夢主コラボ童話(リレー小説)
『……これでよし、と!』
「随分手慣れているのね。」
『どこぞの誰かがいらん事して怪我してくるからね。嫌でも慣れるのよ。』
「へーそんな奴がいるんだな。ところでマナ、それって誰だ?俺の知ってる奴か?」
「……。」
『……。』
アホーと一声、頭上で黒い鳥が鳴く。
その声とどこぞの馬鹿兄貴の的外れな言葉に、あたしとハオリは顔を見合わせて同時に肩を落とした。
『……にしても、これが狼ねー。人畜無害そのものだけど。』
「……確かに噂に聞いていたのと少し違うかもしれないわね。」
「……クーン。」
暗い針葉樹の森に四つの足音が響く。
土の匂いをはんだ湿った風は狼(仮)の白くて長い体毛をなぜ、通り過ぎていった。
あたしは改めて、その白くてフワフワした動物へと視線を向ける。
確かに、身体は大きいし、犬科の動物に見えなくはないけれど―……
『やっぱり、ハオリが言うように違う……よね、これは。』
「そうね。例外はあるにしろ、狼って普通群れで行動するはずだし、仮にこの子が狼なら今頃私達、この子の仲間に喉元を咬みちぎられていてもおかしくないわ。」
『同意するけど、もうちょーーっと、言い方ってあると思うな、あたし。』
物騒なハオリの言葉に乾いた引きつり笑いが浮かぶ。
確かにハオリの言った事は正論だと思うけど、自分達がミンチになった姿を好き好んで想像する人間は中々いないだろう。
今の言葉でロイドもあたしと同じ事を思っただろうな、と、後ろを振り返れば、すっかり打ち解けたのか狼(仮)とじゃれ合っている姿が目に入った。
うん。話を聞いちゃいねえ。
『……と、言うよりハオリが聞いたここに出る狼って、そのまま“狼”の事を指してるのかな?』
「……マナ?」
『何も森に出るのが狼だけとは限らないって事。ほら、昼間だっていうのに森の中だとこんなに暗いし。』
「……そういうコト、ね。」
最後まで言わずともこの少女はあたしが言いたい事を察してくれたのだろう。
あたしの言葉を聞いたハオリは、しばらく考えるように顔を伏せた。
ちなみに、わけが分からないとばかりに首を傾げている兄貴は、いつもの事なので放置する事にした。
難しい話は彼にとって毒なのである。
……実は、狼の話を聞いて真っ先にあたしが心配したのは人間―……それも野盗や強盗、人さらいの類……なんだよね。
昼間でも人通りが少ない薄暗い森の中―……さぞ仕事がはかどる事でしょうよ。
『まっ、そうなったらハオリの出番ね!
悪人に人権なんてないからガンッガンッ!痛め付けちゃっていいから!』
「……マナって結構物騒よね。」
「ああ、いつもの事だ。いちいち気にしてたらキリがないぜ……。」
そんな二人に対して当然だろうと胸を張って答えを返せば、ロイドとハオリの二人はお互いに顔を見合わせ、大きく肩を落とした。
あれ?これちょっと前に見なかった?
「でも、マナが言うことも一理あるわね。
フミカって可愛いし、ちょっとぼーっとしてるところがあるから心配かも……。」
「おっ。ようやく森が終わるな。あの小屋って―……ハオリが言ってた小屋か?」
白い陽光が視界を染め上げる。
あまりの眩しさに目を細めれば、その先に一件の小さな木の小屋が見えた。
さて、狼が出るか人さらいが出るか何も出ないのか―……出来れば一番後者がいいな、あたし的に。
って、あれ?そういや青い鳥……みんな忘れてない?
「随分手慣れているのね。」
『どこぞの誰かがいらん事して怪我してくるからね。嫌でも慣れるのよ。』
「へーそんな奴がいるんだな。ところでマナ、それって誰だ?俺の知ってる奴か?」
「……。」
『……。』
アホーと一声、頭上で黒い鳥が鳴く。
その声とどこぞの馬鹿兄貴の的外れな言葉に、あたしとハオリは顔を見合わせて同時に肩を落とした。
『……にしても、これが狼ねー。人畜無害そのものだけど。』
「……確かに噂に聞いていたのと少し違うかもしれないわね。」
「……クーン。」
暗い針葉樹の森に四つの足音が響く。
土の匂いをはんだ湿った風は狼(仮)の白くて長い体毛をなぜ、通り過ぎていった。
あたしは改めて、その白くてフワフワした動物へと視線を向ける。
確かに、身体は大きいし、犬科の動物に見えなくはないけれど―……
『やっぱり、ハオリが言うように違う……よね、これは。』
「そうね。例外はあるにしろ、狼って普通群れで行動するはずだし、仮にこの子が狼なら今頃私達、この子の仲間に喉元を咬みちぎられていてもおかしくないわ。」
『同意するけど、もうちょーーっと、言い方ってあると思うな、あたし。』
物騒なハオリの言葉に乾いた引きつり笑いが浮かぶ。
確かにハオリの言った事は正論だと思うけど、自分達がミンチになった姿を好き好んで想像する人間は中々いないだろう。
今の言葉でロイドもあたしと同じ事を思っただろうな、と、後ろを振り返れば、すっかり打ち解けたのか狼(仮)とじゃれ合っている姿が目に入った。
うん。話を聞いちゃいねえ。
『……と、言うよりハオリが聞いたここに出る狼って、そのまま“狼”の事を指してるのかな?』
「……マナ?」
『何も森に出るのが狼だけとは限らないって事。ほら、昼間だっていうのに森の中だとこんなに暗いし。』
「……そういうコト、ね。」
最後まで言わずともこの少女はあたしが言いたい事を察してくれたのだろう。
あたしの言葉を聞いたハオリは、しばらく考えるように顔を伏せた。
ちなみに、わけが分からないとばかりに首を傾げている兄貴は、いつもの事なので放置する事にした。
難しい話は彼にとって毒なのである。
……実は、狼の話を聞いて真っ先にあたしが心配したのは人間―……それも野盗や強盗、人さらいの類……なんだよね。
昼間でも人通りが少ない薄暗い森の中―……さぞ仕事がはかどる事でしょうよ。
『まっ、そうなったらハオリの出番ね!
悪人に人権なんてないからガンッガンッ!痛め付けちゃっていいから!』
「……マナって結構物騒よね。」
「ああ、いつもの事だ。いちいち気にしてたらキリがないぜ……。」
そんな二人に対して当然だろうと胸を張って答えを返せば、ロイドとハオリの二人はお互いに顔を見合わせ、大きく肩を落とした。
あれ?これちょっと前に見なかった?
「でも、マナが言うことも一理あるわね。
フミカって可愛いし、ちょっとぼーっとしてるところがあるから心配かも……。」
「おっ。ようやく森が終わるな。あの小屋って―……ハオリが言ってた小屋か?」
白い陽光が視界を染め上げる。
あまりの眩しさに目を細めれば、その先に一件の小さな木の小屋が見えた。
さて、狼が出るか人さらいが出るか何も出ないのか―……出来れば一番後者がいいな、あたし的に。
って、あれ?そういや青い鳥……みんな忘れてない?