第3節 温泉
ですから、私達は聞いたことをますます注意深く心に留めなければなりません。そうでないと押し流されてしまいます。
御使いを通して語られた言葉が効力を生じて、あらゆる違反と不従順が当然の報いを受けたとするなら、私達がこれほど素晴らしい救いを蔑ろにした場合、どうしてその報いを逃れる事が出来るでしょうか。
この救いは、初めに主によって告げられ、それを聞いた人々によって確実なものとして私達に示されました。
同時に、神も徴と不思議な業、様々な奇跡、ご自身のみ旨による聖霊の賜物の分配によって、これらを証明して下さったのです。
【ヘブライ人への手紙 第2章】
「いってぇえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!いてえって言ってんだろぉおおおおおおおお!!!!!!」
「そっかそっか~まだ喋る元気があるのね~やりがいがあるわ~」
「あ、あんたのそれは殺り甲斐の間違い……ぎゃぁああああああああああああああっ!!!」
反響した音が雑な作りの板の壁を振動で震わせる。ビリビリと震える壁同様に俺の体も足先からビリビリと震えていた。ただし、音じゃねえ!!!痛みでだ!!!竜人の皮膚押してこれとか嘘だろ!!?この女!!?
「でも、本当に押し甲斐があるわ~竜の血が濃いからタフなのかしら?ここまで思いっきり押して泣かなかったのは今までフェリオスタ君ただ一人よ!フンッ!!」
「だっから!!人の話を……!ってか!今!俺普通に涙出てるいってぇえええええええええええ!!!」
ああ、世界に星がチカチカと散っている。痛みで世界が白に沈んでいく。そうか、いっそ気絶しちまえば楽になる……
「この関節はこっちに曲がってくれると嬉しい。はい、ぽきー」
「はっ……?いぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいッ!!!!!」
悪魔だ……この女指に悪魔を飼ってるに違いない……意識が飛ぶその寸で、させるかとばかり関節を決めて渾身の力で足裏を押す女の顔に浮かんだ笑顔は悪魔のそれだった。
「どうだ~?気持ち良かっただろ~?病み付きになるだろ~?葵さんのマッサージとツボ押し」
「フェリオスタが贔屓にしてるマッサージ師ってところでまず疑うべきだったわ」
「だね~。でもそのわりには少し顔色がすっきりしたんじゃない、天青?」
「すっきりしたって言うかまだ足の裏ヒリヒリジンジンしてんだけど」
吐き出した息が乳白色の湯に溶ける。愚痴を吐いた後、ずぶり、と口元まで湯に浸かり湯を吹けば「お湯汚れるんだけど」と横の砂希の口から文句が零れた。文句を言われたので素直に顔を上げる。ついでに砂希の頭に腹いせに手刀を一つ落としてやった。おうおう?痛いか?そうか。俺はもっと足の裏が痛い。
「で、砂希ちゃんは大好きなだいちゅきなお兄ちゃんと話しは付いたのかよ?さっきはずいぶんと仲良さそうだったじゃねーか?」
「それ絶っっっっっっっ対ッ!わざと言ってるでしょ?」
「もちろん~」
「やっ、そこ俺じゃなくてフェリオスタが言うのかよ?ああ、あとわざとだから安心しろ」
しかし、だ。改めて左右交互に視線を動かせば何の変哲のないクソが付くほど見慣れた顔が二つ近くにあった。ただ見慣れたってわけじゃなくクソが付くほどだ。クソ。気が付くとなぁあああんか一緒に駄弁ってること多いよなあ。
「どうしたんだ~天青?急に黙って。あっ!分かった!時間差で足つぼマッサージが効いてきたのか?分かるわ~あの痛みで新しい人生の扉が開く~扉を開けて~少しも痛くないわ~」
「まともなこと言っていい?ありえねえ」
そう言い切った、その時だった。湯の柱が地面を割って轟々と爆音を伴って激しく天に向かって噴き上げたのは。……ああ、湯が出てるんだから間欠泉か?のわりには熱くなさそうだけどな。あの水圧じゃこんな風に木の板のペラい壁をぶっ壊すぐらいわけないー……
「はぁああ!!?壁が壊れたぁあああ!!?」
湯と共に湧き上がった蒸気が濃霧の様に一瞬にして視界を覆う。周りの連中も俺と同じで突拍子もなく起きたこれに対応できていないのか、悲鳴やら何かと何かがぶつかる音、またどこかで何かが壊れる音が四方で響いている。
「じょ、冗談じゃねえ!!!ここ壊したらルーベラに逆さまに吊るされるの俺じゃねーか!」
「あ~……そういや、天青、今月はもうツーアウトだったね~。依頼人ぶん殴って怒らせたのが一件と強盗はぶっ飛ばしたけど肝心の依頼の壺もぶっ飛ばした件で一件」
「なんで知ってんだよ……」
「そりゃあまあ、情報屋だし???」
「早く直した方がいいぞ~?大浴場の壁は天青が担当してただろ~?」
「つかぬ事をお聞きしますが?手伝うって選択肢は?」
「「ない」」
さようか。だろうと思ったよ!!!!
「……ったく……何も客がいる時間に壊れなくてもいいだろうに……ってかどこに穴が開いてんだこれ?白くて見えねえ」
急いで脱衣所に戻りシャツとパンツを引ったくり大工道具片手に浴場へと戻る。戻ってみればさっきより悲鳴やら何やらが大きくなっていた。相変わらず近付かなきゃ何も見えねーけど。この格好で大工仕事ってどんな罰ゲームだ。足つぼといいこれといい完全に厄日だ。
修理場所の一つをやっと見つけ息を吐けば、そこには倒れた板と石の地面に挟まれた野郎二人が尻丸出しで伸びていた。この銀髪とタオルをターバン代わりに巻いてる奴ら、さては覗きしようとして挟まれたな。
……気持ちは分からんでもないが気持ち悪いから助けねーぞ。代わりに手なら合わせてやる。なんまんだぶなんまんだぶ。
「あ~……これ直すのかったり~……癒しくれよ……」
ほぼきかない視界の中、持って来た板を釘で打ち付ける。かったりいなあ……
「……そういや、白竜、あの後風呂行くって言ってたけど大丈夫か……?まあ、流石に上がってるか」
《天青》
御使いを通して語られた言葉が効力を生じて、あらゆる違反と不従順が当然の報いを受けたとするなら、私達がこれほど素晴らしい救いを蔑ろにした場合、どうしてその報いを逃れる事が出来るでしょうか。
この救いは、初めに主によって告げられ、それを聞いた人々によって確実なものとして私達に示されました。
同時に、神も徴と不思議な業、様々な奇跡、ご自身のみ旨による聖霊の賜物の分配によって、これらを証明して下さったのです。
【ヘブライ人への手紙 第2章】
「いってぇえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!いてえって言ってんだろぉおおおおおおおお!!!!!!」
「そっかそっか~まだ喋る元気があるのね~やりがいがあるわ~」
「あ、あんたのそれは殺り甲斐の間違い……ぎゃぁああああああああああああああっ!!!」
反響した音が雑な作りの板の壁を振動で震わせる。ビリビリと震える壁同様に俺の体も足先からビリビリと震えていた。ただし、音じゃねえ!!!痛みでだ!!!竜人の皮膚押してこれとか嘘だろ!!?この女!!?
「でも、本当に押し甲斐があるわ~竜の血が濃いからタフなのかしら?ここまで思いっきり押して泣かなかったのは今までフェリオスタ君ただ一人よ!フンッ!!」
「だっから!!人の話を……!ってか!今!俺普通に涙出てるいってぇえええええええええええ!!!」
ああ、世界に星がチカチカと散っている。痛みで世界が白に沈んでいく。そうか、いっそ気絶しちまえば楽になる……
「この関節はこっちに曲がってくれると嬉しい。はい、ぽきー」
「はっ……?いぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいッ!!!!!」
悪魔だ……この女指に悪魔を飼ってるに違いない……意識が飛ぶその寸で、させるかとばかり関節を決めて渾身の力で足裏を押す女の顔に浮かんだ笑顔は悪魔のそれだった。
「どうだ~?気持ち良かっただろ~?病み付きになるだろ~?葵さんのマッサージとツボ押し」
「フェリオスタが贔屓にしてるマッサージ師ってところでまず疑うべきだったわ」
「だね~。でもそのわりには少し顔色がすっきりしたんじゃない、天青?」
「すっきりしたって言うかまだ足の裏ヒリヒリジンジンしてんだけど」
吐き出した息が乳白色の湯に溶ける。愚痴を吐いた後、ずぶり、と口元まで湯に浸かり湯を吹けば「お湯汚れるんだけど」と横の砂希の口から文句が零れた。文句を言われたので素直に顔を上げる。ついでに砂希の頭に腹いせに手刀を一つ落としてやった。おうおう?痛いか?そうか。俺はもっと足の裏が痛い。
「で、砂希ちゃんは大好きなだいちゅきなお兄ちゃんと話しは付いたのかよ?さっきはずいぶんと仲良さそうだったじゃねーか?」
「それ絶っっっっっっっ対ッ!わざと言ってるでしょ?」
「もちろん~」
「やっ、そこ俺じゃなくてフェリオスタが言うのかよ?ああ、あとわざとだから安心しろ」
しかし、だ。改めて左右交互に視線を動かせば何の変哲のないクソが付くほど見慣れた顔が二つ近くにあった。ただ見慣れたってわけじゃなくクソが付くほどだ。クソ。気が付くとなぁあああんか一緒に駄弁ってること多いよなあ。
「どうしたんだ~天青?急に黙って。あっ!分かった!時間差で足つぼマッサージが効いてきたのか?分かるわ~あの痛みで新しい人生の扉が開く~扉を開けて~少しも痛くないわ~」
「まともなこと言っていい?ありえねえ」
そう言い切った、その時だった。湯の柱が地面を割って轟々と爆音を伴って激しく天に向かって噴き上げたのは。……ああ、湯が出てるんだから間欠泉か?のわりには熱くなさそうだけどな。あの水圧じゃこんな風に木の板のペラい壁をぶっ壊すぐらいわけないー……
「はぁああ!!?壁が壊れたぁあああ!!?」
湯と共に湧き上がった蒸気が濃霧の様に一瞬にして視界を覆う。周りの連中も俺と同じで突拍子もなく起きたこれに対応できていないのか、悲鳴やら何かと何かがぶつかる音、またどこかで何かが壊れる音が四方で響いている。
「じょ、冗談じゃねえ!!!ここ壊したらルーベラに逆さまに吊るされるの俺じゃねーか!」
「あ~……そういや、天青、今月はもうツーアウトだったね~。依頼人ぶん殴って怒らせたのが一件と強盗はぶっ飛ばしたけど肝心の依頼の壺もぶっ飛ばした件で一件」
「なんで知ってんだよ……」
「そりゃあまあ、情報屋だし???」
「早く直した方がいいぞ~?大浴場の壁は天青が担当してただろ~?」
「つかぬ事をお聞きしますが?手伝うって選択肢は?」
「「ない」」
さようか。だろうと思ったよ!!!!
「……ったく……何も客がいる時間に壊れなくてもいいだろうに……ってかどこに穴が開いてんだこれ?白くて見えねえ」
急いで脱衣所に戻りシャツとパンツを引ったくり大工道具片手に浴場へと戻る。戻ってみればさっきより悲鳴やら何やらが大きくなっていた。相変わらず近付かなきゃ何も見えねーけど。この格好で大工仕事ってどんな罰ゲームだ。足つぼといいこれといい完全に厄日だ。
修理場所の一つをやっと見つけ息を吐けば、そこには倒れた板と石の地面に挟まれた野郎二人が尻丸出しで伸びていた。この銀髪とタオルをターバン代わりに巻いてる奴ら、さては覗きしようとして挟まれたな。
……気持ちは分からんでもないが気持ち悪いから助けねーぞ。代わりに手なら合わせてやる。なんまんだぶなんまんだぶ。
「あ~……これ直すのかったり~……癒しくれよ……」
ほぼきかない視界の中、持って来た板を釘で打ち付ける。かったりいなあ……
「……そういや、白竜、あの後風呂行くって言ってたけど大丈夫か……?まあ、流石に上がってるか」
《天青》
