第12章 復興、そして北へ
あのとき私が手折った水仙。
きっとこの花を差し上げたらお父様は喜んでくださるだろう…そう思って私は黄色い水仙に手を伸ばす。
お父様…本当にお父様は喜んでくださるかしら…?
花に触れる寸前で躊躇する。
本当にその花を手折ってもいいのでしょうか?
ただの一度も私に笑顔を向けてくださったことの無いお父様…。
ご迷惑にならないようにとお父様に言いつけられたことはなんでもしてきた…
だけど…お父様は私を誉めてくださったことは無かった…
どうして?私はお父様になにか失礼なことをしたかしら…?
私はお父様に本当に愛されているのでしょうか??
ふと手にした水仙に視線を落とす。
雪の中、凛と咲くその花がとても輝かしく美しく見えた。
その美しさに惹かれて思わず手折ってしまったけれど…本当に折ってしまって良かったのでしょうか…?
あの厳しい寒さの中にあっても力強く咲いていたこの花を…私の身勝手な想いで摘み取ってしまっても良かったのでしょうか…?
「……ここは…?」
朝の光の眩しさで目を覚ました。
ぼんやりとした頭で周りを見渡してみる。
ここは良く見知ったあの部屋だと気づくのにそう時間はかからなかった。
「私は…確かあの部屋で…」
昨夜の事を徐々に思い出す。
嵐に怯え、屋敷をさ迷い歩き、辿り着いた先は私をここに連れてきたあの方の部屋で…
ちらりと部屋のテーブルに視線を向ければ、そこには私が手折ったあの黄色い水仙。
「…お水変えなきゃ。」
花瓶に活けられた水仙はあの日からずっと私の心を支え続けてくれている。
見ず知らずの場所に連れてこられ、不安と恐怖に震える私の心をこの花がずっと癒してくれた。
まだ枯れないで欲しい…そう思いながら花瓶の水を替えた。
『私のお部屋のテーブルの上の花瓶に活けてある黄色の水仙は、私が手折ったあの水仙でしょうか……?』
『……ああ。誰かに贈るために摘んでいたんだろう?それを俺の判断で捨てていいか……分からなかった』
ふと昨夜の彼との会話を思い出す。
…この花をここに置いてくださったのはあの方だったと昨夜のやりとりで初めて知った。
この屋敷には使用人がいないという事も…
ちらりとベッドに視線を向ける。
私が寝ていた場所には彼が昨夜私にかけてくれたあの黒い外套があった。
厚手の素材で作られた柔らかく温かい外套。
昨夜の出来事は夢では無かったのだと実感する。
まだ温もりの残る彼の外套を胸に抱き、昨夜の事を思い出す。
紫の少し癖毛の長髪に私とは違った深い青い瞳…
ずっと怖い人かと思い込んでいたけれど…昨夜の彼はとても優しい瞳で私を見ていた。
もっと話をしたい…私はあの人の事をまだ何も知らない…。
そう思った私は彼の外套を抱えて部屋を出た。
昨日とは違って見える屋敷の廊下。
少し迷いそうになりながら昨日辿った道を思い出しながら歩いていると、廊下の先にあの方の姿が見えた。
彼は私の姿を見ると驚き動きを止める。
私も思わずその場で足を止める。
なんと切り出していいのか解らない…でもこの沈黙を破らなければ…私は彼の事を知りたくて部屋を出たのだから。
「あの…私…貴方とお話がしたくて…。」
もう震える事はない。
私は彼の優しさに気づいたから…。
今なら言えます。
今なら貴方と向き合うことができます。
「私…貴方の事をもっと知りたい。」
きっとこの花を差し上げたらお父様は喜んでくださるだろう…そう思って私は黄色い水仙に手を伸ばす。
お父様…本当にお父様は喜んでくださるかしら…?
花に触れる寸前で躊躇する。
本当にその花を手折ってもいいのでしょうか?
ただの一度も私に笑顔を向けてくださったことの無いお父様…。
ご迷惑にならないようにとお父様に言いつけられたことはなんでもしてきた…
だけど…お父様は私を誉めてくださったことは無かった…
どうして?私はお父様になにか失礼なことをしたかしら…?
私はお父様に本当に愛されているのでしょうか??
ふと手にした水仙に視線を落とす。
雪の中、凛と咲くその花がとても輝かしく美しく見えた。
その美しさに惹かれて思わず手折ってしまったけれど…本当に折ってしまって良かったのでしょうか…?
あの厳しい寒さの中にあっても力強く咲いていたこの花を…私の身勝手な想いで摘み取ってしまっても良かったのでしょうか…?
「……ここは…?」
朝の光の眩しさで目を覚ました。
ぼんやりとした頭で周りを見渡してみる。
ここは良く見知ったあの部屋だと気づくのにそう時間はかからなかった。
「私は…確かあの部屋で…」
昨夜の事を徐々に思い出す。
嵐に怯え、屋敷をさ迷い歩き、辿り着いた先は私をここに連れてきたあの方の部屋で…
ちらりと部屋のテーブルに視線を向ければ、そこには私が手折ったあの黄色い水仙。
「…お水変えなきゃ。」
花瓶に活けられた水仙はあの日からずっと私の心を支え続けてくれている。
見ず知らずの場所に連れてこられ、不安と恐怖に震える私の心をこの花がずっと癒してくれた。
まだ枯れないで欲しい…そう思いながら花瓶の水を替えた。
『私のお部屋のテーブルの上の花瓶に活けてある黄色の水仙は、私が手折ったあの水仙でしょうか……?』
『……ああ。誰かに贈るために摘んでいたんだろう?それを俺の判断で捨てていいか……分からなかった』
ふと昨夜の彼との会話を思い出す。
…この花をここに置いてくださったのはあの方だったと昨夜のやりとりで初めて知った。
この屋敷には使用人がいないという事も…
ちらりとベッドに視線を向ける。
私が寝ていた場所には彼が昨夜私にかけてくれたあの黒い外套があった。
厚手の素材で作られた柔らかく温かい外套。
昨夜の出来事は夢では無かったのだと実感する。
まだ温もりの残る彼の外套を胸に抱き、昨夜の事を思い出す。
紫の少し癖毛の長髪に私とは違った深い青い瞳…
ずっと怖い人かと思い込んでいたけれど…昨夜の彼はとても優しい瞳で私を見ていた。
もっと話をしたい…私はあの人の事をまだ何も知らない…。
そう思った私は彼の外套を抱えて部屋を出た。
昨日とは違って見える屋敷の廊下。
少し迷いそうになりながら昨日辿った道を思い出しながら歩いていると、廊下の先にあの方の姿が見えた。
彼は私の姿を見ると驚き動きを止める。
私も思わずその場で足を止める。
なんと切り出していいのか解らない…でもこの沈黙を破らなければ…私は彼の事を知りたくて部屋を出たのだから。
「あの…私…貴方とお話がしたくて…。」
もう震える事はない。
私は彼の優しさに気づいたから…。
今なら言えます。
今なら貴方と向き合うことができます。
「私…貴方の事をもっと知りたい。」
