夢主コラボ童話(リレー小説)


あるぅ~日っ森の中っ熊サ~ンにっ出会~ったっ!と歌いたくなるような、花咲く森の道で私はフミカを尾行している。

この尾行を彼女に気が付かれたら怒られてしまうかもしれないから、出来るだけ物音を立てないようにこっそりと……あらっ?

後ろから何か聞こえた気がした、人の声と…私の歩調に合わせてついて来るような足音が。
声がするってコトは、相手の数は二人以上のはず。
懐からナイフを取り出した私は、いつでも相手を斬りつけられるように振り返った。


「…誰?もしかして盗賊かしら」


私が森の中で出会ったのは熊サンでも狼でもなく、同年代の少年と少女だった。
少年の方は慌てながら、少女の方は意外そうな顔をしながらナイフを持つ私を見つめている。


「待ってくれよ!俺達そんなに怪しい者じゃ…」

「怪しい人は皆そう言うわ」

「あ、そっか。えーっと、俺の名前はロイド!そしてこっちは妹のマナ」


へえ、兄妹だったのね。あんまり似てないから全然気が付かなかったわ。
敢えて共通点を見つけるとするなら、活発そうな目をしているコトくらいかしら。


「俺達は怪しい者だけど、別にあんたに危害を加えようなんてしてないぞ!」

『ちょっとロイド、自分から怪しいとか言ってどーすんの!』

「あの婆ちゃんだってそう言ってたじゃないか」

「…よく分からないけれど、今怪しいって認めたわね?覚悟して頂戴」


怪しい兄妹に向かって後ろ手に隠していた銃を取り出すと、二人は両手を挙げて一歩づつ後に下がり始める。


『ちょっ、タンマタンマ!ロイドは自分で怪しいとか言い出したけどさ、あたしは全然怪しく無いんだってば!だからあたしだけは撃たないでくれない?』

「そうなの?だったらあなたは見逃してあげるわね。じゃあそっちのお兄さん、何か言い残したい言葉は?」

「…え、ちょっと待てって!まさか本気で撃つつもりじゃないよな…?」


兄の方に銃口を向けてから、引き金を引く指に力を入れる。


「それが最期の言葉ね、さようなら」


銃を避ける暇も無かった兄はギュッと目を閉じ…やがて首を傾げた。


「あれ…俺撃たれてないぞ?」

「当たり前じゃない、最初からこの銃に弾なんて入ってないんだもの」


そう言って銃とナイフを元の位置に仕舞うと、マナと言う少女は呆れ顔で肩の力を抜く。


『なんだ驚かさないでよ、今ので寿命縮んじゃったじゃん…てか、なんで弾を入れてないの?』

「私、銃の扱い方なんて知らないし、弾を買える程の余裕無いのよ。でもこうして銃に驚く人の反応が好きだから、いつも持ち歩いてるわ」

「あんた良い性格してるなー…怒る気力も無くなるよ」

「フフッ、よく言われるわ。でも怪しい行動を取っていたあなた達も悪いのよ?この森って結構物騒なんだから」

『お嬢さんの方が物騒だと思うけどな、あたし…』

「ハオリで良いわ」

『へっ?』

「私の名前よ。初対面なのにいきなり武器を突き付けたりしてゴメンなさいね、ロイド、マナ」


私が謝るとロイドは笑顔で、マナは苦笑しながら『気にしてないから良いよ』と言ってくれた。

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