夢主コラボ童話(リレー小説)

『いっつつううう……!!今度はどこ!?』


「……文句言う前に俺の上から退いてくれよ……マナ。」


あたし達が次に訪れた場所は、“森の国”と言っても差し支えのないような鬱蒼とした森林の真っ只中だった。

胡散臭い老婆の依頼を受けてから、早数週間。

ロイドとあたしは、幸せの青い小鳥とやらを求めて旅を続けていた。

“思い出の国”“夜の国”“木々の国”“死者の国”

あたし達が飛ばされる国は、どれもこれもとんでもない国ばかりだった。嫌がらせか。

ロイドもあたしも体力には相当自信がある人間だけれど、流石に、いい加減に旅を終わらせたいというのが本音である。

世界が変わるたびに尻餅付き続けるのも地味に腰に響いてる気がするし。

……って、あれ?


『おーい。ロイドー?息してるー?』


「……だから、早く降りろって。」


『体力ないなー。ここは兄の威厳を持って、か弱くて可愛い妹をおぶって進むところでしょうが。』


……何さ、その有り得ないものを見るようなジト目は。


『冗談よ、じょ~だん。ほら、さっさと立つ。』


そう言ってロイドに手を差し伸べれば、返事の代わりに深ーいため息が帰ってきた。ため息吐くと幸せ逃げるよ?


「まっ、いっか。ん?マナ。あそこに誰がいる―……」


『みたいね。どうするよ?』


距離にして数十メートル程だろうか?

そこにいたのは頭巾を被った小さな少女で、彼女は、まるで何かの後をつけるように木の影に隠れながら移動しているようだった。

折角の隠密行動中にこんな事を言うものあれだが、こんな目に優しいグリーングリンした森の中で、補色の赤色はかなり目立つと思うな、あたし。

さあて、今までの旅の経験からすれば、これは十中十で厄介事が始まる前触れである。残念な事に外れないんだよね、こういう勘。

だけど―……


「後つけるんだろ?」


『さっすが~分かってるじゃん。』


行動しなければ何も始まらないのも事実だし、もしかしたら、あの頭巾の子が青い小鳥について何か知っているかもしれない。

確認の意味で頷き合うと、あたし達は土を払って立ち上がった。

しっかし、今回は何が起こるんだか。
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