夢主コラボ童話(リレー小説)
「ところでお前たちは何故青い鳥を探してー……」
『ロイド!右舷2時の方向に行ったわ!飛べッ!!』
「飛べってそれをやったら俺まで木から落ちるっーの!!……ところでマナ、右舷ってなんだ?」
「……クラトスって言ったわね?今取り込み中だから答えられないみたいよ」
「……はあ……」
ハオリとクラトスとかいう名前の男の会話を横耳で聞きながら、この瞬間の為に用意していた虫捕り網を自分の上空高く思い切り放り投げる。
一般常識という名のあんこが足りない代わりに人一倍の反射神経と運動能力を誇る兄は、放物線の丁度てっぺん付近であたしが投げた網をしっかりと掴んだ。
しかし、いくらロイドの身体能力が優れていたって、かたや大空をはばたく翼を持つ鳥、こっちは地べたを歩くしかない人間なわけで……
『……ああ!まどろっこしい!こうなったらあたしも木に登って……!!』
「……下にはいてるものが見えるわよ」
あたしの一言を聞いたリフィルという女性が呆れたと言わんばかりの声色で釘をさす。
確かにあたしの今の服装は補修しまくった薄汚れたスカートだが、正直、下着を見られる羞恥よりも青い鳥捕獲に対する執念の方が勝るのだ。今のあたしにとっては。
何故ならー……
『今まで何度も何ツッッ度も失敗してきたのよッ!今度こそ逃がすもんですかッ!』
今までの旅の記憶があたしの頭を駆け巡る。思い出すだけで腹立たしいそれにギリギリ……と、奥歯が不愉快な音を立てて鳴った。
そう……何も青い鳥を発見したのは今回が初めてというわけではない。
濃い霧が立ち込めた、思い出の国
夜の精達が暮らす、夜の国
人間に対する憎悪を抱く木の精が治める、木々の国
堕落した人間達が築いた、死者の国
色々な国を兄と二人で旅をし、その都度青い鳥に逃げられてきたのだ。
そこであたし達が経験してきた苦労の数々!
木々の国でなんか、国を牛耳っている樫の木に危うく殺されるところだったからね!!
なんとか命からがら逃げきれたから良かったものの……
小さな果物ナイフ一本で硬い樫の木に挑まなきゃいけないって、試合の前に勝負が見えてるじゃんか!
「そ、そんなことがあったんですか?」
『そう!!だから、何としても今回捕まえなきゃいけないの!!』
おずおずと尋ねるフミカに答える声に自然と力がこもる。
鼻息荒く力説すれば、ビクッとフミカの肩が上がった。……ありゃ?驚かせちゃったかな?
「そうだったの。だから、そんなに執着してたのね。……でも困ったわね」
フミカの隣に立つと、ハオリはあたしがしているように鳥が止まっている梢を見上げた。
……ロイドも必死に腕を伸ばしているが、鳥がいるのは細い枝の先。とてもじゃないが網が届く距離じゃない。
枝を揺すろうものなら、せっかく止まっている鳥が逃げてしまう。
……くうッ!!ここまできて…!!
「あのね、お姉ちゃんー……」
「どうしたの、フミカ?……ああ、そうか。その手があったわね」
あたしが口惜しさのあまり爪を噛んだその時だった。……澄んだ歌声があたりに響いたのは……
トゥエ レィ ズェ クロア リョオ トゥエ ズェ
聞いたことがない言葉だった。
異国の歌のはずなのに……暖かくって心地よくって、まるで太陽の下でまどろんでいる時みたいに聞いているうちに眠たくなってきて……
『ぐえっ!!』
「むにゃ……もう肉食べれないって……」
「……ゴメンなさい。説明していなかったわね……」
すまなそうに語るハオリの手の平の上には、ロイドと同じように木から落ちたのだろうか?眠る一羽の青い鳥の姿があった。
……これやったのってやっぱりハオリ?
って、ロイド重たい!!どいて!いや、誰かあたしの上からどかして!!
Fin
『ロイド!右舷2時の方向に行ったわ!飛べッ!!』
「飛べってそれをやったら俺まで木から落ちるっーの!!……ところでマナ、右舷ってなんだ?」
「……クラトスって言ったわね?今取り込み中だから答えられないみたいよ」
「……はあ……」
ハオリとクラトスとかいう名前の男の会話を横耳で聞きながら、この瞬間の為に用意していた虫捕り網を自分の上空高く思い切り放り投げる。
一般常識という名のあんこが足りない代わりに人一倍の反射神経と運動能力を誇る兄は、放物線の丁度てっぺん付近であたしが投げた網をしっかりと掴んだ。
しかし、いくらロイドの身体能力が優れていたって、かたや大空をはばたく翼を持つ鳥、こっちは地べたを歩くしかない人間なわけで……
『……ああ!まどろっこしい!こうなったらあたしも木に登って……!!』
「……下にはいてるものが見えるわよ」
あたしの一言を聞いたリフィルという女性が呆れたと言わんばかりの声色で釘をさす。
確かにあたしの今の服装は補修しまくった薄汚れたスカートだが、正直、下着を見られる羞恥よりも青い鳥捕獲に対する執念の方が勝るのだ。今のあたしにとっては。
何故ならー……
『今まで何度も何ツッッ度も失敗してきたのよッ!今度こそ逃がすもんですかッ!』
今までの旅の記憶があたしの頭を駆け巡る。思い出すだけで腹立たしいそれにギリギリ……と、奥歯が不愉快な音を立てて鳴った。
そう……何も青い鳥を発見したのは今回が初めてというわけではない。
濃い霧が立ち込めた、思い出の国
夜の精達が暮らす、夜の国
人間に対する憎悪を抱く木の精が治める、木々の国
堕落した人間達が築いた、死者の国
色々な国を兄と二人で旅をし、その都度青い鳥に逃げられてきたのだ。
そこであたし達が経験してきた苦労の数々!
木々の国でなんか、国を牛耳っている樫の木に危うく殺されるところだったからね!!
なんとか命からがら逃げきれたから良かったものの……
小さな果物ナイフ一本で硬い樫の木に挑まなきゃいけないって、試合の前に勝負が見えてるじゃんか!
「そ、そんなことがあったんですか?」
『そう!!だから、何としても今回捕まえなきゃいけないの!!』
おずおずと尋ねるフミカに答える声に自然と力がこもる。
鼻息荒く力説すれば、ビクッとフミカの肩が上がった。……ありゃ?驚かせちゃったかな?
「そうだったの。だから、そんなに執着してたのね。……でも困ったわね」
フミカの隣に立つと、ハオリはあたしがしているように鳥が止まっている梢を見上げた。
……ロイドも必死に腕を伸ばしているが、鳥がいるのは細い枝の先。とてもじゃないが網が届く距離じゃない。
枝を揺すろうものなら、せっかく止まっている鳥が逃げてしまう。
……くうッ!!ここまできて…!!
「あのね、お姉ちゃんー……」
「どうしたの、フミカ?……ああ、そうか。その手があったわね」
あたしが口惜しさのあまり爪を噛んだその時だった。……澄んだ歌声があたりに響いたのは……
トゥエ レィ ズェ クロア リョオ トゥエ ズェ
聞いたことがない言葉だった。
異国の歌のはずなのに……暖かくって心地よくって、まるで太陽の下でまどろんでいる時みたいに聞いているうちに眠たくなってきて……
『ぐえっ!!』
「むにゃ……もう肉食べれないって……」
「……ゴメンなさい。説明していなかったわね……」
すまなそうに語るハオリの手の平の上には、ロイドと同じように木から落ちたのだろうか?眠る一羽の青い鳥の姿があった。
……これやったのってやっぱりハオリ?
って、ロイド重たい!!どいて!いや、誰かあたしの上からどかして!!
Fin