力の継承があって初めて誕生するものだからです。
また、魔女は魔女の力を持ったまま死ぬことは出来ません。魔女の力の継承を行うまで、例え瀕死の重傷を負っていても死ぬ事が出来ないのです。
魔女になりうるかどうかの適性は、力を宿すためのキャパシティと相性によって決定され、先代の魔女の身体から切り離された純粋な力のみが次代の魔女へと継承されます。その際、力の授受を行う者同士が血縁関係である必要性はありません。
作中では、計三度、魔女の力の継承が描かれています。
一度目は、Disc2終盤。魔女イデアから魔女リノアへ。
二度目は、Disc3終盤。魔女アデルから魔女リノアへ。
そして三度目。エンディング、魔女アルティミシアから魔女イデアへ。
彼女達にはいずれも血縁関係がありません。この事からも、魔女の力の継承とは純粋な力の受け渡しだということが言えると思います。
【魔女リノア】
さて、前述の魔女の力の継承を読んでおや?と思った方もいるかもしれません。
そう。リノアは二人の魔女から力を継承しているのです。
魔法の力を受け継ぐ者は世界一人と決まっているわけではないという事がこの事から分かりますね。魔女の系譜は枝分かれしているのです。
【魔女イデア】
魔女イデアの力の継承は、リノアよりも更に複雑です。
魔女イデアは彼女が五歳の時、一度、魔女の力を継承しました。その後、彼女はその魔女としての力を他者に継承しています。(※この継承者が誰かは不明)
しかし、十三年前、イデアは再び魔女になりました。新たな魔女とイデアとの間で継承が行われたからです。そして、魔女イデアが新たに受け継いだこの力はリノアへと継承される事になります。
しかし、何故、イデアは一度は捨て去る事が出来た忌まわしい魔女の力を再び継承しようと考えたのでしょうか?答えは彼女の台詞の中にあります。
“私は子供達を魔女にしたくはありません。”
一度、魔女を経験したイデアだからこそ魔女になる事の恐ろしさを知っていたのです。そして、二度目のこの継承が、やがて悲劇をもたらす事を。だからこそ、彼女は、悪しき魔女を滅ぼす力を持つ者―……SeeD(種)を育てたのです。例え、その結果、自分自身がSeeD達に討たれる事になろうとも。
【魔女アデル】
魔女アデルは内面が限りなき欲望に満ちた魔女で、大国エスタを支配して魔女戦争を引き起こし世界中に恐怖をばらまきました。しかし、彼女の恐怖政治は17年前、突如終焉を迎えます。アデルがある男により月に封印されたためです。
男の名前はラグナ・レウァール
魔女封印の功績から大国エスタの大統領に就任したラグナですが、彼はその後、17年もの間、アデルの封印を見守り続けることになりました。作中、スコールは昏睡状態に陥ったリノアを救う手立てを求めて宇宙へと旅立ちますが、この時、宇宙船外でアデルの封印セキュリティのチェックを行っていた男こそラグナです。つまり、親子の対面は地上じゃなくて宇宙だったわけです。
“そこのおまえ!エルオーネを守れ!まかせた!!”
……じゃねーよ。こっちは実の息子だよトーチャン。
(´・ω・`)
【アデルセメタリーと電波障害】
brinGmeBAckthereIaM
aLivehereIwilLnever
letYouforGetabOutme
これは、ティンバーの街頭テレビに表示されている文字配列です。
FFⅧの世界では、17年前から世界的規模でこの電波障害が起こるようになりました。ほぼ全て周波帯でこの気持ち悪いアルファベット文字のノイズが流れてしまうのです。では、原因は?その原因に迫る前に、このアルファベットの羅列をもう一度よく見ることにしましょう。
このままでは気味の悪い文字の羅列ですが、大文字と小文字に分けて適切な場所で区切ると―……
Bring me back there.
I am alive here.
I will never let you forget about me.
訳:私をそこへ連れ戻せ。
私はまだ生きている。
私の存在を忘れさせてなるものか。
……と、意味のある文章になります。結局不気味ですが。17年前、そして、この文章―……もうお分りですね?この電波障害の原因は、魔女アデルなのです。(※正確に言うと、魔女アデルに施された封印の副作用)
アデルの封印システム―……アデルセメタリーは特殊な素材で作られていて、電波、音波、思念波、そしてジャンクションの干渉すら受け付けません。しかし、そのあまりに強い妨害処理とアデルの強い怨嗟の意志が地上の電波に影響を及ぼしているのです。その証拠に、このノイズの原因であるアデルが地上に落ちてきた後、この英文は映らなくなります。
【永劫回帰】
今更隠す必要もないので書いてしまいましょう。実は、ある系譜の魔女の力は閉じた時間の中を永遠とループしています。
魔女イデア(二度目の継承)→魔女リノア(のちに魔女アデルの力も継承)→遥か未来へ→魔女アルティミシア→魔女イデア(最初に戻る)
お分りいただけたでしょうか?イデアが二度目に継承した力は、リノアの更に後の後の時代―……遥か未来からやって来た魔女アルティミシアの力だったのです。
ラストバトルの後、スコール達SeeDに討たれたアルティミシアは、自身の魔女の力の継承先を探して時空間をさ迷い歩き、過去の世界に生きるイデアを見つけます。アルティミシアの時代に継承に相応しい候補者がいなかったためか、それともアルティミシアがイデアに惹かれたからか―……理由は作中で語られていません。しかし、どちらにせよ、アルティミシアはイデアを見付け自身の力を継承しました。そして、イデアもまた何もかも見通した上でアルティミシアの力を継承したのです。これにより、この系譜の魔女の力は閉じた時間を未来永劫ループするようになりました。
アルティミシアは、終わりの魔女であると同時に始まりの魔女でもあるのです。
なお、他の魔女の系譜―……例えば、イデアが一番始めに継承した魔女の力はこの限りではありません。
【ジャンクション】
FFⅧを語る上で、魔女と同様、欠かせないのがジャンクションとガーディアンフォース(以下、GF)の存在です。
ジャンクションとは、文字通り接合を意味しますが、作中における、ジャンクションとは物と物ではなく、生命体に別の意識体又は魔法を接合させる事を意味しています。
GF(※後述します)をジャンクションした者は、更に疑似魔法のジャンクションが可能となり、その魔法の使用が出来るようになるばかりではなく、自分の身体能力を大幅に底上げする事が可能になるのです。素の状態とジャンクションした状態で戦力に雲泥の差が出来るのはこのためです。
このように戦闘能力を大幅に向上させるジャンクショですが、とある副作用が問題となり、各国軍部ですらその使用には否定的な意見が根強く、現在、GFを使用したジャンクションを承認しているのはスコール達の母校であるバラム・ガーデン一校のみです。
【GF】
ここからはGFについての説明です。この設定も物語を読み解く上で重要になってきます。
GFとは、それぞれが持つ特性に応じて、獣や妖精といった姿で現われる巨大な自律エネルギー体の総称です。特定の場所(力場)に存在している場合と、物や生体に宿っている(ドロー抽出するタイプ exセイレーンやエデン)があり、更に恒常的にジャンクションが可能(通常型 exシヴァやバハムート)か否(乱入型 exオーディンやギルガメッシュ)かによって二種類に分類する事が出来ます。
GFは生体同様に個としての意識を持っていますが、その大半は確固とした身体を持たず、限られた時間しか実体化することが出来ません。
前述したように、GFをジャンクションした者は戦闘能力が飛躍的に上昇します。作中、実戦経験の薄いスコール達がガルバディアなどの正規軍相手に無双出来るのもこの恩恵を受けているからです。
しかし、GFの使用には副作用が伴います。それは、記憶の欠落です。
GFに限らず、ジャンクションされた者は、受け手の意識内に自分の常駐場所を形成します。それは、人間が過去を記憶しておく場所と同じでした。これによりジャンクションの受け手になった者は記憶の欠落が生じるのです。
“だ、ダメだ、すまない。撃てない。僕、本番に弱いんだ。ふざけたりカッコつけたりしてなんとかしようとしたけどダメだった。”
この台詞はDisc1終盤の魔女イデア暗殺計画の時にアーヴァインが漏らしたものです。一見すると魔女暗殺におじ気ついたようにしか思えない台詞ですが、アーヴァインは本当にただのヘタレでしかないのでしょうか?
答えはもちろん違います。
アーヴァインはスコール達と異なりバラム・ガーデンの出身ではありません。故にGF装備の副作用である記憶障害を受けずに成長することが出来ました。そんなアーヴァインだからこそ覚えていたのです。
今、まさに自分達が殺そうとしている相手こそ、自分達―……スコールを始めとした全員が幼少時、母親も同然に慕っていた女性だということを。だから、アーヴァインは彼女を殺す引き金が引けなかったのです。
【続・ジャンクション】
さて、今までGFと魔法のジャンクションについて延々と語ってきたわけですが、ジャンクションの側面はこれだけではありません。
ある特別な力を持った者限定になりますが、その力を持つものを介在すれば人間と人間といった生体間同士のジャンクションが可能になるのです。
しかも、このジャンクションは時間の影響を受けず、片方が過去に存在しようが未来に存在しようが強制的にジャンクションする事が可能です。いわゆるチートですね。
他人の意識をジャンクションされた者―……つまり、受け手側は何かが頭に入ってきたようなザワザワとした感覚に見舞われますが、入り込んできた意識が何を言っているかを聞き取ることは出来ません。
一方、ジャンクションした側はその逆で、身体こそ昏睡状態に陥るものの意識ははっきりしているため受け手が置かれている状況を把握することが出来ます。
作中、このジャンクションの受け手になるのは主にラグナ編のキャラクター達で、逆にジャンクションされる側はスコール達です。
ジャンクションの受け手側であるラグナ達はこのジャンクションのザワザワとした感覚を“妖精さんがやって来た”と表現しました。
スコール達がラグナ達にジャンクションした時、同時に、スコール達が装備しているGFの恩恵を享受する事になり、結果、戦闘能力が格段に上昇したためこう表現したのかも知れません。
【エルオーネ】
続・ジャンクションで生体と生体とのジャンクションは特別な力を持つものの介在なしに成り立たないと記述しました。
作中では、エルオーネという女性ただ一人のみがこの特別な力を持っていました。エルオーネのこの力は魔女ですら持たない極めて稀有な力です。
エルオーネは実子ではありませんが、幼い頃、ラグナとある女性の三人で家族同然に暮らしていました。しかし、当時流行っていた女の子狩りの犠牲となり、魔女アデルによる恐怖政治が行われているエスタ国に攫われてしまったのです。
魔女の力の継承で述べたように魔女は力の継承を行わない限り死ぬことが出来ません。当時、魔女アデルは自身の後継者となる者を求めていました。自分の跡を継ぐに相応しい、魔女の資質を持つ人間を求めて世界各地で誘拐を繰り返していたのです。
アデルの項目でラグナがアデルを封印したと書きましたが、ラグナがアデルに戦いを挑んだのも全てエルオーネを救い出すためです。結果、アデルは封印され、エルオーネは救助され、一度は女性の待つ故郷に帰ることになりました。自分のところにいるよりもかつて一緒に暮らしていた女性―……レインのもとにいた方が安全だとラグナは考えたからです。
封印したとはいえ、アデルは完全に滅びたわけではありませんし、万が一魔女が復活したら真っ先に狙われるのは他ならぬラグナでしょうから。しかし、エルオーネが故郷に帰ってすぐ、レインは亡くなってしまいました。再び家族を失ったエルオーネは孤児院へと預けられることになりました。
レインが生んだラグナの子供―……スコールと共に。
【エルオーネの目的】
エルオーネはスコール達を何度も過去のラグナ達にジャンクションします。何故、エルオーネはスコール達を何度も過去に送り込んだのでしょうか?
エルオーネの目的―……それは過去の修正です。
エルオーネは自分のせいでラグナとレインが離れ離れになってしまったと感じていました。レインの死は自分の責任だという自責の念を持っていたのです。エルオーネはスコールをラグナにジャンクションする事により、過去を変えレインの死を回避しようとしたのです。
しかし、それは失敗に終わります。過去は変えられなかったのです。そして彼女は一つの答えを見つけます。
“過去は変えられない。けど、知らなかった過去を知った今、自分が変わる。”
このエルオーネの台詞凄く好きです。
【ジャンクション・マシーン・エルオーネ】
エルオーネには生体間のジャンクションを介在する力があるのは今まで述べてきた通りです。
その力が時間の枠に囚われず過去にまで及ぶ事はスコールとラグナのジャンクション関係からも明白です。このエルオーネの力に目を付けた科学者がいました。
大国エスタのお抱え科学者である人格がバグっているオダイン博士です。魔女アデルの下で魔女の力について研究していたオダイン博士ですが、エルオーネが捕らえられたことにより、博士の関心は魔女の力からエルオーネのジャンクション能力へと移ります。
そのエルオーネの力を解析し、博士は一つの機械を作り出しました。
ジャンクション・マシーン・エルオーネと名付けられたその機械を使用することにより、使用者はエルオーネ同様、生体=生体間のジャンクションを行うことが可能になったのです。
現時点ではおもちゃのような試作機ですが、時代が経つことに機械は改良されていきます。
こうして遥かな未来で完成したジャンクション・マシーン・エルオーネを用いて現在に干渉し続ける存在がありました。それが、魔女アルティミシアでした。
【魔女アルティミシア】
さあさあ、いよいよ最後の魔女について語っていきますよ!長い考察もあと少しの予定だから超頑張って!
魔女アルティミシアは魔女リノアの後、何代も何代も後に登場した遠い未来の魔女です。彼女はある目的のために過去に干渉し、エルオーネを捕らえようとしました。機械を使えばマシーンのオリジナルであるエルオーネが生きる時代までは干渉可能ですが、マシーンが作られる以前への干渉が出来なかったからです。アルティミシアは更に過去への干渉を目論んでいました。そのために選んだ駒が、現代の魔女であるイデアとリノアです。
では、アルティミシアの目的とは?
彼女の目的はただ一つ―……過去・現代・未来に渡る膨大な時間の圧縮です。
【時間圧縮】
時間圧縮とは何か?
これは一種の時間魔法であり、時間圧縮が発動するとあらゆる時間と空間が一点に収束し、発動者以外存在しない世界が誕生することになります。また、発動者である魔女自身は全ての時代、全ての魔女の力を得る事になるため、莫大な力を手に入れることになります。
【アルティミシアの目的】
アルティミシアの目的は時間の圧縮です。しかし、そもそも、何故、アルティミシアは時間圧縮を行おうとしたのでしょうか?
もう一度、時間圧縮について整理しましょう。
人間は、X軸、Y軸、Z軸、そして時間軸の四次元で生きています。(※実際はもっと高次元だそうですけど……)
四次元の存在である私たちはそれより下の次元を認識する事が出来ますが、下の次元の存在はそれより上の次元を認識することが出来ません。
乱暴な例えですけど、私達(四次元)はアニメやゲームキャラ(二次元)を認識できるけど、アニメやゲームのキャラは私達を認識できませんよね?ここではそう思ってください。
アルティミシアは、時間を収縮させ、自分以外の存在の次元を落とすことにより、自分は高い次元からそれを見る存在―……神になろうとしたのではないでしょうか?
【世界の敵になった理由】
神になろうとしたアルティミシアですが、では、どうして彼女は世界を敵に回してまで神になろうとしたのでしょう?
答えは、アルティミシアとイデアの台詞の中にあります。
“古来より我々魔女は幻想の中で生きてきた。
お前達が生み出した愚かな幻想だ。恐ろしげな衣装を身にまとい、残酷な儀式で善良な人間を呪い殺す魔女。
無慈悲な魔法で緑の野を焼き払い、暖かい故郷を凍てつかせる恐ろしい魔女―……くだらない。
ならば、愚かな者、お前達、こうするしかない。
自らの幻想に逃げ込め!私はその幻想の世界でお前達のために舞い続けよう!私は恐怖をもたらす魔女として未来永劫舞い続けよう!”
魔女が強大な力を持っていることは説明してきました。その強大な力故に人は魔女を畏怖し恐れます。しかし、魔女は力こそ強大ですが、心は人と変わりありません。アルティミシアも例外ではないでしょう。
つまり、アルティミシアは人々の恐怖と偏見に耐え切れず歪んでしまったのです。病んじゃったわけですね。
“あのね、リノア。魔女でいることの不安を取り除いてくれる方法を教えましょう。それは魔女の騎士を見付ける事です。
いつでもあなたの傍にいて、あなたを守ってくれる騎士。騎士はあなたに安らぎを与えます。
騎士がいない魔女は多くの場合、力を悪しき道のために使ってしまうのです。魔女アデルには騎士がいなかったと聞いています。恐らく、未来の魔女アルティミシアにも騎士はいないでしょう。”
この台詞は魔女イデアが自分の力を継承したリノアに贈ったものです。イデアの言う魔女の騎士とは、魔女の身辺を守る者ではなく、魔女の理解者、心のパートナーを指しています。魔女イデアにとって彼女の騎士は夫であるシドでした。理解者がいたからこそイデアはアデルやアルティミシアのような恐怖の魔女にならずにいられたのです。
アルティミシアは、愛に飢えた孤独な魔女なのです。
……改めて魔女の騎士について書くとサイファーは勘違いしまくりでしたね。
【矛盾】
“…eeD…SeeD…SeeD…SeeD…SeeD、SeeD、SeeD!!気に入らない…。何故、魔女の邪魔をする?何故、私の自由にさせない!?
もう少しで完全なる時間圧縮世界が完成するというのに…邪魔は許さんぞ…。お前達の存在など時間圧縮のアルゴリズムに溶け込んでしまうがいい!
激しい痛みと共に思考が分断され記憶も思い出も極限まで薄められるのだ!
何も出来ず、何も考えられず、思いすら何もない!そんな世界にお前達を送ってやろう!
お前達に出来ることは何も…いや、お前達に出来ることは唯一永遠の存在である私を崇めること!!”
“私はアルティミシア。全ての時間を圧縮し、全ての存在を否定しましょう”
この二つの台詞は共にアルティミシアのものです。明らかに矛盾しています。
一つ目の台詞では、唯一の存在になる自分を崇めろと言っておきながら、二つ目の台詞では自分を含めた全ての存在を否定しているのです。(それ以前に口調からして違いますが……)
こうは考えられないでしょうか?この二つの台詞は、実はそれぞれ異なる存在が語っているのではないか、と。一つ目はアルティミシア自身。そして、もう一つは彼女とは違う別の存在が。
ラストバトル中、アルティミシアは自らを自らが生み出したGFにジャンクションし、スコール達に襲い掛かります。しかし、そのアルティミシア自身も実は誰かにジャンクションされていたのだとしたら?アルティミシアにジャンクションし、全ての存在を否定しようとしていたもの―……あの最終形態こそが魔女の始祖であり、世界の創造神である『ハイン』そのものなのではないでしょうか?
【愛の物語】
スコールとリノアの恋。
ラグナとレインの恋。
仲間との絆、家族愛―…FFⅧではさまざまな愛が語られています。
始祖ハインは人間たちが愛してやまない子供たちを殺したが故に滅びました。
イデアは子供たちへの愛故に再び魔女になりました。
魔女アルティミシアは愛に飢えたが故に狂いました。
そして、甦ったハインもまた世界の絆の前に滅んでいきます。
“愛を感じてほしい”
やはり、FFⅧは愛の物語なのです。
Fin?
【補足あれこれ】
まとめきれなかった補足的なアレコレ。箇条書きです。
・ラグナとスコールは親子。証拠はムンバの反応。ムンバは血で個を認識しています。この二人が親子でなければムンバはスコールの事を“ラグナ”とは絶対に呼ばない。
・スコールの母親はレイン。名前も雨繋がりである。
・リノアの母親はラグナの憧れだったジュリア。ラグナを失って傷心していたジュリアを落としたのがリノアの父であるカーウェイ。
・Eyes on Me はジュリアがラグナを想って作った曲。ジュリアは“ラグナの目”が好きだった。歌詞を見ると更によく分かります。
・エルオーネがスコール達がいる孤児院からいなくなったのは、オダインが再びエルオーネを研究対象として捕らえようと目論んだため。孤児院から出たエルオーネは白いSeeDの船で暮らすようになります。
・サイファーのろまーんちっくな夢とは魔女の騎士になる事。サイファーはラグナ主演のあの映画を観て騎士に憧れるようになった。だから、ラグナのガンブレードの構えとサイファーの構えは一緒。
・時間圧縮後の世界でスコール達が存在できたのは、互いが互いを信じ創造したから。
・リノア=アルティミシア説はおもしろい説だが矛盾が目立つ。
・なによりFFⅧは公式でハッピーエンドだとアナウンスされている。
・本当の本当に終わり……?
2013・5・3
【EDあれこれと禁忌】
……と、思ったんだけどもう少しEDに関して補足できそうなので続きます。
【無限ループと魔女の終わり】
エンディングの時、スコールだけ仲間ともリノアともはぐれ、一人過去の世界へと迷い込みます。この時、アルティミシアもまたスコールと同じ時間にやって来てママ先生―……イデアが力を受け継ぎ、永魔女の力は閉じた時間をずっとループするようになったと書きました。
一見するとBADにしか思えませんが、別の見方をすればこの魔女の力はアルティミシアの時代以降消え去る。と、いうわけです。
閉じた時間を魔女の力が循環することになった事で、魔女の連鎖が終わったのです。(※この系譜に限り……ですが)
【魔女イデアとガーデンとSeeD】
魔女イデアが魔女を倒すためにSeeDとそのSeeDを生み出すガーデンを設立したのは、既に説明しました。では、そのガーデンとSeeDのアイディアは全て彼女が考えたものでしょうか?
勿論、違います。イデアにガーデンとSeeDの概念を教えたのは、アルティミシアを倒し過去に迷い込んできたスコール自身です。
“魔女を倒すのはあなたの運命です。”
イデアの夫でありガーデンの設立者であるシドは作中スコールにこう語ります。シドは知っていたのです。やがて、スコールが魔女と戦いそれを倒すことを。イデアはSeeDの敬礼のポーズを最初から決めていました。未来から来たスコールがイデアに見せた敬礼から取ったことは言うまでもありません。
【帰れなかった理由】
ED中、仲間達は迷わず未来から自分の時代に帰っていきました。しかし、スコールだけは時間の狭間に落ち迷ってしまいます。何故、スコールだけ迷ったのでしょうか?
GFの副作用のためです。
実はスコールは一番長い期間GFをジャンクションしてきました。ガーデンに入学したのが一番早かったからです。(※実はキィスティスよりもスコールの方が古株)
帰るべき場所も思い出せない。大切な女性の顔も思い出せない。リノアの顔がぐしゃぐしゃに潰れた映像が出てくるのはそういう理由があったわけです。
【愛の魔法】
リノアは何度もスコールに助けられてきました。劇中の彼女はスコールに助けられてばかりです。それは魔女の力を継承した後も変わりません。また、魔女として未熟なリノアは自身の力を上手く操れませんでした。
そんな、リノアが初めて自分の意志で魔女の力を制御し、魔女の力を使いました。スコールを助けるために。そして、彼女はスコールを救出します。記憶を失いうなだれるスコールの前に落ちてきた白い羽根―……あの羽根こそリノアの力の象徴なのです。
【リノア=アルティミシア説】
ここからは公式の設定ではなく、一部のファンの間でまことしやかに囁かれている噂です。(※ある意味二次創作)私はどちらかと言えば否定派です。が、非常に面白い説ですしFFⅧの見方がガラリと変わるので紹介しますね。
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ファイナルファンタジー8では多くの謎を残したまま、作品が終了している為、ファンがその後の展開やストーリーの謎を考えることが多い。その中でも特に有名で多くの議論が交されているのがリノア=アルティミシア説である。公式ではなく、あくまで一つの想像にすぎないのでその点に注意。
まず、リノア=アルティミシア説を唱える人の多くが、ストーリー中にあるたくさんのリノアとアルティミシアと重なる部分がちりばめられている点に注目している。
・OPにおいて、最初は白い羽のリノアだが、最後のシーンでリノアは黒い羽の中からスコールに向かって抱きついてくる。
・最終決戦のときにスコールとリノアしか名称を知らないグリーヴァをアルティミシアは召喚した。
この名前はスコールが「ライオン」という伝説上の獣に自身で勝手に付けた愛称であり(プレイヤーが任意で変更さえ可能)、これを知っているのは名付け親であるスコールと、それを聞いたリノアしかいない。ただし、アルティミシアがリノアにジャンクションしている間、彼女から情報を引き出した可能性もある。また、同じシーンにおいて「いつかこのライオンのように私も強くなりたい」というリノアの発言がある。ラスボス戦3段階目において、グリーヴァにジャンクションしたアルティミシアの姿は「ライオン」の姿に似ている。戦闘BGM曲名「Maybe I’m a Lion」。
スコールの最も強いと思うものを召還したが 魔女がジャンクションもなしに人の心を読めるといった示唆は何処にもなかった。
サイファーがスコールを拷問する際、「SEEDとは何か。イデアが知りたがっている」と発言しており、もし魔女が読心術を持っているのならサイファーにわざわざ拷問をさせる必要がない。
・ラスボス戦2段階目において、アルティミシアの浮かぶ仕草が、ヴァリー状態になったリノアの仕草と酷似している。
・リノアが、「悪い魔女となって、そしてSEEDが悪い魔女を殺しに来る」という台詞がある。これはOP,EDにはないシーンである。この会話は、OP、EDの両方にかかってくる非常に重要な伏線のシーン。
つまり、アルティミシア(=リノア)が時間圧縮を行ったのは悪の魔女になった自分を他ならぬスコールに殺してもらうため。
魔女は魔女の騎士がいないと悪の心に染まることになると言われている。
スコールがいない未来において、リノアがアデルのように、悪の魔女となることは十分に考えられる。
リノアは魔女の為、魔女の力を継承しなければ死ぬことができない。しかし、魔女の力を継承すること、つまり悲しみの連鎖が続くことを望んではいなかった(また、ラストのアルティミシアの描写から、魔女は自分の意志で力を継承することが出来ないとも解釈できる)。
悪の魔女に転じてしまったリノアが、生き延びるためにGFをジャンクションしてSEEDと戦い続けたとしたらリノアは次第に記憶を失っていく。それによりスコール達の時代に来ても記憶がほとんど欠落していてもおかしくはない。
ただし、その解釈だと何故グリーヴァに関する記憶だけ都合よく残っていたのか、という疑問が残る。
・アルティミシア城の謎掛けの絵がイデアの家に似ており、かつ絵のタイトルが『庭園(Garden)で眠る使者(スコールのキャッチコピーはSleeping Lion Heart)』
・スコールがリノアに「俺のそばから離れるな」と発言したのがはじまりとリノアは語る。時間圧縮後に最初に訪れる「はじまりの部屋」は、まさにその言葉が発せられた場所。しかもそこにわざとらしくセーブポイントを置き、プレイヤーがメニュー画面を開くように誘導している。メニューを開けば当然場所の名前を目にすることになり、プレイヤーは「はじまりの部屋」という名称が印象に残りやすくなる。更にセーブポイントがいきなり増殖するイベントが発生し、この場所の印象が更に強く残るよう演出されている。何故このようなところにセーブポイントを置き、なおかつそれがいきなり増殖するという奇妙なイベントを発生させたのか、非常に不可解である。ただし、この部屋はアルティミシア(イデア)とリノアの初対面の場所でもあるため、そういった意味でも「はじまりの部屋」である。
・EDでリノアとアルティミシアの画像が何度もだぶって映っているが、その時に顔の輪郭や目の位置、鼻の高さがぴたりと合う。
・リノアの背に浮かぶ白い羽根が一瞬、黒く変わるように見えるシーンまで用意されており、肉眼では捉えることのできないほどの短い時間挿入される。ちなみにアルティミシアがEDで一瞬見える黒い羽もそのリノアの羽と酷似している。
・時間圧縮の世界で記憶にある場所にしかいけないはずが、スコールとリノアが約束した約束の地に最後の力を使いアルティミシアは現れている。一説には子供の頃のスコールにもらった指輪を返しに来たのではないかとも言われている。ただし、何故、わざわざ子供のスコールに返そうとしたのかという疑問が残る。
・アルティミシア城が何故イデアの家に太い鎖でしっかと繋がれていたのか?そこはスコールと約束した、リノアにとって最も大事な場所『約束の場所』だからである。
・当時全キャラのCG作成が間に合わずEDでキロスとウォードは遠巻きにしか出てこないが、それよりもはるかに出演が少ないアルティミシアのCG映像を作り何故あんなにもEDでリノアとダブらせたのか?
・アルティミシアの最終形態でアルティミシアの下にぶら下がっている女性らしきものがリノアに非常に良く似ていること。……リノアに似ているかはともかく、ぶら下がっている女性がこれまでのアルティミシアに見え、上半身を構成しているのは全く別の存在であるかのように見える。
・リノアの武器である、ヴァルキリー、カーディナル、シューティングスターが、ディシディアファイナルファンタジーのアルティミシア「専用」武器となっている。他のラスボス(カオスキャラ)の専用武器は基本的にディシディア武器となっているが、なぜかアルティミシアだけリノアが使用していた武器となっている。また、DFFではスコールに対して「踊りましょうか」と語りかけるなどスコールがリノアとダンスをしたダンスパーティーをちらつかせる描写もある。ただし、これは巷にある俗説を公式が遊びで取り入れたパロディである可能性もある。DFFにはその手の遊びが多い。
……などたくさんの伏線があり、リノア=アルティミシア説専用のサイトもたくさん存在する。しかし、反対派の話も負けず多く、それぞれにFF8を独自に解釈しているファンがいるため、この説はいまだに決着がついていない。
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……反対派と肯定派あなたはどちらですか?
これにてFFⅧ考察本当に終わりです。
2013・5・6
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