第1節 あべこべちぐはぐ
「とりあえず、怪我が無いようで良かったですね。
えーと、まずは換気しなくては…窓を開けますね。」
「いや!ノルンさん!
待って!!開けないで!!
服が…!あたし服が破けそ……!」
ビリィィィィイ!!!!!
一気に絹が裂ける音が響く。
それと同時に、カボちゃんが着ていた服がパサリと床に落ちていく。
カボちゃんと私はその光景をただ見つめることしかできなかった。
「…!?
きゃぁぁぁぁぁぁあ!?」
今カボちゃんが手にしている服だったものは、胸元のみを隠しているだけで、それ以外は言うまでもなく…
「……えっと……すみません、何か代わりの服を用意しなくてはいけませんね!
とりあえず……っ……あ…あれ…?」
このままではカボちゃんが風邪をひいてしまう…!
しかし…
この身体では箪笥に仕舞っている服を取り出す事さえも困難で…
「はぁ……!
何か踏み台を用意しないと…!」
「ノルンさん早くぅ!!
誰か来たら大変だよぉ!!」
漸く踏み台を用意して、今のカボちゃんの身体でも着れそうなラヴェンダー色のローブを箪笥から取り出した。
「すみません、カボちゃんの趣味に合わないかもしれませんが、とりあえずこれを着てください。」
「ありがと…ノルンさん!
じゃあ早速着てみるよ!」
私が手渡したローブに袖を通すカボちゃんを背に私はこの事故の始末をどう解決しようかと思案を巡らせた。
(まず、カボちゃんが何を作ろうとしていたのかはわからないですが、彼女が飛び降りた時に梯子が揺れて…薬棚にちょっと当たって、そこにあったグルムの果実が錬金釜に入ったんですよね…。
となるとやはりこれは奇跡的にも魔法薬を作ってしまったんでしょうね…。
最後の仕上げの瞬間に勢い良く新たな材料が加わったせいで爆発してしまいましたが…。
もしかすると…かなり広範囲に魔法薬が散ってしまったかもしれませんね…。
となると…。)
そこまで考えて、私は後ろで着替えが終わったであろうカボちゃんの方へと視線を移すし、彼女に向かって問いかける。
「カボちゃん、少しお使いをお願いしてもいいですか?」
「えっ? お使い?えっ…この格好で??…っていうか…どこに?」
「すみません、今の私の身体では解毒薬を調合するのは難しいんです。
なので、別の錬金術師にお願いしたいんです。」
「えっ、解毒薬だったら…ヒュパティアさんなんとかできない?」
「そうですね、ヒュパティアなら私よりも薬の知識に秀でています。
ですがちょっと特別な魔法の効果が発動してしまいましたから、ヒュパティアでもこの解毒薬を作るのは困難になってしまうかもしれません……元に戻るまでかなり時間がかかってしまうかも……。」
カボちゃんの問いかけを背に受けながら、私は机によじ登り、魔法の羽根ペンに語りかけて手紙を書くよう指示を出す。
すると私の言葉を認識した羽根ペンがふわりと宙に浮いてさらさらと紙面に文章を書き記していく。
その様子を確認した後、私は再びカボちゃんの方へと向き直り、彼女の返事を待った。
「特別な魔法か…
あたしなにか間違ったことしたかな…」
「いえ…手順は間違ってません。
むしろ奇跡的に凄い薬が作れたんです。
錬金術としては成功です。
おそらく、調合の時に歌っていたあの歌…あれがカボちゃんの魔力を増幅させる呪文になっていたんですよ。」
「ふーん、そうなんだ…。
うーん、分かったよ!こうなったの、どっちにしろあたしが原因だもんね!
お使い行ってくるよ!」
「ありがとうございます!では、少し遠いですが、ヒュパティアにこの手紙を届けてください。
調合についてのお願いがかいてあります。」
「うん!じゃあいってくるね!」
そう言ってカボちゃんは勢い良くアトリエの扉を開いて出ていってしまった。
その姿を見送った後、私は重大な問題に気づいて思わず「あっ!!」と短い叫び声を上げ、彼女の後を追うようにアトリエの扉から外へと駆け出した。
「カボちゃん!!待っ…待って!!
ま……まだ…!!
まだパンツ履いてないですよ!!!!
カボちゃーーーん!!!!!
」
私は右手に白い絹のパンツを掴みながら一心不乱に駆けたが、大人の身体のカボちゃんと、子供の身体の私の差は開くばかり…
「ああ…そんな…追い付けない…」
私は右手に白いパンツを手にしたまま乱れた息を整えようとその場に立ち尽くす。
今はただ、彼女に何事も無いことを祈るしかなかった…。
えーと、まずは換気しなくては…窓を開けますね。」
「いや!ノルンさん!
待って!!開けないで!!
服が…!あたし服が破けそ……!」
ビリィィィィイ!!!!!
一気に絹が裂ける音が響く。
それと同時に、カボちゃんが着ていた服がパサリと床に落ちていく。
カボちゃんと私はその光景をただ見つめることしかできなかった。
「…!?
きゃぁぁぁぁぁぁあ!?」
今カボちゃんが手にしている服だったものは、胸元のみを隠しているだけで、それ以外は言うまでもなく…
「……えっと……すみません、何か代わりの服を用意しなくてはいけませんね!
とりあえず……っ……あ…あれ…?」
このままではカボちゃんが風邪をひいてしまう…!
しかし…
この身体では箪笥に仕舞っている服を取り出す事さえも困難で…
「はぁ……!
何か踏み台を用意しないと…!」
「ノルンさん早くぅ!!
誰か来たら大変だよぉ!!」
漸く踏み台を用意して、今のカボちゃんの身体でも着れそうなラヴェンダー色のローブを箪笥から取り出した。
「すみません、カボちゃんの趣味に合わないかもしれませんが、とりあえずこれを着てください。」
「ありがと…ノルンさん!
じゃあ早速着てみるよ!」
私が手渡したローブに袖を通すカボちゃんを背に私はこの事故の始末をどう解決しようかと思案を巡らせた。
(まず、カボちゃんが何を作ろうとしていたのかはわからないですが、彼女が飛び降りた時に梯子が揺れて…薬棚にちょっと当たって、そこにあったグルムの果実が錬金釜に入ったんですよね…。
となるとやはりこれは奇跡的にも魔法薬を作ってしまったんでしょうね…。
最後の仕上げの瞬間に勢い良く新たな材料が加わったせいで爆発してしまいましたが…。
もしかすると…かなり広範囲に魔法薬が散ってしまったかもしれませんね…。
となると…。)
そこまで考えて、私は後ろで着替えが終わったであろうカボちゃんの方へと視線を移すし、彼女に向かって問いかける。
「カボちゃん、少しお使いをお願いしてもいいですか?」
「えっ? お使い?えっ…この格好で??…っていうか…どこに?」
「すみません、今の私の身体では解毒薬を調合するのは難しいんです。
なので、別の錬金術師にお願いしたいんです。」
「えっ、解毒薬だったら…ヒュパティアさんなんとかできない?」
「そうですね、ヒュパティアなら私よりも薬の知識に秀でています。
ですがちょっと特別な魔法の効果が発動してしまいましたから、ヒュパティアでもこの解毒薬を作るのは困難になってしまうかもしれません……元に戻るまでかなり時間がかかってしまうかも……。」
カボちゃんの問いかけを背に受けながら、私は机によじ登り、魔法の羽根ペンに語りかけて手紙を書くよう指示を出す。
すると私の言葉を認識した羽根ペンがふわりと宙に浮いてさらさらと紙面に文章を書き記していく。
その様子を確認した後、私は再びカボちゃんの方へと向き直り、彼女の返事を待った。
「特別な魔法か…
あたしなにか間違ったことしたかな…」
「いえ…手順は間違ってません。
むしろ奇跡的に凄い薬が作れたんです。
錬金術としては成功です。
おそらく、調合の時に歌っていたあの歌…あれがカボちゃんの魔力を増幅させる呪文になっていたんですよ。」
「ふーん、そうなんだ…。
うーん、分かったよ!こうなったの、どっちにしろあたしが原因だもんね!
お使い行ってくるよ!」
「ありがとうございます!では、少し遠いですが、ヒュパティアにこの手紙を届けてください。
調合についてのお願いがかいてあります。」
「うん!じゃあいってくるね!」
そう言ってカボちゃんは勢い良くアトリエの扉を開いて出ていってしまった。
その姿を見送った後、私は重大な問題に気づいて思わず「あっ!!」と短い叫び声を上げ、彼女の後を追うようにアトリエの扉から外へと駆け出した。
「カボちゃん!!待っ…待って!!
ま……まだ…!!
まだパンツ履いてないですよ!!!!
カボちゃーーーん!!!!!
」
私は右手に白い絹のパンツを掴みながら一心不乱に駆けたが、大人の身体のカボちゃんと、子供の身体の私の差は開くばかり…
「ああ…そんな…追い付けない…」
私は右手に白いパンツを手にしたまま乱れた息を整えようとその場に立ち尽くす。
今はただ、彼女に何事も無いことを祈るしかなかった…。
