夢主コラボ童話(リレー小説)


リフィルの家を見ると、窓が割られていたり、ドアが開けっ放しだったりするような形跡は見当たらなかった。
それでも油断は出来ない…私達は警戒しながら一歩、また一歩と家に近付いていく。

ドアノブに手を掛けてから二人を振り返って頷くと、兄妹は頷き返してくれた。
因みに犬的な生き物は私達のずっと後ろにある木に隠れながら、不安そうに伏せている。


「…リフィル、入るわよ!」


勢い良くドアを開けてみると、驚いた顔でこちらを見てくる女性と目が合った。


「なあハオリ、あれがリフィルって人か?それとも妹?」

「どちらでもないわね」


私がそう答えて銃を構えると、マナが片眉を吊り上げて私に言い放つ。


『さっきあたしが言った言葉覚えてる?』

「悪人に人権なんて無い、だっけ」

『そうそれ!よろしくっ』


マナのゴーサインと私の物騒な行動に怖じ気付いた彼女は、顔を引きつらせながらこう言う。


「ちょっとそこの女!あたしを盗賊かなんかだと勘違いしてないかい!?て言うかハオリ、笑ってないで早くその銃を下ろしな!」

「あれ、どうしてコイツはハオリの事を知ってるんだ?」

「彼女はしいな、この森を管理している猟師よ。確かここから徒歩十五分くらいの場所に住んで…」

『って事はハオリ…知り合いだって分かってた上で銃向けてたの?』

「そうよ。弾が入ってない銃を人に向けて、何か問題でもあるかしら」

兄妹は互いに顔を見合わせてから、盗賊扱いされた彼女を気の毒そうに見つめる。
そんな二人に力無く笑った後、しいなは溜め息混じりに呟いた。


「どうせあたしの困った反応を見たかっただけだろ、ハオリはサ」

「正解、分かってるじゃない」

「なあ、しいなが悪い奴じゃなさそうだってのはなんとなく分かったんだけどさ…ハオリの言ってた二人はどこに居るんだ?ここはリフィルって人の家なんだろ」

『そう言えばそうだよね、しいなさんはなんか知らないの?』

「しいな、で良いよ。…実はあたしもどこに行ったか知らないんだ。あのリフィルが病気になったって聞いたから様子見に来たってのに、もぬけの殻だし。それでどうしたもんかな…って考えてたら、あんたらがここにやってきたと言う訳サ」


後から追ってきた私がここまで辿り着いたのに、方向音痴でもないフミカがまだここに来ていないとは考え辛い。
家の中に争ったような形跡は残っていないが、風邪を引いているリフィルがわざわざ外に出たりするとは思えない。出ようとしてもフミカが止めるはずだ。


「ゴメンなさい、ロイド、マナ…ここでお別れね。私は妹とリフィルを捜さなくちゃいけないから…」


そう言って家から飛び出そうとすると、右肩をロイド、左肩をマナに掴まれた。


「待てよ、どうして別れなきゃなんないんだ?」

『ロイドの言う通りだよ、勝手に決めないで』

「だってあなた達、青い鳥を…」


言いかけた所で、マナが私のおでこを指で軽く弾き、ポカンとしている私に向かって悪戯っぽく笑う。


『もーちーろーん青い鳥探しは、妹さん達が見つかったら全力で手伝って貰うからね?』

「そーゆーこった!ほら、しいなも行こうぜ。皆で捜せばその分早く見つかるだろ!」

「あ、ああ…そうだね」

「…フフッ。やっぱりあなた達って、変わってるわ」

『その言葉、そのままそっくり返すわ』


こうして私達は…外で大人しく待っていた犬的な生き物も連れて、慌ただしくリフィルの家を後にするのだった。
8/11ページ
スキ